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松隈洋が2022年12月に行ったレクチャー「村野藤吾の建築講義」の動画

松隈洋が2022年12月に行ったレクチャー「村野藤吾の建築講義」の動画です。横浜市、横浜歴史資産調査会、JIA神奈川の三団体が共催したシンポジウムの中で行われたものです。

横浜市役所は2020年6月に新築移転し、昨年まで使われていた村野藤吾設計の旧横浜市庁舎(1959年竣工)は一部が解体されます。それに先立ち、横浜市、横浜歴史資産調査会、JIA神奈川の三団体が共催し、「旧横浜市庁舎の歴史・文化的価値を探る!」というシンポジウムを開催しました。2020年12月5日に横浜新市役所1階市民協働推進センタースペース(オンライン同時開催)で行われました。米山淳一氏(公益社団法人横浜歴史資産調査会)の司会の元その歴史的価値について各方面の研究者から評価いただき、その中で、松隈洋氏(京都工芸繊維大学教授)の講義は視聴者への反響が極めて大きく、ここに講義録としてアップしました。(JIA神奈川)

隈研吾建築都市設計事務所による、宮城の、復興の象徴となる人道橋「中橋」の写真

隈研吾建築都市設計事務所のウェブサイトに、宮城の人道橋「中橋」の写真が16枚掲載されています。

2013年から携わった南三陸町の復興の象徴となる、木と鉄を組み合わせた人道橋。
南三陸さんさん商店街のあるにぎわいのエリアと、旧防災対策庁舎を中心とする祈りの場である復興祈念公園とをつなぎ、橋自体を祈りの場としてデザインした。

様々なものをこの橋はつないでいる。まず、旧防災対策庁舎からこの橋を渡った先には上山八幡宮があり、この橋は神社にいたる参道である。日本の神社では神聖な世界と日常をしばしば太鼓橋で区切る。中橋で太鼓橋のアーチは反転され、橋全体でレンズ型のトラス構造を形成し、80mのワンスパン構造が実現した。反転された下部の逆反り部分は、水面に近いもう一つの人道橋として機能し、海を望む上の橋と、川面を眺める下の橋の2つの反り橋を一つに合体した。
下部の橋へアプローチするスリットの両側には木製の高欄支柱が並び、地元の皆さんはこの連続する支柱を千本鳥居と評した。
鉄の構造に付加された木材は、変形抑制の役割も果たし、「海のまちの人道橋」にふさわしいやさしい表情が生まれた。鉄と木もまた、ここで一つにつながれることになった。

平田晃久・加藤耕一・曽我部昌史・山田紗子・吉村靖孝が審査した、東京建築士会の「住宅建築賞2022」の審査結果
平田晃久・加藤耕一・曽我部昌史・山田紗子・吉村靖孝が審査した、東京建築士会の「住宅建築賞2022」の審査結果

平田晃久加藤耕一曽我部昌史山田紗子吉村靖孝が審査した、東京建築士会の「住宅建築賞2022」の審査結果が公開されています。住宅建築賞 金賞を受賞した、畠山鉄生+吉野太基による「河童の家」や、住宅建築賞を受賞した武田清明による「鶴岡邸」は、アーキテクチャーフォトでも特集記事として掲載しています。また、審査した建築家らの講評が掲載されたPDFも公開されており読みごたえがあります。

「住宅建築賞2022」入賞者発表
この度、本会主催による「住宅建築賞」の受賞が下記の通り決定しましたのでお知らせいたします。

住宅建築賞2022 審査結果(応募点数58点)
入賞4点(内金賞1点)
【審査員】
審査員長:平田晃久 / 審査員:加藤耕一 曽我部昌史 山田紗子 吉村靖孝

<住宅建築賞 金賞>
●河童の家(神奈川県)
・設計者 畠山鉄生+吉野太基(アーキペラゴ アーキテクツ スタジオ)
・建築主 奥田翔
・施工者 株式会社山田建設
【建物構造:木造】

<住宅建築賞> (受付順)
●菊名貝塚の住宅(神奈川県)
・設計者 小林佐絵子+塩崎太伸(アトリエコ)
・建築主 塩崎太伸・佐絵子
・施工者 株式会社相川スリーエフ
【建物構造:木造】

