震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.6 report: 2012.12.15

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震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.6 report: 2012.12.15

architecture, feature

※これはarchitecturephoto.net 震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」の関連記事です。

vol.6 report: 2012.12.15

text&photo=伊藤達信

12月半ば、久しぶりに石巻を訪ねました。まちはシンボルのひとつである石ノ森漫画館が再オープンするなどして次第に活気を取り戻しつつある一方、多くの更地がまだ手つかずのままで、これから復興に向けてまだたくさんの課題が残されているように感じました。

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この連載の初回に登場してもらったISHINOMAKI 2.0の本拠地「IRORI石巻」を訪ねてみると、入れ替わり立ち替わりいろんな人が出入りしていて、今ここでいろんなことが起こっているのを肌で感じることができました。この場所はまちのインフォメーションセンターとして地元の人たちのコミュニケーションの場となったり、外から訪ねて来た人の受け皿になったりしています。仮設住宅に暮らしているとなかなか近隣の人たちとコミュニケーションをとるのが難しいこともあるし、外から石巻に来てもどこに行っていいのかわからないという場合もあるので、こういった場所は大変重要な役割を果たしているのではないかと思います。
壁一面には「OPEN! ISHINOMAKI」というイベントの際につくられたポスターが貼られていて、石巻にあるいろいろなお店や拠点が震災後どのような道をたどって来たかがわかるようになっていました。


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それぞれの人たちがそれぞれの物語をそれぞれの言葉で伝えていて、震災が起こってから再開していくまでの苦労とともに、それに対する想いを強く感じました。
「石巻工房」では、最近ではベンチなどの定番商品だけでなく、全国のお店などでまとめて発注を受けることも多く、特注での家具製作も行なっていました。
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当初から比べると作業人数も増えて場所も大きくなっていましたが、全国各地から注文が相次いでいて、またすぐに手狭になってしまいそうでした。また家具の製造だけではなく地元の高校生や子どもたちとのワークショップも積極的に行なっていて、そのときのアイデアが実際に商品として実現したものもあります。こうやって若い世代に技術や考え方を伝えていくことによって、今後新たな文化をつくっていく可能性を秘めているように思います。来年にはさらに活動の幅を広げていくようなので、これからの動向を楽しみにしたいです。
IRORI石巻ではイベントも多く開催されています。この日は連載の第3回に登場してもらったtanaprojectのワークショップが開催されていました。
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これまでもtanaprojectのワークショップは何度か見せてもらっていましたが、今回の参加者はこの場所に馴染みのある方々ばかりだったので、ふだんよりもアットホームな雰囲気でおこなわれていました。その中でも特に印象的だったのは、子どもたちとISHINOMAKI 2.0の小泉瑛一さんとのやりとりで、この場所がいかに地元の人たちにとって愛着があるのかというのを見てとれました。
tanaprojectを主宰するもりひろこさんは、
「この活動を始めた去年(2011年)9月は、まだ仮設住宅で収納が必要なものでそれを手に入れることを目的に人が来ていました。けれどそれから1年3ヶ月経って、今は必ずしもすぐに必要なものではありません。それでも私がこの活動を続けているのは、ただ単に物理的な意味だけではなくて、ものを作る楽しさ、そしてそれとともにうまれる思い出を一緒に届けることができたらと思っているからです。1年9カ月が経ち、東京では震災のことがだいぶ風化してしまっていっているように感じます。そんな中で自分ができるのは、今もここに足を運び、ものを作ることの楽しさを伝え続けることなんだと思っています。」
と言っていました。震災から時間が経って東京や他の地域から足を運ぶということは少なくなっていますが、このような関わり方はひとつの可能性であるし、今後もかたちを変えながら続けていくことで、また新たな展開を期待できるのではないかと思います。
夜は「復興バー」にお邪魔しました。この日はYahoo!オークションで一日マスターの権利を獲得したじゅみこさんがマスターでした。
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じゅみこさんは静岡県在住で、今回は阪神大震災のときに何もできなかったという苦い経験と、石巻に肩肘張らずに気軽に遊びにきたいという想いからこの権利を落札されたそうです。この場所は未だ重苦しい雰囲気が漂う時期から気軽にコミュニケーションをとれる場として機能し、今も変わることなくその性格を保ち続けています。いろんな人が垣根なく接することのできるこの空気感は、ある種独特ではないかと思います。
短い滞在だったので今回紹介できるのは活動のほんの一部ですが、それでもいかに多岐にわたっているかはおわかりただけるかと思います。
ISHINOMAKI2.0の小泉瑛一さんは、「石巻は今、全国からいろんな才能が集まってきて、互いにぶつかり合って中央では起こり得ないような相乗効果が起きています。それらの知を集合させることで、いろんなイノベーションに取り組んでいくことができるのではないかと考えています。ここは今イノベーションを起こしていくべき状況にあると思いますし、またここでやる意味があるとも思います。確かに震災は多くの被害をもたらしましたが、今目の前に顕在化している課題をただ解決するだけではなく、地方都市の新しいモデルを提示したいと考えています。ISHINOMAKI 2.0としては、今いろんな場所で開催されている小さなワークショップやセミナーをネットワークして石巻を『学びのまち』にしていきたいと考えています。それが企業にとっても学校にとっても次世代型のソリューションを追求していく場となるし、今もっとも地方都市で必要とされていることなのではないかと思います。」
と今後の展望について語っています。ハードだけではなくソフトをつくっていくことは目に見えにくい部分もあってなかなかわかりづらいですが、その継続的な努力はこれからますます大きなうねりになっていくのではないかと思います。
石巻市は規模が大きく行政の力だけではなかなか復興のスピードが思うように上がっていかないところがありますが、ISHINOAMKI 2.0のような地道な活動がしっかりと根を生やしていっていることは特筆すべきことだと思います。石巻市は震災前いわゆる典型的な郊外都市で、シャッター街などの問題を抱えていました。それが震災をきっかけに新たに生まれ変わろうと考える人が次々に現れ、次第にいろんなところに影響を与えています。もちろんひとつの活動がまち全体を一気に変えるというのは不可能ですが、いろんな場所で同時多発的にさまざまな活動が起こることで結果として変わっていく方がむしろ健全だしそうあるべきではないかと思います。そしてそれはいつしか「被災地」という言葉を飛び超えて、これからの日本の地方都市のひとつの可能性を指し示していくようにさえ思えます。もちろん震災自体はネガティブなものですが、それを反転させてうまく良い方向へと進もうとする姿勢からは、他の地方に住むわれわれにとっても学ぶべきことがたくさんあるし、またそれが本当の意味で今回の震災について考えていくことにつながっていくのではないかと思います。


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