神田篤宏+佐野もも / コンマによる、東京の住宅「隙間の家」

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神田篤宏+佐野もも / コンマによる、東京の住宅「隙間の家」

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神田篤宏+佐野もも / コンマが設計した、東京の住宅「隙間の家」です。

建築を考える際にある種の「平等性」がつくれたらよいな、と考えている。それはどのような人に対しても一律なものではなく、それぞれ違う人や、事柄に対する最適解の集合体のような建築だ。
法規や慣習、利用者の生活や使い方、周辺の影響や施工合理性など、それぞれの次元を取り上げてみるとそれらは、連動することもあれば時に相容れず並行を辿ることもある。建築をそうした様々な独立した論理や理屈の集合体だと考えると、これらを統合しそのものの全体性でコントロールして完結するのではなく、独立した論理の集まりとして捉え直すことができる。

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以下、建築家によるテキストです。

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隙間の家  
建築を考える際にある種の「平等性」がつくれたらよいな、と考えている。それはどのような人に対しても一律なものではなく、それぞれ違う人や、事柄に対する最適解の集合体のような建築だ。
法規や慣習、利用者の生活や使い方、周辺の影響や施工合理性など、それぞれの次元を取り上げてみるとそれらは、連動することもあれば時に相容れず並行を辿ることもある。建築をそうした様々な独立した論理や理屈の集合体だと考えると、これらを統合しそのものの全体性でコントロールして完結するのではなく、独立した論理の集まりとして捉え直すことができる。

・都市に参加する木架構
都内の住宅地に建つ木造2階建ての専用住宅の計画である。
この専用住宅を「都市木造住宅」のひとつのモデルとして考え、木部が仕上の素材としてだけではなく、架構として都市の街並みに参加できないだろうかと考えた。敷地周辺は東京都安全条例により「新たな防火区域」として指定されており、木造2階建住宅も準耐火建築物とすることが義務付けられている。
ここでは屋内の柱や床組、小屋組をあらわしの架構とし、外壁とそれを支える内壁を分厚い耐火壁で構成する「準耐火建築物(ロ-1)」とした。
敷地は長手方向が東街路に面しており、その道は商店街に通じていることから人通りも多い。そこで、住み手が道行く人との関係性をつくると同時に内包された木架構が街に参加するように、2層にまたがる大きな穴を分厚い外壁にぱかっと開け、いわば街との「腹を割った関係」をつくることにした。
この建物は2種類の構造モデルから成る。一つ目は常時「被覆された架構」と「あらわしの架構」を合わせた、全体で成立する構造モデル。二つ目は火災時に「あらわしの架構」が焼失しても「被覆された架構」のみで自立する構造モデルである。
「被覆された架構」は外周部と内部の水周りとキッチンに「目の字」に配され、2階の床組と軸力を負担する柱は「あらわしの架構」としている。あらわしの架構が被覆を貫通しないよう、両者を絶縁しているため内部空間ではそれぞれが独立した状態で共存している。
2つの構造の絶縁性から先述の2層にまたがる「ぱかっと開口」と「あらわしの架構」にはカラダが通れないほどの隙間が生じている。
この「隙間」は街と住人との縁側のようなバッファーであり、1,2階の気配を感じる吹抜のような空間だ。奥行の浅さと大開口によって内部からは外のような空間にも感じられ、2階の部屋から窓を開けようとすると越境して隣の家の窓を開けているようでもある。そして「ぱかっと開口」の縁に座ると脚は道路にはみ出し、身体そのものが家と街を横断する。
様々な捉え方ができ、何と呼んでよいのかわからない「隙間」がそれぞれの異なる理屈と理屈が重なったところに生まれた。

・「隙間」の多義性
このように敷地の与件や街との関係、建主の要望、構造に伴う判断などを洗い出し、それらのどれかを優先することなく設計を進めていった。それは様々な矛盾との並走でもある。
例えば建主が住宅に求める要望は必ずしも単一の方向には向かない。エアコンの温熱環境を配慮して各室を区切りたいが、一方で家全体を抜ける通風の心地よさも求められたり、部屋としての独立性は欲しいが孤立はしたくない、など。ある切り口によっては成立する解も別の切り口から見ると成立しないことがある。それらの「ズレ」をどれかひとつの論理に統合することなく矛盾を孕んだまま残していくことにした。そうすると、「家族の気配を感じる吹き抜け」や「光を取り込むスリット」のような単独の目的を持った空間ではなく、受け手や状況によって様々な解釈のできる良い意味で不明瞭な空間が生じる。それは「特定の目的に応答した空間をつくる」というよりは、なにが生じるのかあぶりだすような作業に近い。
「被覆された架構」の廊下は2階の「あらわしの架構」の居室の床面とは絶縁しているので、2階全体から階段と合わせて見ると大きくクレーターのようにくぼんでいる。そのくぼみは家族の読書スペースにもなるが、隙間越しに1階とつながり、立つ位置によっては結果的に吹き抜けのような場所となる。
こうして様々な論理を直截的に重ね合わせてみることで、一義的には決めきれない自由さというものをつくりたい。このプロジェクトでは多様な意味が生じる場を「隙間」に見出した。

■建築概要
所在地:東京都
建物用途:専用住宅
用途地域:第一種専用住居専用地域
防火指定:準防火地域, 新たな防火規制区域
設計監理:コンマ, 一級建築士事務所comma
構造設計:小山内博樹
施工  :株式会社広橋工務店
竣工:2017年7月
建築面積:48.54㎡
延床面積:89.76㎡
構造規模:木造地上2階建
写真:長谷川健太


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