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ヘザウィック・スタジオによる、イギリス・ロンドンの「Tree of Trees」。女王の在位70周年記念行事の為に計画。世界中で植樹を行ってきた女王を称える為に、350本の樹木を用いた高さ21mの彫刻を考案。アルミ製の鉢と樹木は記念祭後に全国の植樹家達に贈呈
ヘザウィック・スタジオによる、イギリス・ロンドンの「Tree of Trees」。女王の在位70周年記念行事の為に計画。世界中で植樹を行ってきた女王を称える為に、350本の樹木を用いた高さ21mの彫刻を考案。アルミ製の鉢と樹木は記念祭後に全国の植樹家達に贈呈 photo©Jonathan Banks
ヘザウィック・スタジオによる、イギリス・ロンドンの「Tree of Trees」。女王の在位70周年記念行事の為に計画。世界中で植樹を行ってきた女王を称える為に、350本の樹木を用いた高さ21mの彫刻を考案。アルミ製の鉢と樹木は記念祭後に全国の植樹家達に贈呈 photo©Raquel Diniz_Heatherwick Studio
ヘザウィック・スタジオによる、イギリス・ロンドンの「Tree of Trees」。女王の在位70周年記念行事の為に計画。世界中で植樹を行ってきた女王を称える為に、350本の樹木を用いた高さ21mの彫刻を考案。アルミ製の鉢と樹木は記念祭後に全国の植樹家達に贈呈 photo©Raquel Diniz_Heatherwick Studio

ヘザウィック・スタジオが設計した、イギリス・ロンドンの「Tree of Trees」です
エリザベス女王の在位70周年記念行事の為に計画されました。デザイナーは、世界中で植樹を行ってきた女王を称える為に、350本の樹木を用いた高さ21mの彫刻を考案しました。また、アルミ製の鉢と樹木は記念祭後に全国の植樹家達に贈呈されます。

こちらはリリーステキストの抄訳

バッキンガム宮殿の外には、2022年6月に行われる女王のプラチナ・ジュビリー(※70周年記念行事)の目玉として、350本のイギリス原産の樹木を使った高さ21メートルの壮大な「Tree of Trees」の彫刻が制作されます。

ヘザウィック・スタジオがデザインしたこの彫刻は、「クイーンズ・グリーン・キャノピー(QGC)」の一環として、2021年10月から2022年3月までの最初のシーズンに100万本以上の植樹を促し、全米を席巻した記念祭の楽しい植樹を反映したものです。

この彫刻は、70年の在位期間中に世界中で1,500本以上の木を植えた女王陛下を称え、この歴史的な節目の中心に木と自然の重要性を据えることを目的としています。

350本の木は、女王陛下の紋章が刻印されたアルミニウム製の鉢にセットされます。記念祭の週末が終わると、樹木は選ばれたコミュニティグループや団体に贈られ、その活動を称えるとともに、全国の次世代の植樹家たちを刺激することになります。樹木は夏の間、慎重に保管され、10月の植樹シーズンに向けて配布される予定です。選考方法の詳細については、追ってお知らせします。

クイーンズ・グリーン・キャノピーは、都市の緑化、田園地帯の再生、コミュニティの団結を支援するために活動しています。パートナーとの協力のもと、クイーンズ・グリーン・キャノピーの主要な要素として、社会経済的な困窮度が高く樹冠被覆率の低い地域での都市緑化プロジェクトを支援するプログラムがあります。トーマス・ヘザウィックとそのチームは、木と自然をデザインの中心に据えており、このテーマを忠実に反映したクリエイティブなアプローチをとっています。

この彫刻は、クリーブランド、ハル、ケンブリッジシャー、ホーブなど、地元のサプライヤーから材料と専門知識を得て、再生鋼材と新鋼材で作られています。クイーンズ・グリーン・キャノピーは、慈善事業として行われています。彫刻「Tree of Trees」は、ブルームバーグ・フィランソロピーズの支援を受けています。

トーマス・ヘザウィックは次のように述べています。
「『Tree Of Trees』を制作できることは、私たちにとって名誉なことです。350本のイギリス原産の木とリサイクルされたスチールから作られたこの構築物は、文字通り国の風景を変えようとしている素晴らしいコミュニティキャンペーンの一環として、国中の工房や苗床から集まってきています」

狩野佑真とイッセイ ミヤケのコラボによる「TYPE-Ⅳ Yuma Kano project」。狩野の代表作“錆の収穫”を発展。ジーンズの型を刻んだ金属パネルを様々な環境で錆びさせ、予期せぬ錆模様を発生させ“収穫”。スキャンしてデータ化の後にジャカード織で表現
狩野佑真とイッセイ ミヤケのコラボによる「TYPE-Ⅳ Yuma Kano project」。狩野の代表作“錆の収穫”を発展。ジーンズの型を刻んだ金属パネルを様々な環境で錆びさせ、予期せぬ錆模様を発生させ“収穫”。スキャンしてデータ化の後にジャカード織で表現Untitled (Some Rust Ⅲ #279), 2022 © Gottingham Image courtesy of Issey Miyake Inc., Studio Yumakano and Studio Xxingham photo©Gottingham
狩野佑真とイッセイ ミヤケのコラボによる「TYPE-Ⅳ Yuma Kano project」。狩野の代表作“錆の収穫”を発展。ジーンズの型を刻んだ金属パネルを様々な環境で錆びさせ、予期せぬ錆模様を発生させ“収穫”。スキャンしてデータ化の後にジャカード織で表現Untitled (Some Rust Ⅲ #100), 2022 © Gottingham Image courtesy of Issey Miyake Inc., Studio Yumakano and Studio Xxingham photo©Gottingham

