遠藤政樹/EDH遠藤設計室による”ナチュラルスプリット”

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遠藤政樹/EDH遠藤設計室による”ナチュラルスプリット”

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遠藤政樹/EDH遠藤設計室による新作"ナチュラルスプリット"です。


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Natural Splits
ルーズに組み立てること
隠された開口この建物は、東京の中心から電車で1時間のところにある。ここ最近になって住宅地化がすすんだらしく、そこかしこに畑が散在している。そのためか、道は畑を縫うようにあり、決してまっすぐなものはない。おまけに敷地は、建売り住宅地の一画の新しく引き込まれた私道路の一番突き当たり、間口がせまくL形の細長いものであった。そこに、夫婦と小学生の子供の3人のための住宅が計画された。
都心に比べると土地も大きく、150m2ある。しかし、周囲は建て込んでいて、各住宅の小窓はお互いに向き合い、それほど有効な庭等がとれる状態ではなかった。都心の狭小住宅と問題はそう変わりなく、周りからの視線を避けた上での採光の取り方が検討されるべき問題であった。1階は小窓の曇りガラスにして、隣人からの視線を避けることをし、2階は、空間が大きいことを考えると、小さな開口ではバランスが悪く、唯一素晴らしい畑の景色が見える東面に大きな開口をとり、その他は、腰高から上と下で壁を分け、それをずらした隙間をたくさんつくり、それに窓の機能をもたせる方法が考えられた。
均質かつ細長い一室空間
住まい手の要求は、2台分の駐車場と、将来ご両親を迎えるための和室。大きく設備が充実したキッチンと、ご夫婦共に働いているので、週末に買い貯めが可能の大きな食品収納。そして大きなリビング。同様な理由で、限られた時間内で少しでも家族一緒に顔を合わせることが可能な勉強スペース。実に多岐にわたっていた。しかし、はじめから子供室については特に独立したものでなくてよく、要求に従ってスペースを小割にしない一室空間の一部にそれがあることを住まい手もイメージしていた。
そこで、敷地のL型の細長い形状を利用し、カクカクと折れながら連続する壁で、ぐるりと囲まれた一室空間が考えられた。これが、もう一方のこの建物の特徴となった。それに、隙間が窓となる開口のデザインを絡めている。キッチン作業と同時に勉強ができるような空間で、いくつかの出来事が数珠のようにつながった空間形式である。しかし、それぞれの出来事は離れているので、お互いの行動が気にならない空間である。均質であり細長い空間、が考えられた。
ルーズに組み立てられたシステム
隙間としての窓は、小さな中庭や水平窓として、外壁周りにできるだけ均等になるように設けられている。ヒエラルキーのある細長い平面に均質性を与えるには、そうした光のとり込み方が重要となる。
コンクリート壁の一部が建物を支える柱として、地面から屋根スラブまで通っていて、それ以外は、大きなせいのある梁として働き、上下を自由な関係にしている構造がそれを可能にしている。そしてその隙間を、採光開口とする仕組みである。その場合、柱となる壁長を最小限にして、それをXY直行軸から外し、その柱としての存在をあまり感じさせない構成が考えられた。今までのぼくたちのシステムと違って、構造と光の位置が幾何学的に整理されたシステマチックでない方法となっている。
2階の壁仕上げは、黒色のオイルステイン塗装されたラワン合板部分と、白色の無機質ボード。そうして壁のズレを強調している。打設時に断熱材を室内側に打ち込んだ内断熱方式をとり、2階天井には、窓と空調機を備えたボックスを用意し、夏の天井裏換気と天上の下にたまる屋根からの輻射熱を逃がす仕組みが考えられた。
だらだらとした形式
様々な使い方に対応できるような建物の形式について、この頃考えている。普通で考えれば、様々な使い方を可能にするには、空間の意味や形を剥ぎ取った単純な箱がよい。しかし、デパートの催し物場を例にとってみても、そのビルディングタイプ固有の意味づけがなくなることはない。あくまでもデパートのひとつの場所として理解される。それすらも剥ぎ取ろうとすると、今度は箱の抽象性というものに支配されてしまう。多くの近代建築がそうであったのように、こうした場合も目指すはずの柔軟性が実現されてこなかった。もちろん反対の、形と計画を決定論的にしていくことは不可能なことであり、かといって、起こり得る変化に対する網羅的な見通しを提示することでも不十分であるのだろう。少し前までは、ぼくたちは「串」のような建築のあり方を考えていた。串焼きにおける串のように、それ程邪魔とならないが前提的な基準を明確に建築に持ち込む建築のあり方である。それをヒントに、住まい手が生活の組み立てを自由に行える提案であった。あるいは、もっと現実の問題に直視して、空間の目的をひとつひとつ丁寧に実践し、検証し積み上げていく方法もあるかもしれない。
この建物では、建物の構成と計画された採光の方法や使い方などをできるだけ曖昧なままにしておくことが考えられた。それには、明確な空間構成をむしろ避けること。しかし、コンクリート構造壁の形の操作による原則は残すようにはしている。そうすれば、建物の構成、構造、個々の家族の出来事、光の入り具合、内部と外部等々、それらが様々に重複したり、ずれたりして、当初の計画から予想外の変化をおこし、時とともにそれが冗長されていく。住まい手と建物との間の活発なこうした関係は、建物に愛着をもたらし、自由で気持ちよい暮らしを可能にすることが期待されている。
(遠藤政樹/EDH遠藤設計室)
用途:専用住宅
所在地:千葉県船橋市
主体構造:鉄筋コンクリート造
敷地面積:158.32m2
建築面積:74.76m2
延床面積:129.03m2
設計期間: 2006年4月~2007年5月
工事期間: 2007年7月~2008年4月


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