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震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.01 石巻2.0 小泉瑛一 インタビュー「その場所に入りこんでしくみをデザインする」
サムネイル:震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.01 石巻2.0 小泉瑛一 インタビュー「その場所に入りこんでしくみをデザインする」

0.00震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」、vol.01 石巻2.0 小泉瑛一 インタビュー「その場所に入りこんでしくみをデザインする」

architecture|feature
インタビュー小泉瑛一復興支援

※これはarchitecturephoto.net 震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」の関連記事です。

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小泉瑛一さん

vol.01 石巻2.0 小泉瑛一 インタビュー「その場所に入りこんでしくみをデザインする」

text&photos=伊藤達信

この連載の第1回に登場してもらうのは、ISHINOMAKI 2.0の小泉瑛一さん。ISHINOMAKI 2.0は、川開き祭りでのイベントの開催、フリーペーパーの編集、モノづくりの拠点となる工房の設立、ボランティアのための滞在場所の整備など、本当に多岐に渡る活動をおこなっている。さまざまな分野の専門家が一緒になって、何か特定のことに固執することなく、状況によってしなやかに対応していく彼らの活動は、これからの縮小時代におけるまちづくりのありうべき方向を感じさせる。また、現地の人たちと協働してしっかりとその土地に根を張り、それぞれのできることをうまく組み合わせながらやっていくという方法は、単なる支援をはるかに上回る相乗効果を発揮しているように思う。小泉さんはもともと横浜に住んでいたのだが、震災後石巻に足繁く通うようになり、ついには石巻市民となった。これまで建築を学んできた彼が、震災を機に建築事務所で働くのとは違う道をたどり始めている。彼にこの1年を通しての経験をもとに、どのような想いで活動し、またどのような変化があったのかきいていきたい。