狩野佑真イッセイ ミヤケのコラボレーションによる「TYPE-Ⅳ Yuma Kano project」です。
狩野の代表作“錆の収穫”を発展させたプロダクトです。デザイナーは、ジーンズの型を刻んだ金属パネルを様々な環境で錆びさせ、予期せぬ錆模様を発生させ“収穫”しました。そして、デジタルスキャンしてデータ化の後にジャカード織で表現しました。

異分野や異業種との出会いからさまざまな「ABLE」を生み出すA-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、新進気鋭のデザイナー狩野佑真氏と取り組んだ実験的なプロジェクト「TYPE-Ⅳ Yuma Kano project」を発表します。

宮前義之率いるエンジニアリングチームによるブランドA-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、A-POCが20年余にわたり追究してきた独自のものづくりを継承し、さらに発展させています。異分野や異業種とのワクワクするような巡り会いや発見から、A-POCの可能性をさらに引き出したい。「ABLE」ということばには、そんな思いが込められています。

ものづくりの長い歴史の中で悪者とされてきた錆。よく見ると、さまざまな色が複雑に混ざり合い、とても美しい模様を作り上げていることに気づきます。本来であれば誰もが見落としてしまう錆の模様に、狩野氏の視点と発想が加わることにより、新たな価値が生まれました。

そんな狩野氏の代表作「Rust Harvest|錆の収穫」は、錆びた金属板から錆のみをアクリル樹脂に転写する斬新な手法を用いた、オリジナルプロジェクトです。日光・雨・土・海水などの自然要素を用いて自身の手で金属板の錆を育て、そこから錆のみを剥がした金属板を再び錆びさせて、新たな錆を作り出す。まるで農作物を生産するサイクルのように錆の模様を“収穫”していきます。

今回のプロジェクトでは狩野氏の代表作「Rust Harvest|錆の収穫」からアイデアを発展させた、唯一無二のジーンズが登場します。

私たちの現代生活に欠かすことのできない存在となったジーンズは、履くたびに生地が柔らかくなり、色の変化が生じる衣服です。その変化は決してネガティブなものでなく、着用者それぞれが積み重ねてきた時間や経験を改めて振り返り味わうことのできる、価値のある変化です。
A-POC ABLE ISSEY MIYAKEは、狩野氏が錆にもたらす新たな価値とジーンズとの高い親和性を見出し、今回のプロジェクトが結実しました。

リリーステキストより
長谷川豪による、椅子「Seatless Chair」と照明「Lamp Cable Lamp」。ベルギーのMANIERAの為にデザイン。デザイナーズチェアの脚、照明のケーブルが、デザインの対象として軽視されている事への疑問から構想が始められたプロダクト。身の回りにある慣習的な要素に再考を促す
長谷川豪による、椅子「Seatless Chair」と照明「Lamp Cable Lamp」。ベルギーのMANIERAの為にデザイン。デザイナーズチェアの脚、照明のケーブルが、デザインの対象として軽視されている事への疑問から構想が始められたプロダクト。身の回りにある慣習的な要素に再考を促すAluminium, polished and varnished, L36xW45xH66cm; Seat H45cm photo©Jeroen Verrecht
長谷川豪による、椅子「Seatless Chair」と照明「Lamp Cable Lamp」。ベルギーのMANIERAの為にデザイン。デザイナーズチェアの脚、照明のケーブルが、デザインの対象として軽視されている事への疑問から構想が始められたプロダクト。身の回りにある慣習的な要素に再考を促すCable (silver or bronze), electrical fittings, D33xH12cm photo©Jeroen Verrecht
長谷川豪による、椅子「Seatless Chair」と照明「Lamp Cable Lamp」。ベルギーのMANIERAの為にデザイン。デザイナーズチェアの脚、照明のケーブルが、デザインの対象として軽視されている事への疑問から構想が始められたプロダクト。身の回りにある慣習的な要素に再考を促す photo©Jeroen Verrecht

長谷川豪がデザインした、椅子「Seatless Chair」と照明「Lamp Cable Lamp」です。
ベルギーのMANIERAの為にデザインされました。デザイナーズチェアの脚、照明のケーブルが、対象として軽視されている事への疑問から、長谷川はプロダクトの構想を始めました。これらの作品は、我々の身の回りにある慣習的な要素に再考を促します。

