西澤俊理 / NISHIZAWAARCHITECTSによる、ベトナム・ホーチミンシティの「ベンタンのレストラン」

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西澤俊理 / NISHIZAWAARCHITECTSによる、ベトナム・ホーチミンシティの「ベンタンのレストラン」

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西澤俊理 / NISHIZAWAARCHITECTSが設計した、ベトナム・ホーチミンシティの「ベンタンのレストラン」です。

そこで私達も、街並みや建物が持つ歴史や時間を唐突に上塗りするのではなく、また逆に修復保存のみをするのでもなく、過去の時間から現在までもがスムーズに繋がるような空間の更新の仕方は出来ないだろうかと考えた。既存の建物は、外壁も内壁も幾重にも上塗りが繰り返されていた為、これらを全て剥ぎ取って建物が元々持っていた素材まで遡り、そこに新しい素材を丁寧に付加していく。その境目で断絶が生じないよう、フラットで均質な工業製品は極力用いず、手で持ち運べるような小さなスケールの材料を大量に、かつ少しずつずらしながら、ひとつひとつ配置を決めていった。
それと同時に、周辺の街並みと既存の建物、そして室内インテリアとを関係づける為に、建物外壁の内側と外側にそれぞれ1枚ずつのフィルターを付加し、その2枚で挟まれた領域をロッジアとして街並みに開放する。内側のフィルターはベンタン市場の高窓から引用した、約1000枚の強化ガラス(t=8)で構成された大きなジャロジー窓で、室内側に取り込む街並みの風景をガラスの角度や時間帯、季節や天候などの光学的な条件によって様々に分割し、変化させる。外側のフィルターは、ホーチミンの街中でよく見られる鉄製フェンスを直径4mmの丸鋼で再構成したものだ。風が吹けば揺れるほど繊細なフェンスで、建物の外観やロッジアからの眺望に、微小ながら新しい抽象化を加えることを意図した。

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■建築のコンテクスト

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以下、建築家によるテキストです。

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『ホーチミンらしい、これからの街並みについて考える』

フランス統治時代の趣きを残すホーチミン市内の中心部。敷地周辺にはホーチミン観光の顔でもあるベンタン市場や、同時期に整備されたコロニアル様式の建物群が並ぶ。フランスが入植して間もなくの時期で、そこまで古い歴史ではないものの、その頃のサイゴン(ホーチミンの旧名)の空気感を今に伝える大切な街並みである。

しかし、折り重なるように広がる市場の大屋根は既に赤いトタン屋根に張り替えられており、市場の周りを取り囲む建物に至っては、短冊状に分節された上に7、8階建てのミニ・ホテルが所々に挿入されていて、街並みの保存という観点から見れば決して望ましい状況ではない。
その一方で街や建物の使われ方に着目すると、バルコニーの外側を様々なパターンの鉄製フェンスで覆って占有エリアを拡張しているアパートの個室群や、お店が面している路地の狭い空をビニールシートやテントで覆って客席数を稼ぐ簡易食堂、絶妙な位置に植栽や家具を配置して路地の一部を店舗化してしまうコーヒースタンドなど、創意工夫に満ちた簡易な付加構造物や可動構造物が街中に溢れている。こうした可変的で臨場感に満ちた状況は、あたかも市場が街全体に拡張したかのようだ。そして人々が楽しげに見えるのはきっと、自分達で街を自由に変えてゆけるという自信と愛着によるものだろう。街は人々にとって、保存すべき対象としての遺産という以上に日常の風景の延長であって、意識的であれ無意識的であれ、それは人々 - 居住者も旅行者も含めて - が望んでいるアジアらしい街並みの知性なのではないかと思われた。

そこで私達も、街並みや建物が持つ歴史や時間を唐突に上塗りするのではなく、また逆に修復保存のみをするのでもなく、過去の時間から現在までもがスムーズに繋がるような空間の更新の仕方は出来ないだろうかと考えた。既存の建物は、外壁も内壁も幾重にも上塗りが繰り返されていた為、これらを全て剥ぎ取って建物が元々持っていた素材まで遡り、そこに新しい素材を丁寧に付加していく。その境目で断絶が生じないよう、フラットで均質な工業製品は極力用いず、手で持ち運べるような小さなスケールの材料を大量に、かつ少しずつずらしながら、ひとつひとつ配置を決めていった。
それと同時に、周辺の街並みと既存の建物、そして室内インテリアとを関係づける為に、建物外壁の内側と外側にそれぞれ1枚ずつのフィルターを付加し、その2枚で挟まれた領域をロッジアとして街並みに開放する。内側のフィルターはベンタン市場の高窓から引用した、約1000枚の強化ガラス(t=8)で構成された大きなジャロジー窓で、室内側に取り込む街並みの風景をガラスの角度や時間帯、季節や天候などの光学的な条件によって様々に分割し、変化させる。外側のフィルターは、ホーチミンの街中でよく見られる鉄製フェンスを直径4mmの丸鋼で再構成したものだ。風が吹けば揺れるほど繊細なフェンスで、建物の外観やロッジアからの眺望に、微小ながら新しい抽象化を加えることを意図した。

都市の更新スピードが益々速まるばかりのホーチミンにあって、この街にあるべき知性を見い出し、これまでの歴史とこれからの時間との共存の仕方を議論することは、この街の将来を考える上で今、とても大事なことだと思う。

■建築概要
Project名:ベンタンのレストラン
所在地:ベトナム、ホーチミンシティ
用途:レストラン
階数:地上3階
構造:RCラーメン構造+鉄骨補強
建築面積:180 m2
述床面積:440 m2
施工:Trung Long Company
竣工:2017年3月


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