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小笠原優建築設計事務所による、石川の住宅「t邸」
小笠原優建築設計事務所による、石川の住宅「t邸」 photo©masaru ogasawara and associates
小笠原優建築設計事務所による、石川の住宅「t邸」 photo©masaru ogasawara and associates

小笠原優建築設計事務所が設計した、石川の住宅「t邸」です。

地方都市郊外に建つ、若い家族のための住居である。積雪量1m超の豪雪地帯に建つ木造家屋であり、周囲には住宅や店舗、畑や町工場などが混在している。

構成は、単純かつ複雑である。経済性と積雪等に配慮して、寸法はすべて在来工法の基準寸法で統一し、屋根はシンプルな片流れとした。二階はほとんど無駄がなく、ほぼ要求条件の最適解に等しい。徹底してリーンである。一方で、一階の主空間には平面的複雑さとシークエンスの冗長さが伴う。視線は壁や家具に遮られ、空間の端緒は見えない。常に何処かが隠れている。これらは工法による制約から生じた結果でもある。大きな室容積が確保できないため、必然的にいくつものヴォリュームが対角線状に連なる。耐力壁が視界を横切る。それによって風景は多様に見えがくれし、空間に奥行きと拡がりがうまれる。

敷地の南側には既存の大きな庭があり、建物は北側に寄せ東西方向に長く配置した。梁間方向に生じる耐力壁や袖壁は庭への志向を高め、それぞれの空間をゆるやかに分節する。天井高を抑えた玄関ホールや垂直に立ち上がる階段室、掘り込まれたリビングや庭に張り出したダイニングなど、アプローチから建物の内奥にいたるまで、各々の空間は多様に振幅しながら様々な対比とグラデーションを描く。

隈研吾による、東京・渋谷区のオフィスビル「AD-O 渋谷道玄坂」の写真

隈研吾のウェブサイトに、東京・渋谷区のオフィスビル「AD-O 渋谷道玄坂」の写真が6枚掲載されています。

渋谷道玄坂のけやき並木沿いに、樹木と呼応する樹皮のようなスキンを纏ったオフィスビルをデザインした。

樹皮は木目を忠実に印刷で施した薄いアルミパネルで作られ、様々な大きさの樹皮を折り曲げ、めくり上げることで、均質になりがちなオフィスビルのファサードに独特の陰影とリズムを生み出した。

また樹皮の隙間に設けた様々なサイズの開口部からは、木漏れ日のような光が、フロアに射し込む。オフィス空間の中に、どのように自然を持ち込み、どのようにヒューマンなスペースを創造するかに挑戦した。

隈研吾による、滋賀の「守山市立図書館」の写真

隈研吾のウェブサイトに、滋賀の「守山市立図書館」の写真が14枚掲載されています。

地域に開かれ、市民に開かれたストリート型の図書館をデザインした。中心となる室内化したストリートのまわりに、街と調和する家のような小さなボリュームを並べた。守山の街のストリートが、図書館の中のストリートへと連続し、図書館が街の生活の一部となることを試みた。

このストリートは県産である杉材で覆われ、森の中を散策するように本や人と出会い、木もれ日の中で学ぶことができる。

最も注目を集めたトピックス [期間:2019/7/8-7/14]
最も注目を集めたトピックス [期間:2019/7/8-7/14]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2019/7/8-7/14)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


1、Buttondesign / 村上譲・菊田康平による、静岡の住宅「朝霧高原の家」

2、中山英之がディレクション、藤村龍至が課題制作し、更に11人の建築家が講評・エスキスに加わる、ワークショップ型の建築展『課題「島京 2021」』が参加者を募集中

3、小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国の、限界集落の6棟を解体して宿泊施設を新築し村を再生するプロジェクト「大山初里-Origin Villa-」

4、町秋人建築設計事務所による、静岡の「神戸の住宅」

5、柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、京都・京田辺市のレストラン『中国料理「香」』

6、長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・中央区の店舗「JINS 銀座ロフト店」

7、松本光索による、東京・港区の「素材、表層、用途なしの空間」

8、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館キュレーター選定指名コンペで門脇耕三が選出。その他のコンペ参加者は、豊田啓介・馬場正尊・山梨知彦。