MADのマー・ヤンソンによる椅子「デュナーミク・チェア」と「スレッド・チェア」。サワヤ&モローニの為にデザイン。前者は、動きと流動性に詩的な焦点を当てた椅子で、座るための彫刻として構想。後者は、アルミ棒を束ねるだけで作られ、金属素材そのものを芸術表現に変えようと構想
MADのマー・ヤンソンによる椅子「デュナーミク・チェア」と「スレッド・チェア」。サワヤ&モローニの為にデザイン。前者は、動きと流動性に詩的な焦点を当てた椅子で、座るための彫刻として構想。後者は、アルミ棒を束ねるだけで作られ、金属素材そのものを芸術表現に変えようと構想デュナーミク・チェア photo courtesy of MAD
MADのマー・ヤンソンによる椅子「デュナーミク・チェア」と「スレッド・チェア」。サワヤ&モローニの為にデザイン。前者は、動きと流動性に詩的な焦点を当てた椅子で、座るための彫刻として構想。後者は、アルミ棒を束ねるだけで作られ、金属素材そのものを芸術表現に変えようと構想スレッド・チェア photo courtesy of MAD

MAD・アーキテクツのマー・ヤンソンがデザインした椅子「デュナーミク・チェア」と「スレッド・チェア」です。
イタリアのサワヤ&モローニの為にデザインされたプロトタイプです。前者のデュナーミク・チェアは、動きと流動性に詩的な焦点を当てた椅子で、座るための彫刻として構想されました。後者のスレッド・チェアは、アルミ棒を束ねるだけで作られ、金属素材そのものを芸術表現に変えようと構想されました。

こちらはリリーステキストの翻訳

2022年のミラノデザインウィークのオープニングに、MADアーキテクツのプリンシパルパートナーであるマー・ヤンソンが、サワヤ&モローニと「未来への回帰」をテーマにした2つのプロトタイプ「デュナーミク・チェア」と「スレッド・チェア」を発表しました。

デュナーミク・チェア
座るための彫刻。動き続ける空間の凍結した形。動きと流動性に詩的な焦点を当てた椅子。まるでオブジェのように、加速度と強度の痕跡を残す。エアロダイナミックで、なめらかで、カリスマ的。中空の金属製の支持脚は、彫刻を強さと均衡のとれた状態にします。肘掛けは、シンプルな曲面によって、スピード感のある前傾姿勢を作り出します。このチェアは、動き、エネルギー、空間の変化をそのフォルムに取り込んでいます。

スレッド・チェア
アルミニウムの棒を束ねるだけでつくられるスレッドチェアは、その構造と素材から有機的なフォルムと美的価値を引き出しています。不用意なラインの曲がりやユニークなカーブが、全体のフォルムに自然な形を与え、優しく繊細な網の目のようです。スリムで有機的、かつ複雑なフォルム。チェア全体が風に吹かれるようなダイナミックなポーズをとっています。金属という素材そのものを芸術的な表現に変える試みです。

この新作は、2022年ミラノデザインウィーク期間中の2022年6月7日から12日まで、ミラノのサワヤ&モローニのショールームで展示されています。著名なデザインの祭典にMADが参加するのは今年で3年目。MADが過去にデザインした「グ・チェアー」は、パリのポンピドゥー・センターのパーマネント・コレクションに収蔵されています。

ザハ・ハディド事務所によるラグコレクション。イルリアン社の為の製品。ファームの建築に関する研究と実践とメーカーの素材と製造工程に関する調査を発展させてデザイン。糸の太さや織りの工程によってもデザイン要素を表現
ザハ・ハディド事務所によるラグコレクション。イルリアン社の為の製品。ファームの建築に関する研究と実践とメーカーの素材と製造工程に関する調査を発展させてデザイン。糸の太さや織りの工程によってもデザイン要素を表現‘Perspective 01’ rug within the ‘Architectural’ collection. Photograph by Iwan Baan. Courtesy of Fondazione MAXXI.
ザハ・ハディド事務所によるラグコレクション。イルリアン社の為の製品。ファームの建築に関する研究と実践とメーカーの素材と製造工程に関する調査を発展させてデザイン。糸の太さや織りの工程によってもデザイン要素を表現‘Perpective 01’ rug within the ‘Architectural’ collection

ザハ・ハディド・アーキテクツによるラグコレクションです。
イルリアン社の為の製品です。建築家は、ファームの建築に関する研究と実践と、メーカーの素材と製造工程に関する調査を発展させてデザインしました。また、糸の太さや織りの工程によってもデザイン要素を表現しています。

こちらはリリーステキストの翻訳

ザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)の新しいラグコレクションは、ヒマラヤのウールとシルクのハンドメイドで作られており、イルリアンの天然素材と織り方の複雑なクラフトマンシップと、ZHAの建築における視点、形、空間の操作性を表現しています。

コレクションのデザインを依頼されたZHAは、イルリアンのラグの素材感を追求しました。織り込まれたシルクの糸は光沢を放ち、ヒマラヤ産ウールのマットな質感と相互作用して、光の条件や視点の変化に応じてダイナミックな相互作用を生み出します。また、微妙な太さの違いにより、デザイン要素間のヒエラルキーも表現しています。

これらのコレクションは、ZHAの建築に関する研究と実践、そしてイルリアンのハンドメイドラグの素材と製造工程に関する調査から発展してきました。

「ナチュラル・フィールド」コレクションは、ヒマラヤのウールとシルクが、原毛から糸を紡ぎ、ラグを織り上げるまで、熟練の職人によって行われる過程を再解釈しています。イルリアンは、この変容を「混沌とした繊維の集合体を純粋なアートに変える」と表現しています。ZHAのデザインは、この適応から生まれ、自然界に見られる緻密で起伏に富んだネットワークを模した一連のパターンとして現れています。