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石巻工房
「石巻2.0」の活動について
・まずはどのような経緯でこの活動に参加することになったのかきかせてください。
ぼくは、2010年に大学を卒業して、1年間大学院浪人していたんですが、結局大学院には入れなくて。システムデザインマネージメント科というところを受けたんですけど、そこは専門領域をもった人たちが、新たにプロジェクトマネージメントやシステムデザインを学ぶところだったので、やっぱり自分も専門性がないとダメだなって思ったんです。だから、まずはちゃんと建築をやるために、設計事務所に入ろうと思いました。そして、日本で住宅をやるというよりは、もう少し大きな規模のものに関わりたいと思っていたので、中国で活動している日本人建築家のところを紹介してもらって、そこで働こうと思っていたんですね。だけど具体化する前に震災が起きて、その話は結局なくなってしまいました。
震災が起きてからしばらくは、言いようもない不安に駆られて何をしいいのかわからない状態でした。そういうときに、今のボスである「オンデザインパートナーズ」の西田司さんから震災復興に関わる活動をしないかと誘われて、4月からともに活動をするようになったのがきっかけです。
そして、4/10にはじめて石巻に来ることになりました。きっかけは建築家の芦沢啓治さんが、石巻の料理店「松竹」の阿部久利さんと施主・建築家の関係だったので、芦沢さんが行くというタイミングに合わせて一緒に来させてもらいました。そのときは、まだ自衛隊が棒をつついて遺体捜索をしていたし、全然瓦礫撤去というレベルではなくて、本当に壊れたそのままで、消毒のためのアルコールの匂いがしたのがすごく印象的でした。
初めて石巻に来て、偶然知り合った松村豪太さんの案内でヘドロかきや瓦礫撤去を手伝いました。松村豪太さんと、「松竹」主人の阿部久利さんは今では「ISHINOMAKI 2.0」の代表です。そのあと何度か友人と石巻にボランティアとして来て、「松竹」に泊めていただいたりしました。「松竹」は旅館の名残で大広間があって、いろんな人が寝泊まりしやすいベースキャンプになっていたんですね。そして、電気がちゃんと復旧してなかったので工事現場の灯りを使って、鍋をしながらみんなでいろいろと話しているうちにだんだん仲間が集まっていって、「ISHINOMAKI 2.0」という名前をつけてやりましょうとなったのがきっかけです。その中でぼくはほぼ唯一自由に動けて、ずっと石巻にいることができるという人間だったので、現場常駐スタッフとしてやっています。
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フリーペーパー「石巻 VOICE」
・現在おこなっている活動について話を聞かせてください。
「ISHINOMAKI2.0」では、まず最初に「石巻VOICE」というフリーペーパーを作りました。震災直後で何から始めて良いかわからないなか、まずは石巻の人々の声を集めて、地元の人がどういうまちをつくっていきたいのかということを形にしたのがこの媒体です。ぼくは写真撮影を担当しています。「VOICE」は、マスメディアとは違う石巻の人や空間、ライフスタイルのおもしろさを伝える媒体となっているんじゃないかなと思っていて、日本中の誰が見てもかっこいいな、おもしろいなと思ってもらえるようなメディアとなることを目指してやっています。
夏には「STAND UP WEEK」という10日間のイベントをお祭りに合わせて開きました。野外映画上映会やシンポジウム、音楽ライブなどを毎日いろいろとやりました。そんなにお金をかけなくても映画を上映できるし、場をつくることもできるし、まちづくりを自分たちの頭と手で考えることができるんじゃないかというのを投げかけたものです。
あと今やっているのは、「復興民泊」といって空き店舗や空き部屋をうまく活用して、外から来た人が石巻に滞在できるようなしくみを作っています。
「石巻工房」はものづくりの拠点です。今、オリジナルデザインのベンチやスツールなどを製作して販売しています。
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石巻工房で製作されているベンチ
・石巻工房についてですが、今はプロダクトを作って生産・販売して地元の雇用を生み出していますが、これから先それをもう少し大きなレベルで適用していくことは考えていますか?
ぼくは人々がDIYに関われるようになって、家具とか建築や都市っていうものを自分たちの手で作っていくっていうことに対して、ベタなスケールでやっているのが石巻工房なんじゃないかなと思うんですね。工房は家具を作って販売していって、石巻のブランドを作るというのもひとつの側面ですけど、もうひとつやっぱり市民工房としてまちに開かれていくのが大きいことだと思っています。
このあいだ道具の使い方のワークショップをやったんですが、そこに来たのは70歳ぐらいのおばあちゃんたちで、インパクトドライバーでイス作りをやったわけですよ。それで「おもしろ〜い!」とか「楽しい〜!」、「またやりたい!」って言ってやってくれるんですよね。それは全然意図してなかった対象者ですけど、そういう人たちが道具を使えるようになっていって、DIYの知識が増えていくと、まちとしてめちゃくちゃおもしろいんじゃないかなと思っているんです。
・スキルが身についていくことによって、だんだんひとりひとりのできる範囲も広がってくるし、数が増えればそれだけ集まってできることも増えてきますよね。
それに作り方を覚えるっていうことは、モノの構造や使い方、見方、あるいは限界をわかることだと思うので、そうしていくと、この街に住んでいる人たちもある意味でまちづくりの参加者だっていう当事者意識はより明確になっていくんじゃないかなって思うんですよね。石巻工房の市民工房としての役割は、まちに住む人を変えて行くという可能性を秘めていて、そうなると面白いなと思っています。実際北欧ではまちにひとつずつ市民工房があって、体育館を使うように工作室を使える状況もあるというのを聞くと、その街のひとたちは、すごく小さな町や村かもしれないですけど、やたらとものづくりが得意な人が多いとか、そんな街になっていったらおもしろいですね。
・それ自体が文化にもなり得ますね。