●ニセカイジュウタク(東京都)
・設計者 横井創馬(横井創馬建築設計事務所)+佐瀬和穂(佐瀬和穂建築設計事務所)+大沢美幸(みゆき建築計画設計部)
・建築主 株式会社大三栄建築設計
・施工者 株式会社大三栄建築設計
【建物構造:木造】

●鶴岡邸(東京都)
・設計者 武田清明(武田清明建築設計事務所)
・建築主 鶴岡清一
・施工者 株式会社大平建設
【建物構造:鉄骨造】

大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザイン
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザインnoizが関わるパヴィリオン。
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザイン小野寺匠吾が関わるパヴィリオン
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザインSANAAが関わるパヴィリオン。

大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA隈研吾小堀哲夫noiz小野寺匠吾橋本尚樹遠藤治郎が参加することが発表されています。各界の著名人8名がプロデューサーとなり、それぞれの建築家とコラボレーションする形でパヴィリオンが建設されるとの事です。

「いのちの輝きプロジェクト」は、展示パビリオン「シグネチャーパビリオン」、イベント「シグネチャーイベント」をリアル会場、バーチャル会場で展開いたします。各界で活躍する8人のプロデューサーが主導し、「いのちの輝きプロジェクト」から得られる体験は、人びとにいのちを考えるきっかけを与え、創造的な行動を促すものと考えます。他者のため、地球のために、一人ひとりが少しの努力をすることをはじめることを促します。その重なり合い、響きあいが、人を笑顔にし、ともに「いのち輝く未来社会をデザインすること」につながっていくものと考えます。

それぞれの建築家が関わるパヴィリオンの画像は以下に掲載します。

OMA NYの公式アカウントで、「ap賞(アーキテクチャーフォト賞)」のトロフィーが紹介
OMA NYの公式アカウントで、「ap賞(アーキテクチャーフォト賞)」のトロフィーが紹介 photo courtesy of OMA NY

OMA NYのinstagram公式アカウントで、ap賞のトロフィーが紹介されました。
「ap賞(アーキテクチャーフォト賞)」は、弊サイトが8年前から行っているアワードで、年間のユニークユーザー数を元にランキングを制作し、上位10作品を表彰いたします。OMA NYは、建築作品「天神ビジネスセンター」にて2021年のap賞に入賞しました。
トロフィーに関して、その形態が「初期のコンセプトに驚くほど似ている」と、コメントしています。

Thank you @architecturephotonet for the honor and trophy with an uncanny likeness to an early project concept.

ap賞は、弊サイトに掲載された特集記事の建築作品が対象となります。
特定の審査員の判断によらない事を特徴としネットメディアならではの特性を生かし運営されています。今後も皆様の作品投稿をお待ちしています。

フリーダ・エスコベドがデザインした、ボールチェーンを使用したベンチ「Creek Bench」の写真

フリーダ・エスコベドのウェブサイトに、ボールチェーンを使用したベンチ「Creek Bench」の写真が3枚掲載されています。メキシコのMASAギャラリーでの展示の為にデザインされたもののようです。フリーダは2018年のサーペンタインパヴィリオンの設計も手掛けたメキシコの女性建築家です。

石上純也による、山口の、洞窟のようなレストラン「maison owl」のほぼ完成した状態の写真

石上純也が設計した、山口のレストラン「maison owl」のほぼ完成した状態の写真が10枚、instagramの林信行のアカウントに掲載されています。

以下は、twitterに投稿された内容。

中山英之建築設計事務所が手掛けた、38㎡の住戸改修の写真と図面とインタビュー記事

中山英之建築設計事務所が手掛けた、38㎡の住戸改修の写真と図面が25枚とインタビュー記事が、LIXILのウェブサイトに掲載されています。

シンガポール工科デザイン大学教授のエルウィン・ビライによる講演「建築の学生と大学は持続可能性に関して何ができるか?」の動画(日本語)

シンガポール工科デザイン大学教授のエルウィン・ビライによる講演「建築の学生と大学は持続可能性に関して何ができるか?」の動画です。日本語で語られています。JIA国際委員会の主催で行われたものです。

JIA国際委員会主催 ウェビナーシリーズ
《越境建築家》たちとの対話 ―Part2|越境への誘い―

■第5回講演 : 「建築の学生と大学は持続可能性に関して何ができるか?」
エルウィン・ビライ氏 (シンガポール工科デザイン大学 教授/CSO(最高サステナビリティ責任者))