「アーキテクチュラル」コレクションは、複数の伸縮する視点を用い、結び目、押し、引き、伸ばしといった織りのプロセスの物理性を探求し、最終的にそれぞれの構成を定義しています。デザインは、これらの視点を明確にし、レリーフを取り入れることで立体的な錯覚をもたらします。

「ナチュラル」と「アーキテクチュラル」というフレームワークの中で考案されたこれらの新しいコレクションは、イルリアンとザハ・ハディド・アーキテクツの作品とのコンセプト上の親和性を表現しています。

MVRDVによる照明器具シリーズ「High Profile」。照明のプロファイルを利用した製品。多彩・概念的・持続可能を目指して、工場を調査する過程で見出したアルミ端材等を使用するアイデアを考案。効果的な再利用を行う為の専用デジタルツールも開発
MVRDVによる照明器具シリーズ「High Profile」。照明のプロファイルを利用した製品。多彩・概念的・持続可能を目指して、工場を調査する過程で見出したアルミ端材等を使用するアイデアを考案。効果的な再利用を行う為の専用デジタルツールも開発 photo©MVRDV
MVRDVによる照明器具シリーズ「High Profile」。照明のプロファイルを利用した製品。多彩・概念的・持続可能を目指して、工場を調査する過程で見出したアルミ端材等を使用するアイデアを考案。効果的な再利用を行う為の専用デジタルツールも開発 photo©MVRDV

MVRDVがデザインした、照明器具シリーズ「High Profile」です。
照明のプロファイルを利用した製品です。建築家は、多彩・概念的・持続可能を目指して、工場を調査する過程で見出したアルミ端材等を使用するアイデアを考案しました。そして、効果的な再利用を行う為の専用デジタルツールも開発したのです。

こちらはリリーステキストの翻訳

サステイナブルデザインに新たな光を – MVRDVがDelta Lightの照明器具を裏返した新デザインをミラノデザインウィークで発表

ミラノデザインウィークで、MVRDVとデルタライトは、余ったアルミニウムのプロファイルからインスピレーションを得た照明器具のシリーズ「High Profile」を発表します。このデザインは、製造工程を批判的に見つめ、通常は廃棄物として捨てられる要素に機会だけでなく、美しさも見出しています。

ベルギーの照明メーカー、デルタライトは、建築家と密接にコラボレーションし、ミラノデザインウィークの常連でもあります。最新コレクションのデザイナーを探すにあたり、デルタライトはMVRDVに注目しました。デルタライトのカタログに沿った高品質な製品に加え、MVRDVが得意とする建築に沿った、大胆でカラフルそしてコンセプチュアルなデザインを求めました。

ヤコブ・ファン・ライス率いるMVRDVの建築家とインテリアスペシャリストのチームは、ショールームでの照明器具の見せ方と、照明器具がどのように加工・製造されるかという華やかではない現実との違いを特徴にすることにしました。新しい照明器具の製造には、可能な限りリサイクル素材を使用するというサステイナブルなアプローチが出発点でした。

MVRDVの設立パートナーであるヤコブ・ファン・ライスは、言います。
「このプロジェクトは、全く新しい製品を開発するのではなく、デルタライトの廃材を使って新しい可能性を開発できないか、という疑問から始まりました」
「デルタライトのショールームと工場を訪れると、ショールームでは素晴らしいアートコレクションに囲まれて照明が紹介されており、工場では原材料、部品、ケーブル、ドライバー、ネジ、キャップ、パッケージなど、照明器具に使われるあらゆるものが目に入り、興味深いコントラストを呈していました。特に、白、銀、黒、金などさまざまな色合いのアルミ形材が積み上げられている様子は、インスピレーションの源となるものでした。これらのプロファイルの素晴らしいディテールは、通常、壁や天井の内側に隠されています。私たちは、新しいデザインの主役として、その美しさを見えるようにしたいと思いました」

プロファイル照明は建築の重要な要素ですが、端材はしばしば残品となります。この端材がデザインの原点となりました。デルタライトの豊富なプロファイルシリーズのスケールとサイズを変えることで、この要素から照明器具のシリーズを作ることができました。「High Profile」シリーズは、キューブ型のペンダント照明、アーチ型の壁掛け照明、プロファイルを並べた自立型照明があります。ピンク、オーカー、ライトグリーン、ライトブルーなど、MVRDVが得意とする表情豊かな色彩が、白、黒、ゴールドで構成されるデルタライトの品揃えに加わり、インダストリアルな表情を和らげています。

このデザインアプローチを長期的に機能させるため、MVRDVの技術タスクフォースであるMVRDV NEXTは、50種類のプロファイルをすべて使って可能な構成を生成し、リアルタイムデータで評価できる「プロファイル・リミキサー」と呼ばれるスクリプトを開発しました。このツールにより、High Profileのコンセプトは、余ったプロファイルの利用可能性の変化や、サイズ、形状、構成に対する要求の変化に対応し、継続的にデザインを開発・調整することが可能になるのです。