そういう人たちが増えれば、子ども世代たちはより洗練されていくと思うので、そこから本当に新しい文化がうまれてくるのかなと思います。ぼくたちから仕掛けるんじゃなくて自然発生的に。ちょっと余談ですけど、弘前に前川国男の建築がいっぱいあるのは、明治時代にフランス人の建築家をいっぱい連れてきたおかげで、洋風建築や擬洋風建築がいっぱい建って、それを見たり使ったりして育った人たちがのちに有力者になって、縁があった前川国男を招聘して、ちゃんとした建築をたくさん作ったというのが流れとしてあるみたいで。タイムスパンとしてはけっこう長くて50~6 0年かかっているんですけど、それは文化と呼べるんじゃないかと思っています。石巻工房に慣れ親しんだ子どもたちが大きくなったときに、何かを作ったり発注しようと思ったら、絶対それまでの世代とは違ったものになるはずだから、そうゆうタイムスパンで見ることもできるかなと、石巻工房に対しては思っています。
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IRORI石巻_外観
これまでの活動を通して考えたこと
・活動を続けていく上でのモチベーション、最初と今とでは違ってきているところもあるのではないかと思いますが、それについてきかせてください。
最初に考えていたことというのは、震災によって東北は世界の中でも社会的課題の最前線に立ってしまったんじゃないかということです。震災、津波、原発だけではなく国のいろいろなシステムが全然ダメだっていうのがすごくよくわかった。でも、ただそれをダメだと言っているだけだともう間に合わなくて、建築家は、もっとその職能の中で取り組まないといけないことがいっぱい出てきたんじゃないかなと思っています。これから特にぼくたちの世代は、絶対的に人間の数は減っているし、建築を建てられる土地も減っているはずだし、大きい建築というのは原則作らなくてもいいような状況にあるから、絶対働き方を変えなきゃいけない。ではその前提となる社会問題を解決するポジションとしての建築家を目指そうと思ったのが最初のモチベーションです。日本の地方都市をなんとかするという課題はやりがいのあることだと思っています。
そして今もその部分ではあまり変わりませんが、今はすごく単純にいうと、おもしろいからやっているという気持ちになっていて、石巻でいろいろなおもしろい人たちにめぐり会っていて、その人たちと一緒にやっていくっていうことに価値があるんじゃないかと思っています。もちろんおもしろいだけじゃなくて、石巻で今この状況の中でやっていくことそれ自体が他の人にはない経験であって、仮にぼくが将来的に何年かして石巻を離れたとしても、次のフィールドで絶対役に立つし、自分にとってもプラスだと思っています。そして今考えている理想的なことが実現されていけば、まちも変わっていくだろうと思うんですよね。今それができるフィールドは石巻だし、東北の被災地だと思っていますね。それが今のモチベーションということかもしれないです。
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IRORI石巻_内観
・石巻という街やふだん接している人たちに対しての距離感というのは、常駐しているから東京から定期的に来るのとは変わってきていると思うのですが、そのあたりはどうですか?
自分自身も住民票を移して石巻市民になったというのもあって、距離感は近くなってきていると感じる一方で、その近さに甘えていたらすぐに突き放されてしまうなというのも感じています。「ISHINOMAKI2.0」の活動すべてにおいて、ぼくが地元の人と東京の人との間に入ることが多いんですが、やっぱりまだ全てスムーズにできているわけではない。そして満足にできていないと、信頼をすぐ失ってしまうし、今はけっこうギリギリだなと思いながら日々やっている状態です。だからやっぱり石巻に限らずどこの場所でもそうだと思うんですが、まちを変えるという重いことをテーマにしている以上は、まちの人たちの信頼を失うことはできないなという。それはけっこう脆いものだなっていうふうに思いますね。そしてそれが東京にいる「ISHINOMAKI2.0」の他の人たちから見たらぼくがやりとりしなきゃいけない部分だから、そこに関しての責任は大きいなと思います。
・小泉さんから見て東京の人が考えていることと地元の人とのズレを感じたりすることもありますか?
ありますね、やっぱり。石巻に何回も来ている人とか、東京をベースにして石巻にいろんな活動を持ち込んでいる人たちでさえ、現場での日々の動きや変化はわからないと思うんです。石巻のスピードは想像以上に早くて、復興のスピードとも言えるかもしれないですけど、それだけではないいろんなネガティブなものも含めた変化のスピードってとてつもなく早くて、ちんたらやっていたら全然進まないし、どんどん周りが勝手に進んでいってしまうというのがすごく実感としてあります。
・それは自分たちがなにかしないと自然と悪い方向に進んでいってしまいかねないという可能性を感じるということですか?
そうですね。モノが平衡状態に戻ろうとする力ってものすごく強いなって最近よく感じるんです。復興まちづくりのワードで「レジリエンス(復元力)」という言葉があります。それは概ねいい意味で使われるんですけど、自分たちの中から出てくる復元力を最大限発揮して復興しようという。でもこのタイトルに即して言うわけじゃないですけど、いわゆる「オーディナリー」な状態に戻ろうとする力はものすごく強くて、なにもやらないでいると震災前の状況に戻るというか、深層的な改善もしないまま表面的に復旧を目指すような状況がもはや震災から1年経ってすごくたくさん起きているんですよ。でもやっぱりそれじゃダメだと思っているし、人に強制はできないんだけど、そっちの方に誘導していかないと絶対に街が変わる、あるいはもっと敷衍していって日本全体が変わるっていうことにはならないと思うんですよね。
・でも逆にいうと今の石巻が先例を示せるポテンシャルがあるっていうことですよね?
そのポテンシャルはあると思っています。だけどそれにはまだまだ遠いし、ひょっとすると先例を示せないままふつうに押しつぶされていく可能性もあるかもしれないですが。そして、震災前の「オーディナリー」と震災後の「オーディナリー」の言葉の定義は変わっていて、震災前の「オーディナリー」っていうのは、特にアクションを起こさなくても日々淡々と過ごしていけるというところがあると思うんですけど、震災後の「オーディナリー」は、少なからずそこには「サヴァイヴ」という意味が含まれていて、それは危機的状況からの「サヴァイヴ」もそうですけど、そもそも日常生活自体が脆い基盤の上に成り立っていて、ふつうにやっているだけでは、自然災害だけじゃなく経済や高齢化などのいろんな問題に押し流されていって、地盤ごと動いていること、沈下していることに気づかないままになっちゃうんじゃないかと思っているんです。だから、震災後の「オーディナリー」っていうのは、少なからず抗う方向に走り続けないと得られないんじゃないか、とぼくは今思ってるんですよね。ただその抗い方は極力楽しくやりたいし、みんながみんなのやり方でできるような抗い方にしたいなとは思っています。今ぼくは石巻にいますけど、東京とか横浜とか名古屋でも同じことが言えるんじゃないかなって思いますね。