9、松島潤平が東大での講義用に制作し、SNSでも話題となった設計のプロセスの解説図を、より詳細に説明した記事「設計課題の取り組み方」

10、岡田宰 / 2id Architectsによる、静岡・浜松市の自邸「白岩の家」の内覧会が開催

11、柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、神奈川・横浜市の学童保育施設「PUZZLE」

12、多田正治アトリエによる「九重の竹テント」

13、坂牛卓+O.F.D.A.による、東京・新宿区の住宅「坂牛邸」

14、青木淳による、ギャラリー間での中山英之の建築展「, and then」に関する論考

15、森田一弥建築設計事務所が改修を手掛けた、京都の住宅「下鴨の家」の写真

16、ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による、ズントーも協同する金属工の仕事場を訪問したエピソードを綴った、連載エッセイの最新回「職人と建築家のあいだ」

17、藤原徹平 / フジワラテッペイアーキテクツラボによる、東京・世田谷区の住宅「弦巻の家」の写真

18、長谷川豪に、ルイス・バラガンについて聞いているインタビュー動画

19、京都の静原に事務所を構える「森田一弥建築設計事務所」の日常を捉えた動画の2019年版

20、松島潤平が東大での講義用に制作した、設計のプロセスの解説図がtwitterで話題に


過去の「最も注目を集めたトピックス」はこちらでどうぞ

中山英之がディレクション、藤村龍至が課題制作し、更に11人の建築家が講評・エスキスに加わる、ワークショップ型の建築展『課題「島京 2021」』が参加者を募集中


藤村龍至による課題解説動画


参加建築家によるキックオフミーティングの様子

 
中山英之がディレクション、藤村龍至が課題制作し、更に11人の建築家が講評・エスキスに加わる、ワークショップ型の建築展『課題「島京 2021」』が参加者を募集しています

中山英之がディレクション、藤村龍至が課題制作し、更に11人の建築家が講評・エスキスに加わる、ワークショップ型の建築展『課題「島京 2021」』が参加者を募集しています。
この建築展は「TOKYO 2021」の一環として行われるもので、アーティスト藤元明が総合ディレクションを務め、企画アドバイザーとして永山祐子が関わっています。ワークショップへの参加費は無料対象は「建築を学び、東京の未来像について考えることに興味のある方」との事応募締め切りは2019年7月19日です。
参加者は数グループに分かれ、13人の建築家たちと交互に日々議論を重ね、会期を通してグループごとに建築家と一緒に提案をつくりあげ、最後の討論会ではその提案を提言として討論会をするとの事。【ap・ad】

参加建築家:
ディレクション|中山英之
課題制作|藤村龍至
講評建築家|浅子佳英/成瀬友梨/西澤徹夫/藤原徹平/吉村靖孝
エスキスリーダー|岩瀬諒子/木内俊克/常山未央/中村航/連勇太朗
企画アドバイザー|永山祐子

建築家のコレクティブによる未来への提言
都市の前提が揺らぐ現代社会の変化を背景に、ポストオリンピック・パラリンピック=2021年以後の東京の都市状況を「東京=島京2021」をキーワードに考えたいと思います。建築の教育現場では建築家から架空の設定をもとに課題が出され、それに対して提案が制作されます。課題には時代性や出題者の建築観が盛り込まれます。今回は建築家である中山英之、藤村龍至が「東京=島京2021」の現状に対するオルタナティブを問う課題を作成し、“考える現場” としての建築展を提案します。参加者は数グループに分かれ、13人の建築家たちと交互に日々議論を重ね、会期を通してグループごとに建築家と一緒に提案をつくりあげていきます。最後の8月24日の討論会ではその提案を提言としてゲストを迎えて皆んなで討論をします。

詳細な情報は以下でご確認ください。

【ap job 更新】 Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが、建築士(実務経験あり)を募集中
【ap job 更新】 Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが、建築士(実務経験あり)を募集中
【ap job 更新】 Atelier Tsuyoshi Tane Architectsが、建築士(実務経験あり)を募集中New ATTA atelier | Paris, France | 2019 | photo©Atelier Tsuyoshi Tane Architects

 
アーキテクチャーフォトジョブボードに新しい情報が追加されました

Atelier Tsuyoshi Tane Architectsの、建築士(実務経験あり)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