High Profileという名前は、普段は舞台裏にあるものがスポットライトを浴びるということを表しています。このシリーズは、精密に設計されたプロファイルを集め、ひとつひとつ丁寧に手作業で作られているため、職人技へのオマージュでもあるのです。

デルタライトのマネージングディレクターであるピーター・アメルートは言います。
「オーダーメイドのプロファイル照明は、当初からデルタライトの製品群の一部であり、現在では幅広いコレクションに成長しました」「MVRDVが、このプロファイルの設計と製造に費やされる精密さと専門性のレベルを評価しただけでなく、原材料を前面に押し出すことを望んだことに、私たちは非常に驚き、同時に非常にうれしく思いました。通常、建築の中で完全に統合され、匿名である製品が、これほどまでに目を引く存在に進化するのを見るのは、私たちにとって非常に刺激的な出来事でした」

ピーター ・ズントーの家具コレクション展をフォトレポート。半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが制作。実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示
ピーター ・ズントーの家具コレクション展をフォトレポート。半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが制作。実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示 photo©architecturephoto
ピーター ・ズントーの家具コレクション展をフォトレポート。半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが制作。実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示 photo©architecturephoto
ピーター ・ズントーの家具コレクション展をフォトレポート。半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが制作。実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示 photo©architecturephoto
ピーター ・ズントーの家具コレクション展をフォトレポート。半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが制作。実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示 photo©architecturephoto

ピーター ・ズントーの家具コレクションの展示会「Peter Zumthor collection exhibition」をフォトレポートします。
ズントーが、半世紀に渡り自らの建築の為にデザインした家具が製品化され公開しています。綿密なやり取りを行い、日本の素材と技術を取り入れTime & Styleが製作と販売を担当しました。本展では、実物に加えインタビューや製造工程の動画等も展示されています。

会場は、東京・青山のTime & Style Atmosphereのショールーム1階。会期は2022年6月6日(月)~30日(木)です(水曜定休)。入場料は無料です。アーキテクチャーフォトでは過去に「Peter Zumthor collection」の全プロダクトを特集記事として紹介しています。

OMAによる、家具コレクション「PRINCIPLES」。UniFor社と共同開発したワークプレイスの為の家具。最小限の建築として構想され、多様な機能と用途を空間の形にする事を意図。100以上の要素を組み合わせる事で空間を無限に構成する事も可能
OMAによる、家具コレクション「PRINCIPLES」。UniFor社と共同開発したワークプレイスの為の家具。最小限の建築として構想され、多様な機能と用途を空間の形にする事を意図。100以上の要素を組み合わせる事で空間を無限に構成する事も可能 Photograph by Delfino Sisto Legnani and Alessandro Saletta - DSL Studio, courtesy of OMA and UniFor
OMAによる、家具コレクション「PRINCIPLES」。UniFor社と共同開発したワークプレイスの為の家具。最小限の建築として構想され、多様な機能と用途を空間の形にする事を意図。100以上の要素を組み合わせる事で空間を無限に構成する事も可能 Photograph by Delfino Sisto Legnani and Alessandro Saletta - DSL Studio, courtesy of OMA and UniFor
OMAによる、家具コレクション「PRINCIPLES」。UniFor社と共同開発したワークプレイスの為の家具。最小限の建築として構想され、多様な機能と用途を空間の形にする事を意図。100以上の要素を組み合わせる事で空間を無限に構成する事も可能 Photograph by Delfino Sisto Legnani and Alessandro Saletta - DSL Studio, courtesy of OMA and UniFor

OMA / レム・コールハースによる、家具コレクション「PRINCIPLES」です。
UniFor社と共同開発したワークプレイスの為の家具です。建築家は、これらを最小限の建築として構想し、多様な機能と用途を空間の形にする事を意図しました。そして、100以上の要素を組み合わせる事で空間を無限に構成する事も可能となっています。

こちらはリリーステキストの翻訳

OMAがデザインしたUniFor社の家具がミラノで発表される

OMAが世界的なワークプレイス家具デザイナー兼メーカーのUniForとデザインした新しい家具コレクション「PRINCIPLES」が、2022年のミラノデザインウィークで発表されました。シンプルかつ厳格なフォルムを特徴とし、無限のコンフィギュレーションを提供するこの家具シリーズは、2018年からのUniForとOMAの密接なコラボレーションによって生み出されました。

PRINCIPLESの基本コンセプトは、現代のワークプレイスに求められる業務やコミュニケーションの流れを最適にサポートするために、いつでも、誰でも使える家具を提供することです。このコレクションは、S、M、L、XLの各サイズで、異なるカテゴリーに編成された100以上のエレメントで構成されており、グループでの作業や単独での作業を無限に構成することが可能です。コレクションの「スパインズ」と呼ばれるファミリーのひとつは、直線と曲線のパーティションパネルで、連結することでプライベートな通話や集中ワークのための個別のポッドや、小規模なミーティングのための半密閉型の隅を形成することが可能です。また、リング状のソファとソフトアイランドは、よりカジュアルな交流の場として活用できます。

これらのエレメントは、多様な機能と用途を提供し、働く、待つ、会う、くつろぐ、あるいはその組み合わせなど、あらゆるタイプの空間を形にするために設計されています。インテリアのマイクロアーキテクチャーとして構想され、それぞれの空間は、形、色、大きさによって差別化された独自のアイデンティティを持っています。

