ツバメアーキテクツ+津賀洋輔建築事務所が設計した「京都の町家ホステル 器」です。施設の公式サイトはこちら(予約も可能)です。
京都東山区に建つホステルの計画。
敷地は中心部から離れた住宅地の中にある。
周辺ではぽつぽつと、ゲストハウスやカフェなど観光客向けの施設が新しくオープンしている様子が目につく。インバウンドが急増していく一方で、高齢化によって空き家や空き店舗が増加するという状況が結びつき、住宅地が住民と観光客が入り混じる場所に変化しているようだ。
そこに建つホステルはどんなものであるべきだろうか。例えば、目新しい建物を建てることによって、観光客の注目を集め、集客力を高めるという戦略がありえる。
しかしそれでは、住民と他所者という対立的な図式を強調してしまい、お互いにとっていい環境はつくれない。むしろその建物が建つことによって住民と観光客が良好な関係を築ける場所にしたい。そのために、住民が普段慣れ親しんだ住宅のようにつくり、観光客はそこに泊まって地域の暮らしを追体験できるようにしてはどうか。近隣の住宅、それは町家である。町家という建築形式を拠り所にして、住民も観光客も共に暮らす。町家に暮らす観光都市である。