田根剛が代表を務めるATTAはパリを拠点に活動しています。現在、フランス、イタリア、スイス、ブータン、日本など大小30以上のプロジェクトが進行しています。世界各国から未来の建築を実現するために集まった才能豊かなスタッフと共に歴史と芸術文化を誇るパリを拠点にしながら、これから先の建築をチャレンジしています。世界を舞台に国際的な環境で建築を志したい方の応募お待ちしています。
http://at-ta.fr/

長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・中央区の店舗「JINS 銀座ロフト店」
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・中央区の店舗「JINS 銀座ロフト店」 photo©阿野太一
長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・中央区の店舗「JINS 銀座ロフト店」 photo©阿野太一

長坂常 / スキーマ建築計画が設計した、東京・中央区の店舗「JINS 銀座ロフト店」です。

まず、メガネ置きを考えることからこの計画は始まり、色々な日常品の中から比較検討した結果、スコッチ・ブライト スポンジエースが一番優しく安定して置くことができると考えた。そして、そのスポンジが日常品であることから、置かれるところも日常的に馴染みのあるスチールラックが良いと考えた。また、スチールラックだけでは賄えない什器があり、それらもスチールラックをカスタマイズし作った。それによって他のLOFTの売り場に負けない存在感と陳列量を実現させた。

小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国の、限界集落の6棟を解体して宿泊施設を新築し村を再生するプロジェクト「大山初里-Origin Villa-」
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国の、限界集落の6棟を解体して宿泊施設を新築し村を再生するプロジェクト「大山初里-Origin Villa-」 photo©堀越圭晋 / エスエス
小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国の、限界集落の6棟を解体して宿泊施設を新築し村を再生するプロジェクト「大山初里-Origin Villa-」 photo©堀越圭晋 / エスエス

小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所が設計した、中国の、限界集落の6棟を解体して宿泊施設を新築し村を再生するプロジェクト「大山初里-Origin Villa-」です。

中国農村部の廃れた限界集落(空心村)の6棟を解体して宿泊施設を新築し村を再生するプロジェクト。

集落の中に点在する形でホテルが入り込む為、当然周囲の民家との景観的な調和は求められた。地元の土を使って作る土壁は美しい。ただ、どっしりとした土壁で囲まれた空間は閉塞感があり、室内から周囲の美しい景観を満足に望むことができない。また、生活感溢れる土壁でできた集落に馴染みすぎてしまっては、旅行客の集客は望めない。
この地の豊かな自然環境を十分に享受する(開く)ことと、周辺の集落との調和(土壁で閉じる)する必要もある、相反する2つの条件が課題となった。

森田一弥建築設計事務所が改修を手掛けた、京都の住宅「下鴨の家」の写真

森田一弥建築設計事務所が改修を手掛けた、京都の住宅「下鴨の家」の写真が18枚公開されています。

京都市の下鴨神社に近い住宅地に建つ木造建物を改修した小さな住宅である。前面道路は京都と日本海をつなぐ街道の1つ鞍馬街道で、ゆるくカーブした道の両側には町家などの古い民家も点在する。

 門から続く「路地庭」を歩いていくと玄関に着く。室内はコンクリートの土間で仕上げられ、土間のすぐ先に庭の緑が感じられる。土間部分の壁と天井もまた白漆喰で覆われているが、垂れ壁を設けてガラス面を切り取り、漆喰の入隅を丸めて洞窟のように仕上げることで、庭をすぐそばに感じながらも適度に壁に包まれた安心感を得ることができる。

 庭に面した土間空間と対照的に、一階のキッチンと二階の寝室は、既存の木造軸組や古い土壁をできる限り露出することで、この建物の経てきた歴史と構造的な成り立ちを感じられるようにしている。

ガラス張りの白い浴室を通過して、寝室にはいつも明るい光が届く。そして寝室から洗面室を通り抜けた先にあるベランダからは再び、アプローチの「路地庭」を見渡すことができる。