様々な家具・プロダクト・建築部材が集まる見本市「インテリア ライフスタイル 2022」が、東京ビッグサイトで開催。芦沢啓治・トラフ・寺田尚樹らが参加する「アップサイクルって何? 02」展等の展示やイベントも多数行われる
様々な家具・プロダクト・建築部材が集まる見本市「インテリア ライフスタイル 2022」が、東京ビッグサイトで開催。芦沢啓治・トラフ・寺田尚樹らが参加する「アップサイクルって何? 02」展等の展示やイベントも多数行われる前回の会場の様子

様々な家具・プロダクト・建築部材が集まる見本市「インテリア ライフスタイル 2022」が、東京ビッグサイトで開催されます。見本市の中では、芦沢啓治・トラフ・寺田尚樹らが参加する「アップサイクルって何? 02」展等の展示やイベントも多数開催されます。開催期間は、2022年6月1日(水)~3日(金)。参加費無料(要事前申し込み)。来場事前登録はこちらから

メッセフランクフルト ジャパン株式会社(代表取締役社長:梶原靖志)は、2022年6月1日(水)-3日(金)の3日間、第30 回「インテリア ライフスタイル」を東京ビッグサイト西展示棟にて開催します。

衣・食・住のすべてとインテリア・デザイン市場をつなぐ本見本市は、商材やデザインを探す小売店バイヤー、インテリアデザイナー、建築や設計に携わる来場者に「リアル」でのコミュニケーションの場、商談の場を提供します。新型コロナウィルス感染拡大の影響により3 年ぶりの開催となる本見本市には、4 月22 日現在で12ヵ国・地域から501社が出展します。

商材カテゴリーやテーマに合わせたプロダクツがゾーンごとに展示
デザイン性、機能性に優れた衣食住に関連するインテリア雑貨や生活用品を中心に、人権や環境、社会に配慮されて作られた持続可能なプロダクツ、新しい生活様式や空間を演出するさまざまな商材や素材たちがカテゴリーごとにゾーニング、展示されます。


「アップサイクルって何? 02」展(見本市内で展示)

様々な家具・プロダクト・建築部材が集まる見本市「インテリア ライフスタイル 2022」が、東京ビッグサイトで開催。芦沢啓治・トラフ・寺田尚樹らが参加する「アップサイクルって何? 02」展等の展示やイベントも多数行われる企画展ブースのデザイン

環境意識の高まりの中、プロダクト開発においてサステナブル視点のない商品開発はもはや存在し得ないと言ってもいいほどです。
その中において、アップサイクル、創造的再利用は、まだまだその可能性を謳歌できていない分野であると同時に、成功の秘訣にはデザイナーやアーキテクトの豊かな発想が不可欠です。

今回、建築家6名と、完了に配慮したものづくりメーカー2社が協業し、アップサイクルの新たな可能性を提案します。

ディレクター/会場構成
芦沢啓治

参加建築家
インターオフィス 寺田尚樹 / SAKUMAESHIMA / トラフ・アーキテクツ / 芦沢啓治

ミナ ペルホネンの皆川明が監修した遊具。幼児の使用を想定したFRP製の遊具で、動物や自然からインスピレーションを得て形態等を構想、有機的な形態や抑制された色遣いが特徴的
ミナ ペルホネンの皆川明が監修した遊具。幼児の使用を想定したFRP製の遊具で、動物や自然からインスピレーションを得て形態等を構想、有機的な形態や抑制された色遣いが特徴的
ミナ ペルホネンの皆川明が監修した遊具。幼児の使用を想定したFRP製の遊具で、動物や自然からインスピレーションを得て形態等を構想、有機的な形態や抑制された色遣いが特徴的
ミナ ペルホネンの皆川明が監修した遊具。幼児の使用を想定したFRP製の遊具で、動物や自然からインスピレーションを得て形態等を構想、有機的な形態や抑制された色遣いが特徴的

ミナ ペルホネンの皆川明が監修した遊具です。
幼児の使用を想定したFRP製の遊具で、動物や自然からインスピレーションを得て形態等を構想、有機的な形態や抑制された色遣いが特徴的な製品となっています。ジャクエツから販売されます。

鳥が大空を舞うように羽を広げた姿に見立てています。鳥の羽や胴体に腰掛けて、羽ばたく鳥に乗って空を飛ぶような気持ちを想起させてくれます。

リリーステキストより

これは浜辺で見つけた石の形からヒントを得た遊具です。有機的で多様な局面で構成された造形の中で、子供たちは自然と身体の動きや重量との関係性を体感することができます。

リリーステキストより

これは鳥が巣の中で休んでいる姿をイメージした滑り台です。ステップを登る代わりに凹凸を自由なルートで登ることで、“滑るために登る”のではなく登る体験そのものが子供たちの自由な発想や感覚を養います。

