



蘆田暢人建築設計事務所が設計した、大阪・吹田市の「江坂ひととき」です。
高密度な都市の“超低密度”な民間の地域拠点の計画です。建築家は、都市と里山の課題も解決する存在を求め、両者の“交流と循環”を促す建築を志向しました。そして、森で伐採した“広葉樹の丸太”を構造材とし仕上材なども同地域の木材を使用して造りました。施設の場所はこちら(Google Map)。
江坂ひとときは、現代社会の中で分断されてしまった都市と農村という異なる生活圏のあいだに新たな交流を生み出し、双方の課題に応答することを目的に計画された建築である。
土地所有者であるクライアントと建築家がコンセプトを共有し、企画・計画を進める過程で地域住民を巻き込みながら、プロジェクトをつくり上げていった。このプロジェクトは企業などの団体が事業を行うために計画されたものではなく、クライアントと建築家の2人の想いからプロジェクトがスタートし、その理念に賛同する地域住民が徐々に参加をしながら、プロジェクトの内容が固まっていった。
つまり特定の目的を遂行するためではなく、市民の自主的な参加によって、それぞれの主張が反映されながら、民主的に計画が策定されていくという特殊なプロセスによって実現されているのである。
里山の森との直接的関係性から建築をつくるために、里山である能勢町の林業家との対話を始めた。
その森では現在、広葉樹を中心とした林業が行われている。クヌギやコナラの雑木林を伐採して薪などの燃料として販売している。日本では1960~70年代の高度経済成長期から針葉樹の植林による林業が進められており、原生林である広葉樹林が針葉樹林に置き換えられている。この森では、元来の植生に戻す林業の取り組みが行われている。
その営みと呼応する広葉樹の建築を作ることを試みた。我々設計者が森に行き、伐採された樹木を1本1本確認し、使用する材を決定した。
このプロジェクトでは、都市と里山の間に循環を生むことで、地域間の持続可能性を高めることを目標としている。
カフェや木工室では、里山の食材や木材が日常的に消費されている。マーケットなどのイベント時は、里山の生産者がここで野菜などの販売を行い、多くの人が集まる。子どもたちへの環境教育は、環境問題への意識を培い、地球環境の保全に貢献する。この建築を通して、都市と里山の人々の交流による地域間の循環が生まれている。
さらには、人やモノの循環だけでなく、建築も環境負荷の低減に貢献する設計を行っている。まず、建築自体をほぼ木材だけでつくっている。木造建築はCO2を貯蔵する箱のような役割を果たし、地球温暖化の抑制に貢献する。この建築はCO2を18.3t固定しており、大阪府から認証を受けている。