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復興民泊
・それはやっぱり震災によってこれまであった問題がより顕在化したっていうこともありますよね。見て見ないふりをしていたものがどうしようもなく目の前に現れてきてしまったから、それに何らかのかたちで対処していかなくちゃいけない。もちろん原発はそうですけどそれだけじゃなくていろんなレベルで。石巻っていうのは真正面から作用が起こっているし、それに対する決断を今すぐに迫られているっていうか、よりシビアな判断を迫られている部分がありますね。
やっぱりまちの人たちのふつうをめざす力もすごいです。気づいたらそっちの方に向かっているというか。それはそうだと思うんですよ、今までの生活を取り戻すっていうことの方が、自分たちがやってきたことだから想像がつくじゃないですか。そして、それはもっと大きい枠組みの中ではさらに強くて、国や行政の立場の人たちの方が変化を求めてないんですよね。だからやっぱりまちづくりとかも過去の例にのっとったかたちにしかならないし、制度設計もそう。でもそれは全然根本的な解決ではないし、その先には未来はないとまでは言わないけど、イタチごっこの状況しかないんじゃないでしょうか。
そして、この状況を被災地っていうだけじゃなくていかに自分のこととしてすり替えられるかっていうのが、「サヴァイヴ」という意味を含んだ「オーディナリー・ライフ」を生きていくキーワードなんじゃないかなって思いますね。ぼくは今回の震災を勝手に自分の出来事と置き換えていました。東北とか縁もゆかりもない土地だし、被災者ですらないし。だけどこのこと自体を何とかしないと、日本全体の地盤沈下に飲まれていくだけで、この先に起こることが全然自分の将来を保障しないんじゃないかと思って、それならもう飛び込んでいくしかないって思いました。自分の問題に勝手にすり替えているんです、ぼくは。だからあんまり被災地のためにとか、被災者のためにとかかわいそうな人たちのためにというモチベーションは、そもそもあんまりないのかなと思いますね。
・ここに来る前の自分と実際来て1年間活動してみて今の自分を比べてみて、こうゆうことが変わったというところっていうのはありますか?
より自分自身が物事の渦中にいるプレーヤーの一人という実感が出てきました。それは横浜にいたら口ではそう言ったかもしれないけど、そうゆう意識は全然なかったなと思うんですよね。今やっぱり石巻にいて、ものごとがすごいダイレクトに来る状態なんですよ。なにかをしたらダイレクトに反応が見える、もちろんぼくが動いたからといって行政が変わったり国が変わったりするわけではないですけど、すごく小さくてもある人の流れとかものごとの動き方っていうのはなんとなく見えているので、当事者意識をみたいなものを持ったっていうのは大きく変わったんじゃないかなと思います。
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STAND UP WEEK
・今後の具体的な活動やビジョンについてきかせてください。
活動としてはもっと内に閉じこもらずに外に広げていかなきゃいけないと思っています。この一年は復興元年みたいなかたちで、勢いでなんとかなっていたところもあるんですけど、ちゃんとビジネスとかシステム化していかないと、そろそろ立ちいかないなっていうことは強く感じています。加えて、今まではすごく小さいスケールでやれることをやっていこうというスタンスで「石巻2.0」は活動してますが、外から来る企業やお金っていうのをもっとこの場所に結びつけていかないと、そうはいってられないんじゃないかなっていうのはあって、もっと大きな渦に多少無理をしてでもしていくべきだろうなと思っています。
個人的に言えば、もう乗りかかった船というか、完全に両足を突っ込んでいるので、やれるところまではやってみようと。それは5年になるかもしれないし、10年なのかもしれないですけど、ある程度のところまでは腰をすえてやっていきたいなというふうに思っていますね。石巻で得た経験や知見を他の場所に応用していくことができればよいと考えています。
・ある程度といったときに、具体的なビジョンが自分の中にありますか?ここまでいったら一区切り、なにかひとつ達成できたんじゃないかという。今までに比べてだんだんものごとのスパンが長くなってくるわけじゃないですか。次の一区切りが来年なのか3年後なのかわかりませんが、次のフェーズとしてこうゆうことができていたらいいなみたいな希望や目標はありますか?
石巻のまちの個人個人と、まちそのものがバージョンアップすることが一つの目標です。漠然として言い方ですが、そのバージョンアップはすでに始まっていて、石巻のまちは日々変化しています。外から来た人や、日常的に起こる刺激的な出来事が徐々に人々の意識とライフスタイルを変えつつあります。 
今まで積み上げてきた歴史の上に新しいレイヤーを重ねていくことが「2.0」の意味するところだと思います。
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復興バー
・これまで建築を学んできたことが今の自分にどのように影響していると思いますか?
 今まで建築を学んできましたが、実際のフィールドに出て活動した経験はありませんでした。自分自身について、今こうして石巻にいることで他ではできない重要な経験を積んでいると思います。いわゆる「建築」の分野ではないけれど「人の集まるところをデザインする」という意味ではその延長線上にあるのだと思っています。
・現在建築を学んでいる学生に対して伝えたいことがあれば教えてください。
 今建築や都市について学んでいる人はぜひ石巻や東北のまちに来て欲しいと思います。自分の目で見て、肌で感じとってください。クビを突っ込む余地はたくさんあります。
 僕も大きな建築をつくることに憧れていたときがあったけれど、今やっているまちの中で復興民泊やIRORI石巻という小さなスペースをつくることや、人の集まる仕組みそのものをつくることのほうがさらに大きな課題に対して球を投げていると感じています。
 
