SHARE 後藤充裕 / mitsuhiro gotoh architectsによる、宮城の、郊外の大型ショッピングセンターに入居するオフィスの改修計画「I office」
後藤充裕 / mitsuhiro gotoh architectsによる、宮城の、郊外の大型ショッピングセンターに入居するオフィスの改修計画「I office」です。
郊外の大型ショッピングセンターに入居するオフィスの改修計画。
以前、飲食店が入っていた場所と聞いて、オフィス改修としてはあまりポジティブなイメージが持てなかった。しかし、現地に行ってみると、既存空間上部には大きなダクトスペースがあり、天井高さは5mを超えるショッピングセンターらしいスケルトンが魅力的に思えた。さらに、運良く隣の区画も借りることができたため、中間の壁を撤去すると、予想以上に大きな空間が現れた。
以下、建築家によるテキストです。
郊外の大型ショッピングセンターに入居するオフィスの改修計画。
以前、飲食店が入っていた場所と聞いて、オフィス改修としてはあまりポジティブなイメージが持てなかった。しかし、現地に行ってみると、既存空間上部には大きなダクトスペースがあり、天井高さは5mを超えるショッピングセンターらしいスケルトンが魅力的に思えた。さらに、運良く隣の区画も借りることができたため、中間の壁を撤去すると、予想以上に大きな空間が現れた。
そこで、ワーカーにとってフレキシブルに利用できるひとつながりの空間と捉え、既存空間のおおらかな状態を損なわないよう、新たに手を加える部分は仮の状態でつくることを考えた。何より、オフィスワークにおけるこれからの要望に対応するためだ。
求められた水回りなどのスペースを既存壁面に沿って配置し、既存空間のアウトラインを縦横にオフセットさせたスケールの間仕切りをたてた。間仕切りの仕上げは、今後の追加要望にも柔軟に応えられるよう、ビスがとめられるもの。細部に使用する金物は、メッキを施す前の生地。仕上げについても仮の状態をフィニッシュとした。
大量な書類のストックが課題であったため、可動・追加・切断できる棚を壁に沿ってぐるりと配置し、デスクの周囲に十分な書類のアーカイブを可能にしている。また、ファイルを傾けると固定される、ブックエンドとインデックスを兼ねた専用パーツも製作し、書類の整理や移動をワンタッチで行えるようにした。
引き渡し後も追加の要望に応えつつ、ワークスタイルに合わせて、インテリアは徐々に姿を変えてゆくことだろう。現時点で望むのは、ここで起こる様々なことを想定しながら、働く人々と考える、終わりのない設計への足掛かり、である。
■建築概要
題名:I office
設計:後藤充裕/mitsuhiro gotoh architects
所在地:宮城県富谷市
用途:オフィス
施工:wonder-wall
面積:186.51㎡
竣工:2017年9月
写真:Yuriko Tsuchida