リリーステキストより
長坂常 / スキーマ建築計画による、可動屋外家具「Tokyo Torch Parkのためのベンチ / テーブル / スツール」。東京駅近くの屋外広場の為に計画、隣接ビルの工事で敷地内の仮囲いが移動し続ける条件に管理者がハンドリフターで移動可能なように設計、コンクリート製脚部は重さがあり安定感にも寄与
長坂常 / スキーマ建築計画による、可動屋外家具「Tokyo Torch Parkのためのベンチ / テーブル / スツール」。東京駅近くの屋外広場の為に計画、隣接ビルの工事で敷地内の仮囲いが移動し続ける条件に管理者がハンドリフターで移動可能なように設計、コンクリート製脚部は重さがあり安定感にも寄与 photo太田拓実
長坂常 / スキーマ建築計画による、可動屋外家具「Tokyo Torch Parkのためのベンチ / テーブル / スツール」。東京駅近くの屋外広場の為に計画、隣接ビルの工事で敷地内の仮囲いが移動し続ける条件に管理者がハンドリフターで移動可能なように設計、コンクリート製脚部は重さがあり安定感にも寄与
長坂常 / スキーマ建築計画による、可動屋外家具「Tokyo Torch Parkのためのベンチ / テーブル / スツール」。東京駅近くの屋外広場の為に計画、隣接ビルの工事で敷地内の仮囲いが移動し続ける条件に管理者がハンドリフターで移動可能なように設計、コンクリート製脚部は重さがあり安定感にも寄与 photo©太田拓実

長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・千代田区の、可動屋外家具「Tokyo Torch Parkのためのベンチ / テーブル / スツール」です。
東京駅近くの屋外広場の為に計画、隣接ビルの工事で敷地内の仮囲いが移動し続ける条件に管理者がハンドリフターで移動可能なように設計、コンクリート製脚部は重さがあり安定感にも寄与しています。設置場所の公式ページはこちら

可動屋外家具の提案である。

建築家によるテキストより

この家具が置かれるTOKYO TORCH PARKは最初2021年に1棟竣工し、その後2027年に2棟目が竣工することから敷地内の仮囲いが移動し続けることにより、屋外家具自体も移動しないとならなかった。

建築家によるテキストより

そこで人のアクティビティを誘発する家具として考案するインターフェースシステムのうち、ハンドリフターで動かせる家具を提案した。管理者がハンドリフターを使用して、コンクリート製の脚部を持つテーブルや椅子を動かすことができる。

重さがあるので素手のエンドユーザーには動かせず、強風で倒れることもなく、安全な屋外家具が実現した。

建築家によるテキストより
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数木村松本建築設計事務所による「houseS / shopB」 photo©architecturephoto
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数松浦荘太建築設計事務所による「住居と園庭」 photo©architecturephoto
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数沖田による「風花山本」 photo©architecturephoto
藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真。グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数ワークヴィジョンズ+竹味佑人建築設計室+黒岩構造設計事ム所による「神水公衆浴場」 photo©architecturephoto

藤原徹平が総合ディレクションを、フジワラテッペイアーキテクツラボが会場構成を手掛けた「Gマークの住まいデザイン」展の会場写真です。
グッドデザイン賞を受賞した住宅の中から、“個からのアクション・希求”等の独自の四つの視点に沿って28作品を選出し展示、模型や図面等も多数閲覧可能です。会場は、東京ミッドタウン・デザインハブです。会期は、2022年4月7日(木)~6月12日(日)11:00-19:00 会期中無休・入場無料。

藤原徹平によるメッセージ

グッドデザイン賞を住宅が初めて受賞してから32年になります。

その後グッドデザイン賞に住宅部門ができ、ものとしての住宅、つまり建物の性能や品質や空間についてのさまざまなチャレンジを社会的に評価し、その試みを推進してきました。

近年では、ものとしての住宅ということにとどまらず、住宅という対象を通じて、私たちがどう生き、どう暮らすのか、未来の住まい方に向けてその本質的な問題を提起するプロジェクトが増えてきました。

これらの素晴らしいチャレンジをグッドデザイン賞から振り返り、未来への道標として社会へ紹介するとともに、そのチャレンジの担い手たちの交流・応答・思考の場として、この展覧会を実施することになりました。

フリーダ・エスコベドがデザインした、ボールチェーンを使用したベンチ「Creek Bench」の写真

フリーダ・エスコベドのウェブサイトに、ボールチェーンを使用したベンチ「Creek Bench」の写真が3枚掲載されています。メキシコのMASAギャラリーでの展示の為にデザインされたもののようです。フリーダは2018年のサーペンタインパヴィリオンの設計も手掛けたメキシコの女性建築家です。

建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開
建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開元印刷工場を改修したギャラリーが会場になっている。 photo©architecturephoto
建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開2011年からの7作品が展示される。 photo©architecturephoto
建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポート。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開 photo©architecturephoto

建築家の大松俊紀による、実験家具の展覧会の会場写真とレポートです。菊川工業とコラボした椅子を含む計7点が公開されています。会場は、東京・新宿区のBOOTLEG GALLERYで、2022年3月27日まで開催。展示作品の一部は、アーキテクチャーフォトのアーカイブからも閲覧可能です。

こちらはアーキテクチャーフォトによるレポートです

建築家の大松俊紀がライフワーク的に手掛けている実験家具の展覧会が、東京・新宿区のBOOTLEG GALLERYにて行われている。

まず、大松の経歴を見てみよう。京都工芸繊維大学を卒業の後、ベルラーヘ建築都市研究所を修了、OMA ASIA〜RAD Ltd等に勤務したのち独立し自身の設計事務所を設立、桑沢デザイン研究所でも教鞭をとる建築家である。これまでに手掛けた建築には「四本柱建物」等があり、日本の古建築を参照したような造形が特徴的だ。