■モデレーター:JIA国際委員 蔵楽 友美(FIVES ARCHITECTURE & INTERIOR)

■講演日:2022年3月18日 (金) Zoomウェビナー

■講演概要:
「建築の学生と大学は持続可能性に関して何ができるか?」という問いかけについての短いプレゼンテーション。SUTD(シンガポール工科デザイン大学)の建築・サステナブルデザイン学部における建築教育や、大学のサステナブル・プラン―「持続可能性」のフレームワークが、学生の卒業設計作品とどのように関連しているかを共有します。

アンドラ・マティンと西澤俊理の2022年2月に行われた対談(モデレータ:五十嵐太郎)の動画(日本語字幕付)

アンドラ・マティン西澤俊理の2022年2月に行われた対談の動画です。国際交流基金アジアセンターの主催で行われたものです。日本語字幕付。アンドラはインドネシアを拠点に活動し世界的に知られる建築家です。西澤は安藤忠雄建築研究所出身でベトナムを拠点に活躍する建築家です。

アジアセンタークロストーク~ポスト・コロナに向けて旅する文化~
建築編

インドネシアで活躍する建築家とベトナムで活動する日本人建築家。アジア各地の風土や文化を活かした現代建築のあり方をどのように思考し、デザインしていくのか、建築の未来を見据えながら意見を交わしていきます。

<登壇者情報>
アンドラ・マティン(建築家)インドネシア
西澤 俊理(建築家)日本
モデレーター:五十嵐 太郎(建築史家/建築批評家)日本

<ビデオ情報>
対談収録日:2022年2月9日
対談収録場所:andramatin事務所(インドネシア)、窓研究所アネックス(日本)
映像用資料提供:andramatin、西澤俊理

主催:国際交流基金アジアセンター
協力:窓研究所アネックス

2025年大阪・関西万博会場内の、休憩所とトイレ等20施設の設計コンペが開催。平田晃久・藤本壮介・吉村靖孝が審査員を務める
2025年大阪・関西万博会場内の、休憩所とトイレ等20施設の設計コンペが開催。平田晃久・藤本壮介・吉村靖孝が審査員を務める藤本壮介が会場デザインプロデューサーを務める。

2025年大阪・関西万博会場内の、休憩所とトイレ等20施設の設計コンペが開催されます。平田晃久藤本壮介吉村靖孝が審査員を務めます。応募資格は「応募者となる若手建築家は1980年1月1日以降生まれの一級建築士事務所の開設者であり、建築士法に基づく一級建築士の資格取得者であること」。万博会場全体の基本計画はこちらのページにて公開されています。

公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)会場内の「休憩所」「展示施設」「ギャラリー」「ポップアップステージ」「サテライトスタジオ」「トイレ」計20施設の設計業務を行う若手建築家20名を募集します。
今後の活躍が期待される若手建築家に、「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインコンセプトに沿い、SDGs(持続可能な開発目標)達成につながる、意欲的かつ大胆な提案をしてもらい、個性豊かで魅力的な博覧会施設を創出することを目的としています。
また、本公募の審査を行う評価委員には、建築やデザインなどの各分野に精通した専門家が就任し、ご協力いただきます。
多くの若手建築家からの積極的な応募をお待ちしています。

リリーステキストより

〇スケジュール
2022年3月16日(水) 公募開始
2022年4月13日(水) 応募申込書類提出締切
2022年6月3日(金) 一次審査書類提出締切
2022年6月中旬 一次審査(書面審査)
2022年7月上旬 二次審査(ヒアリング及び評価委員会)
2022年7月下旬 審査結果発表・契約締結

リリーステキストより
建築写真家のヘレネ・ビネットが、バワ財団の主催で行った講演の動画。ズントー建築等の撮影でも知られる

建築写真家のヘレネ・ビネットが、ジェフリー・バワ財団の主催で行った講演の動画です。ピーター・ズントーの建築等の撮影でも世界的に知られています。

(翻訳)
ジェフリー・バワ・トラストにて、著名な建築写真家であるヘレネ・ビネとの対談を開催します。ジェフリー・バワの作品を撮影してきたビネは、バワの庭園「ルヌガンガ」との出会いを、自身のキャリアにおいて極めて重要な瞬間であったと述べています。この特別イベントでは、ビネが自身のアーカイブからルヌガンガとエナ・デ・シルヴァ邸の写真(その多くは初公開)を紹介し、その実践について語ります。

