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■概要
ルドルフ・オルジャッティの建物は、スイス、フリムスに数多く建っている。彼は、建築家ヴァレリオ・オルジアティの父であり、また建築家ピーター・マークリに重要な影響を与えた人物として知られている。
■町並み
この町を訪れると、本当にたくさんのオルジアティの建物を目にすることができる。ルドルフ・オルジアティは、モダニズムの影響が残る時代に生きた建築家であったが、彼はそのスタイルに従わなかった。スイスの昔ながらの建物や地域の建物の要素を取り入れ自身の作品に反映させたのである。彼の建築に特徴的な、勾配屋根や白い壁の採用は、そのためだろう。結果として、彼の建築は、町並みに非常になじんでいる。
■視覚的客観性(optical objyectivity)
彼自身の著作をドイツ語以外で読むのは難しいし、現在読むことができる本は少ない。しかし、彼から多くを学んだと語る、ピーター・マークリの発言から彼の建築に対する姿勢を伺う事が出来る。それによると、オルジアティは、人の知覚や形の意味をよく考え設計していたらしい。マークリは、自身の建築観をオルジアティから学んだものと説明しながらこのように語っている。「(オルジアティとの会話の中で)「形」とは自分勝手な物ではないという根拠が見えてきたのです。形や色には意味や内容があることは重要でした。例えば円形を使うとすれば、それはどういうことか考えなくてはいけません。自然界に存在しない幾何学的で人工的な形であり、中心性という深い意味を持っていること。また文化的にはイタリアの洗礼堂に使われていたこと。その中央には洗礼台がおかれ、洗礼が行われていましたが、もしそうした儀式がなくなれば、円形は強引で形式主義的なものになってしまいます。これは、オルジアティや私の発見ではなく現実であり、ひとつの言語、協定、ルール、きまりです。」オルジアティの建物をよく見ると、窓一つとっても、大きさ、形、奥行きなどが、非常に注意深く考えられており、そして豊かなバリエーションを持っていることが分かる。これらも、その窓の意味を十分考えた末の結果なのだと思う。
■関連書籍 associate with amazon.co.jp
Approximations: The Architecture of Peter Markli
¥4,561(2007/3)
マークリについて書かれた文章や、マークリとマルセル・メイリとの対談の中でルドルフ・オルジアティへの言及がある。
※その他には、SD「スイス建築の透明性」の中にマークリのインタビューがあって、少しルドルフ・オルジアティについても触れています。作品集(ドイツ語)は、ETHが編集したものが一番充実しているのですが、古い書籍のため現在入手は難しいと思われます
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