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■概要
スウェーデン、ストックホルム郊外にある教会。第一回スウェーデン建築賞を受賞した建物でレヴェレンツの代表作ともいわれている。レヴェレンツは、森の葬祭場をアスプルンドと共同設計した事でも世界的に知られている。森の葬祭場の中にある、復活の礼拝堂は、古典をデザインに取り入れているが、この教会では、古典のモチーフは見られず、シンプルな表現をとっている。
■アプローチ
最寄の駅を降りて歩いていくと白樺の木々の間から、建物の一部が見えてくる。目に入る部分に窓らしい窓はなく、彫刻のような、モノのような印象を受ける建物である。
■レンガ
建物の表面は、外部・内部共にレンガに覆われている。ただし、その積み方・目地の取り方は、注意深く考えられている。建物のヴォリュームごと、壁面・床面・天井など、場所によって積み方は異なり、同じレンガ素材を使うことで得られる建物の一体感やシンプルなイメージを維持しながらも、それぞれの部屋の雰囲気に微妙な違いを与えている。また、矩形のヴォリュームを基本としながらも、天井面の操作、プロポーションの操作、光の操作によって、空間を彩りあるものとしている。
■礼拝堂
礼拝堂は、この建物の中でも最も印象深い空間である。礼拝堂内部に入った時、その暗さによって、室内全体を把握する事は難しい。それは、前室が明るく照明された部屋である事も関係しているだろうと思う。とにかく、部屋に入ってしばらくして目が慣れてくるまでは、室内の様子は良く分からない。洞窟のような空間。目が慣れてくると、奇妙な形をした天井、厚い壁から取り入れられた光、暖かく光る照明の存在に気づく。これは、目の暗順応を利用した、操作であると考えられている。この波打ったような天井の形状は、レヴェレンツがボートの底からインスピレーションを受けたものらしい。また照明は天井から吊るされているのだが、宙に浮いているかのように見える。
■開口
光を取り入れている開口部には、ガラスがフィックスではめられており、外部からサッシ部分が見えないように考えられている。そうする事で、外部から見た時に窓ではなく、穴のように見える。
■プロポーション
この建物を訪れ内部を歩いてみると、プロポーションの操作によって、建物に多様な感覚を与える事が出来るということがわかる。例えば、中庭に面する居室部分は、高さが抑えられており、中庭にいても圧迫感を感じることがなく、親しみのある空間となっているし、上記の礼拝堂に入っていくまでの空間の大きさ、天井高も礼拝堂を演出するために決定されているように思われる。
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