(原文)
Join us at the Geoffrey Bawa Trust for a conversation with acclaimed architectural photographer Hélène Binet. A fervent advocate of analogue photography, working exclusively with film, and a firm believer that ‘the soul of photography is its relationship with the instant,’ Binet has photographed Geoffrey Bawa’s work and describes her encounter with Bawa’s garden Lunuganga, as a pivotal moment in her career. In this special event Binet will share photographs of Lunuganga and the Ena de Silva house from her archives, many of which have not been shown previously, and speak about her practice.

デイビッド・チッパーフィールドが、自身が修復を手掛けたミースの国立新美術館について語っている動画

デイビッド・チッパーフィールドが、自身が修復を手掛けたミースの新国立美術館について語っている動画です。アーキテクチャーフォトでは本建築を特集記事として紹介しています。2022年2月のThe World Around Summit 2022で公開されたものです。

(翻訳)
デイヴィッド・チッパーフィールド卿は、1985年にデイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツを設立し、以来、世界で最も称賛される建築事務所のひとつとなり、数々の国際コンペティションを勝ち抜き、100以上の建築作品を完成させました。

ベルリンのクルトゥルフォーラムにある新国立美術館は、20世紀建築のアイコンの一つです。ミース・ファン・デル・ローエがアメリカに渡った後、ヨーロッパで実現した唯一の建物である新国立美術館は、1968年のオープン以来、20世紀の美術に捧げられてきました。約50年の歳月を経て、集中的な使用による損傷、欠陥、欠損は、この建物が記念建造物に指定されていることによる制約の中で、慎重かつ持続的に対処されることになりました。改修と近代化のプロセスは、建物の元の外観を損なうことなく、既存の構造を最大限に保存することを目的としています。

(原文)
Sir David Chipperfield founded David Chipperfield Architects in 1985 and has since become one of the world’s most admired architecture firms, having won several international competitions and completed more than 100 built works.

The Neue Nationalgalerie in Berlin’s Kulturforum is one of the icons of twentieth-century architecture. The only building realized by Mies van der Rohe in Europe after his emigration to the USA, the Neue Nationalgalerie has been dedicated to the art of the twentieth century since its opening in 1968. After almost 50 years, the damage, deficiencies, and deficits of intensive use are to be carefully and sustainably addressed, within the restrictions imposed by the building’s status as a listed monument. The process of refurbishment and modernisation aims for maximum preservation of the existing fabric, with a minimum visual compromise to the building’s original appearance.

MVRDVのヴィニー・マースが、自身が設計した芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」を案内している動画

MVRDVのヴィニー・マースが、自身が設計した、ロッテルダムの芸術収蔵庫「デポ・ボイマンス・ファン・ベーニンゲン」を案内している動画です。世界初の一般公開された美術品保管施設で、サイズと気候区分で作品を分類し、数多の美術品等の保管・維持管理の裏にある世界を公開しています。アーキテクチャーフォトでも同施設を特集記事として紹介しています。

MVRDVの “M”は、創設パートナーでありプリンシパル・アーキテクトのヴィニー・マースで、その幅広い都市計画や建築プロジェクトで国際的に高い評価を受けています。MVRDVの驚くべき新プロジェクト「デポ・ヴァン・ボーニンゲン」は、ロッテルダム中心部のミュージアムパークに位置する世界初の完全アクセス可能な芸術収蔵庫です。この建物は、オープンな芸術品保管庫という根本的かつ革命的なアプローチをとっており、大きな関心を集めています。

(原文)
The “M” of MVRDV, Founding Partner and Principal Architect Winy Maas, has received international acclaim for his broad range of urban planning and building projects. MVRDV’s extraordinary new project Depot Van Beuningen is the world’s first fully accessible art depot, located at Museum Park in the center of Rotterdam. The building has drawn huge interest for its radical and potentially revolutionary approach to open arts storage.