森田一弥建築設計事務所による、京都の住宅「銀閣寺前町の家」の写真

森田一弥建築設計事務所のウェブサイトに、京都の住宅「銀閣寺前町の家」の写真が18枚掲載されています。

京都市の銀閣寺への参道に近い、哲学の道に面した敷地に建つ住宅。周辺は塀や生垣に囲まれた住宅が並ぶ閑静な住宅地の一角にあたる。
「塀に囲まれた邸宅」という周辺地域に共有された配置を踏襲し、敷地の中央に長方形のボリュームを配置し、周囲に残った細長いスペースを庭として楽しめるような計画とした。
一階部分はできる限り明るく開放的な空間となるよう、コンクリートのコアとスチールのスレンダーな柱で支えられた構造として、障子を開ければどの方角にでも住宅を取り囲んだ庭を楽しめるようにしている。
開放的な一階から一転して、二階部分はごく限られた窓を持つ木造の空間である。階段を上った先にあるサンルームでは南側の哲学の道に対する眺望を確保しつつ、寝室では近隣の住宅から室内のプライバシーを守っている。

京都の静原に事務所を構える「森田一弥建築設計事務所」の日常を捉えた動画の2019年版 柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、神奈川・横浜市の学童保育施設「PUZZLE」
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、神奈川・横浜市の学童保育施設「PUZZLE」 photo©長谷川健太
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、神奈川・横浜市の学童保育施設「PUZZLE」 photo©長谷川健太
柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsによる、神奈川・横浜市の学童保育施設「PUZZLE」 photo©長谷川健太

柿木佑介+廣岡周平 / PERSIMMON HILLS architectsが設計した、神奈川・横浜市の学童保育施設「PUZZLE」です。

横浜・元街小学校放課後キッズクラブの改修計画である。内装は一切手を付けられず、家具のみで小学校の標準教室的な雰囲気を一新してほしいという条件であった。子供が自分で居場所を見出し、作り上げられるきっかけに満ちたインテリアを提案した。

住宅用の置くだけのタイルカーペットを用いて幾何学模様を作り、色や種類を変えて踏み心地のバリエーションを生み出した。タイルカーペットの大きさに合わせた箱家具は磁石によって家具同士がぴたりと着くようになっている。S極とN極が直感的にわかるように着色を行った。

長谷川豪に、ルイス・バラガンについて聞いているインタビュー動画 ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による、ズントーも協同する金属工の仕事場を訪問したエピソードを綴った、連載エッセイの最新回「職人と建築家のあいだ」

ピーター・ズントー事務所でプロジェクトリーダーを務める杉山幸一郎による、ズントーも協同する金属工の仕事場を訪問したエピソードを綴った、連載エッセイの最新回「職人と建築家のあいだ」が公開されています

Buttondesign / 村上譲・菊田康平による、静岡の住宅「朝霧高原の家」
Buttondesign / 村上譲・菊田康平による、静岡の住宅「朝霧高原の家」 photo©淺川敏

Buttondesign / 村上譲・菊田康平が設計した、静岡の住宅「朝霧高原の家」です。

静岡県の朝霧高原にある牧場主の農家住宅である。
朝霧高原は富士山の西側標高870mの麓に位置し一体が牧場地帯になっている。名前の通り朝には霧がかかることが多く、それが晴れると雄大な富士山が姿を現す。山の激しい天候の移り変わりや日差しの傾きによって1日の中でもその姿が全く異なる景色に変化することに驚いた。

この景色が地域住民にとって日常ではあるものの、それとしてだけでなく生活の一部として、人と自然の間に目に見えない繋がりを感じ取ったことが設計の第一歩であった。

多田正治アトリエによる「九重の竹テント」
多田正治アトリエによる「九重の竹テント」 photo©多田正治アトリエ

多田正治アトリエが設計した「九重の竹テント」です。

和歌山県の山中の20人ほどの集落「九重(くじゅう)」。
6年前に東京より移住してきた若者たちが、旧九重小学校で「bookcafe kuju」と「パンむぎとし」を営んでいる。
彼らが中心となり主催するイベント「KUJU MARKET」は5年目を迎え「雨でも楽しい」をコンセプトに梅雨時2daysの開催を試みた。
紀伊半島大水害(2011)など水害の多い地域でもあり、
そのコンセプトを実現するために「九重の竹テント」を、設計・施工した。

テントの主構造には竹を用いている。
熊野の主幹産業のひとつに林業があるが、ヒノキ・スギ林にとって竹害は大きな問題である。
竹の利用方法の可能性のひとつとして、
竹の伐採から、試作を重ねた検討を経て、9つのテントが連なるイベント会場をつくりあげることとした。

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