 最近は同世代の仲間も増えてきたし、新しいプロジェクトや場が次々に生まれています。やることも沢山です。
 今の石巻、すごく面白いですよ。
■プロフィール
小泉瑛一(こいずみよういち)
1985年群馬県生まれ愛知県育ち。横浜国立大学工学部建設学科建築学コース卒業。2011年4月より石巻にてISHINOMAKI 2.0と石巻工房の現場常駐スタッフとして修行中。オンデザインパートナーズ所属。ISHINOMAKI 2.0理事。
>震災復興支援活動関連企画「towards our ordinary life」のその他の記事はこちらでご覧ください。

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インタビュー小泉瑛一復興支援
2012.04.25 Wed 16:27
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    藤森照信の新しい書籍『藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎』がamazonで発売されています

    藤森照信の新しい書籍『藤森照信の茶室学―日本の極小空間の謎』がamazonで発売されています。

    日本の極小空間=「茶室」の謎に迫る。

    利休はなぜ2畳という極限スペースの茶室をつくったのか。茶室に火が投じられたわけは。

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    日本のアイデンティティの一つである「茶室」を改めて熟考できる1冊。最終章に、茶室を多く手掛けている、日本を代表する建築家、磯崎新との茶室談義を収録。
    (via rikuyosha.co.jp)

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