安藤忠雄が、自身が2021年に完成させたパリの美術館「ブルス・ドゥ・コメルス/コレクション・ピノー」を解説している動画

安藤忠雄が、自身が2021年に完成させたパリの美術館「ブルス・ドゥ・コメルス/コレクション・ピノー」を解説している動画です。2022年2月のThe World Around Summit 2022で公開されたものです。日本語で視聴可能です。18世紀に小麦市場として建てられた建物が19世紀後半に商品取引所に改築、それを美術館に転用した建築になります。こちらのページでも写真が多数見られます

(翻訳)
プリツカー賞を受賞した日本人建築家の安藤忠雄は、現在このフィールドで最も有名なデザイナーの一人です。コンクリート打ち放しの大空間と、太陽光や水、風といった自然の要素を情緒的に取り入れた彼の作品は、日本の現代建築を代表するものですが、その影響は世界中に及んでいます。最近のプロジェクトでは、パリの中心部にある新古典主義のランドマーク的な建物に、現代アートのための新しい展示スペースを埋め込んでいます。18世紀末に穀物商のための「ハール・オ・ブレ」として建てられ、19世紀にアンリ・ブロンデルによって商業取引所に改築された既存の建物に呼応し、パリの豊かな建築の過去と現在、未来をつなぐ空間を創造しているのです。

(原文)
Pritzker Prize-winning Japanese architect Tadao Ando is one of the most renowned designers in the field today. His work, defined by large expanses of unadorned concrete and emotive use of natural elements like sunlight, water, and wind, has become definitive of contemporary Japanese architecture, but his influence extends the world around. His most recent project embeds a new exhibition space for contemporary art into a neoclassical landmark building in the center of Paris. Responding to the existing structure, which was built at the end of the 18th century as the Halle aux blés for use by grain traders and converted in the 19th century into the Bourse de commerce by Henri Blondel, Ando has created a space that connects Paris’s rich architectural past with the present and future.

萬代基介建築設計事務所による、京都の、築100年の住宅の改修増築「椎葉邸」の写真と図面

萬代基介建築設計事務所が設計した、京都の、築100年の住宅の改修増築「椎葉邸」の写真と図面が29枚、archdailyに掲載されています。

以下は、建築家によるテキストです。

古い家が纏う公共性

京都で代々住み継がれてきた築100年ほどの住宅の改修計画である。敷地には年月をかけて手入れされてきた豊かな庭があり、中央には可愛らしい2階建ての日本家屋が建っていた。家というのは個人の所有物であるが、長い時間この場所に建ち続けてきたことで、さまざまな人間の中で生きていて、どれだけ開放的につくられた家よりも開かれた不思議な公共性のようなものを獲得していた。街の中で愛されてきたこの環境を残しながら、新しい暮らしをつくることを目指した。

新しい繋がりを生み出す構造

定年後の夫婦ふたりの住まいだが、人の集まる家にしたいということであった。もともとの家は生活の変化に合わせて下屋が増改築されていたので、中心にある2階建ての既存母屋だけを残し、5つの木造の下屋を増築することにした。それぞれの下屋は庭の環境に合わせてつくる。金木犀に囲まれた居間、陽の光の入る天井の高い台所、モミジの隣に離れのように配置される茶室、光が降ってくる階段室と星空の見える書斎、柔らかい光の入る風呂。この5つの下屋は、古い母屋と庭を繋ぐ接点となると同時に、既存母屋をフライングバットレスのように支える新しい構造体でもあり、既存母屋の1階は耐震壁から解放されることになる。付加的な形式の下屋増築が、建築全体に新しい開放性を作り出すような構造形式である。

敷地全体に散らばるイメージの断片

全体は既存母屋/新しい下屋/古い庭という構成ではあるが、その構成を溶かしていくような小さな操作を重ねた。既存と新築の境界を横断するように、古い階段、昔の縁側、家具を配置する。さらに新築部には、古い建具、床柱、照明など既存の素材を転用し、新しく生まれた庭には既存庭石や庭木を植えていく。庭も建築も家具も等価に扱いながら、がらんどうとなった母屋を中心に敷地全体に展開する環境の断片を再編集し、幾重にも重なったレイヤーを家中に張り巡らせていく。たとえば「既存の門から入った新築の下屋にある昔の子供部屋の木製建具越しに新しい庭を眺めた先に昔のツツジの木がある」というような関係である。そうすることでさまざまな人がこの家に対してもっていたイメージに対する接点が生まれ、新しい「開かれた家」が生まれると信じている。

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