



ネリ&フーが設計した、中国の「ザ・ヤード 大連文化センター」です。
既存6棟を転用した劇場等を内包する複合施設です。建築家は、全体を統一する“建築言語”を求め、コールテン鋼を始めとした“最小限で無加工”の素材を用いる計画を考案しました。また、元々の棟配置を活かして“静かな思索の中庭”も作り出しました。
こちらは建築家によるテキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
私たちの新しい複合用途のクリエイティブ開発の設計は、大連の中心部にあり、大学のキャンパスやソフトウェアパークの近くに位置しています。既存の敷地には、40年前に建てられた6棟の建物があり、かつては化学研究所のオフィス、倉庫、そして寮として使われていました。私たちの設計における課題は、高さがさまざまで、以前に改修が行われた特徴的な外観を持つこれらの建物を統一することができる建築的な言語を見つけることでした。敷地内で最も目立つ建物は、かつての作業員用の寮であり、過去に修理作業に使われていた一連の木製の門とガレージ区画を備えています。
ザ・ヤードの背後にあるコンセプトは、このプロジェクトが位置する文脈への考察に由来しており、それは都市の中の隠れた内向的な場所にあり、まもなく忘れ去られようとしている都市の記憶の小さな安息の地です。再活用プロジェクトとしてのこの計画の目的は、敷地を地域社会や学生たちに貢献する目的地へと変えることです。プログラムには、ギャラリー、ライフスタイル小売、ホスピタリティ、映画館、劇場、そしてオフィススペースが含まれています。
既存の建物はU字型の構成で配置されており、本質的に内向的で、大きな空の駐車場の方を向いていました。私たちの計画は、U字型の形を、壁やスクリーン、キャノピーによる新たな空間システムで構成された囲まれた中庭へと変えることで完成されます。中国庭園から着想を得て、都市の騒音から逃れる静かな思索の場として、この敷地の隠れた性質を称えています。連続した形状が広場を包み込み、プライバシー感を生み出すとともに、大きな岩の造形を囲み、さらに新旧の間を調和させる第二のファサード層として機能します。
触感的な素材のパレットは、既存のスタッコ仕上げの外観を引き立てるために、最小限かつ無加工のままに保たれています。コールテン鋼が、主要な表面素材として使用されています。風化し変化することで時間の経過を記録するという、工業素材としての適性があるためです。インテリアデザインの戦略は、新旧の間にある緊張関係を称えています。新しいしっくい仕上げと、部分的に露出したレンガや構造要素を並置することで、過去と現在の対話が生み出されています。