その大松が10年以上前から手掛けているのが本会場で展示されている実験家具だ。
大松はこれらの家具を説明するテキストで「クライアントも条件もない」と語る。そして「デザイナーとして生きることの根源的な意味を問い続けるために、つくり続けているのかもしれない」と続ける。

会場を歩き回りながら、実際に展示されている作品を見ていくと、我々が普段見たり使ったりしている量産品の椅子とは異なるものだということが分かる。座るという機能は保っているものの、座り心地のよさを追求している訳ではないし、生産効率を求めている訳でもない。機能的な側面というより、素材の特性や、部材と部材が接する部分のディテール、微細な表面の仕上げのアイデア等に大松のこだわりが垣間見える。

会場では、椅子のディテールを撮影し拡大した写真が展示されているのも印象的だ。実物より大きく引き伸ばされたこれらの写真は、実際の作品を特定の角度から切り取ったものであるが、これによって実際の作品の見るべきポイントが示唆されているように感じた。3次元の立体作品として実物の椅子を見ていると、そのスケール感から「座る」という機能が否が応でも想像されてしまうのだが、2次元に変換され更に拡大された写真を見ていると、先に書いたような作品の実験的側面が浮かび上がってくるような感覚を覚えた。

展示会場の半分は、2019年から作られている菊川工業とのコラボレーションによるアルミ製の椅子の展示に割かれている。最初に手掛けられた「Shades of Michelangelo」(2019)では、アルミ部分は座面と背の部分だけであるが、以降の作品では、アルミのみが素材として使用されるようになり、その形状、接合方法、厚みなどが検討され、その素材が持つ可能性の探求が始まっていることが良く分かる。

大松はこれまでに年に1作品のペースでこの実験家具を作り続けてきたのだと言う。それを通してみていくと、大松という一人の建築家の思考を追体験するような感覚を覚える。最初に紹介したように大松は会場で配られるブックレットの冒頭に、これらの実験家具には「クライアントも条件もない」と書いている。しかし、これらの作品を見ていると、何もないところから大松が自身の興味を発見し、自身によって「条件」を設定し、固有の探求を深めていく過程が見て取れるのである。特に菊川工業との出会いの後はそれが加速しているように思う。

デザイナーのイヴ・ベアールによる、TEDでのトーク「サーフボードはどのように自然と我々を結びつけるのか」の動画(日本語字幕付)

デザイナーのイヴ・ベアールによる、TEDでのトーク「サーフボードはどのように自然と我々を結びつけるのか」の動画です。日本語字幕付です。

Fuseprojectの創設者であるイヴ・ベアールが、サーフボードが私たちと水との関係をどのように変えたかをご紹介します。

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図IONIQ 5とモバイルハウス「旅する住まい」 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto
長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポート。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図 photo©architecturephoto

長坂常 / スキーマ建築計画がHyundaiの為にデザインしたモバイルハウス「旅する住まい」をレポートします。自動車の蓄電池から都市生活を持ちだすアイデアを構想、木と布を素材とし出来るだけ軽くつくり、気楽に出かけられる事も意図されました。東京・原宿のHyundai House Harajukuにて展示されています。長坂の展示の会期は2022年3月8日まで(同企画は別の建築家やデザイナー達により2022年5月28日まで続く)。

こちらは会場レポートです

建築家でスキーマ建築計画を主宰する長坂常と自動車メーカーHyundaiとコラボレーションしたモバイルハウス「旅する住まい」が公開中だ。この展示で、長坂はHyundaiのIONIQ 5で牽引するモバイルハウスをデザインした。

長坂は、Hyundai のバッテリー式電気自動車IONIQ 5の特徴である2日分の蓄電池を保有していることが構想の出発点になっているのだと言う。蓄電池があれば、週末に都市生活をそのまま持ちだす事が出来ると考えこの作品を構想したのだ。

そして、会場でも公開されているインタビューで語られているのだが、このモバイルハウスは、木で骨格をつくりナイロンの布地を張り、そこに薄く樹脂を塗布することで出来ている。より詳しく構法について聞くと、木製の骨格に、ナイロンの布地を水に浸透させて骨組みに張り、乾燥すると布地が縮んでピンと張れる水張りという方法を採用しているとのこと。それによって、たわみないが布の特徴でもある光の透過性、柔らかさ、軽さを実現させたのだそうだ。

長坂は、出かけることの気軽さを実現するために、物理的な“軽さ”にもこだわったのだと説明する。
実際にこのモバイルハウスを目の前にしても、非常に軽い構築物と言った印象を覚える。

筆者が、この会場を訪れて実物を見て気づいたことは、このモバイルハウス「旅する住まい」がキャンプにおけるテントとキャンピングカーの中間に位置するような存在であるということだ。テントは折り畳みが出来てコンパクトに持ち運びが可能であるが、「旅する住まい」のような環境から守られている感覚はないだろう。またキャンピングカーには様々な設備が整っているが、「旅する住まい」のような軽さは持ち合わせていない。

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