松葉邦彦+福島慶介、TYRANT KUNIHIKO MATSUBA+N合同会社による”旧廣盛酒造所再生計画”

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松葉邦彦+福島慶介、TYRANT KUNIHIKO MATSUBA+N合同会社による”旧廣盛酒造所再生計画”

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photo(c)広川智基

松葉邦彦+福島慶介、TYRANT KUNIHIKO MATSUBAN合同会社が設計した"旧廣盛酒造所再生計画"です。


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以下、建築家によるテキストです。
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旧廣盛酒造所再生計画
「1滴だけインクを垂らしたコップの水」
真水でもないけど、しっかりと色のついた色水でもない。もちろん、厳密に言えば色水に違いないけど、人が知覚できるほど色はついていない、0ではないけれど、100でもない。0.1〜1くらいの限りなく0に近い。そんな状況を考えてみました。
群馬県中之条町が所有する旧廣盛酒造所をイベント施設へと再生させるための計画です (第1期) 。四万温泉を有する中之条町は、近年、アートイベント・中之条ビエンナーレを始め、文化・芸術振興に積極的に取り組んでおり、旧廣盛酒造所はそれらの活動拠点として活用されてきました。今回の計画では、群馬県指定重要有形民族文化財の鳥追い太鼓11台を保管展示するための施設の新築および、既存の倉庫とトイレの改修の設計を行いました。
2007年度に中之条町が旧酒造所の土地と建物を買い取り、イベント施設としての活用を始めようとしていましたが、既存建物群の老朽化は進んでおり、全ての建物をそのままの状態で活用することは困難な状態でした。そこで良好な状態かつ空間としての魅力もある事務所棟(鉄骨造)、貯蔵庫(積石造)、倉庫(木造)を残し、それ以外の建物は解体することにしました。そして、その跡地に新たに保管展示室と公園のような小さな公共スペースを設けることとしました。また、解体から新築までの一連の流れで生じた建物間の隙間は、アプローチや野外展示スペースなどとして積極的に活用することとしました。
旧酒造所内に今までの雰囲気とは全く異なる世界観をつくりだしてしまう手法には違和感を覚えました。一方で、ただ既存の雰囲気を生かし綺麗に仕上げるという手法には面白さを全く感じません。そこで空間をわずかに歪めるという方向性のみを定め、用途や場所に応じて異なる手法を当てはめていくことにしました。
新築の保管展示室はその性格上、外壁に面しては搬出入用の開口以外は一切設けておりません。代わりに建物を横断するトンネルのような通路を通すことで、内部空間を体験できるようにしました。通路の両脇には上下の枠のみで支持された倍強度ガラス(最大高さ:4.5m)をはめ込んでいます。この2枚のガラススクリーンは平行ではなく、広場や水路に向けて広がるように微妙に傾きを持って配置しました。そのため反射を繰り返し通路内に創り出される何重もの映り込みを、より迫力のあるものにします。下見板張りを連想させるようなガルバリウム鋼板平葺きの外観は、軒も庇もない現代的な表現であるにもかかわらず、既存建物に通ずる和の雰囲気を感じさせます。
既存の倉庫は展示室に改修を行いました。ただし、通常の展示室とは異なり、コンクリートの床にわずかな(1.8°)の傾きを与えました。展示室の床から水平性という当たり前の要素を奪うことで、展示を行うアーティスト達に「新しい展示・作品のあり方を示してみろ」という問いかけをしたつもりです。想像を超えるような方法で応えてくれるアーティストが出てくることを期待しております。
既存煙突の根本に位置するトイレの改修では、新たに幅6m×高さ2mのステンレスの鏡面パネルを設置しました。便座に座るとその姿が正面に映し出されます。また、鏡面パネルの上半分にはr=5mの曲率を与えているため、映り込む像の上半分は実像とは異なる歪みをもったものになります。既存煙突の根本にはアーティストによって作品が描かれる予定ですので、鏡面の性質を活用し、驚きや楽しさをもったトイレにしてもらえたらと思っております。
外構は太鼓の搬入や生育上の観点を考慮した上で、極力芝生で覆うよう心がけました。芝生を張ることで人々が親しみやすい場所にするのと同時に、地面からの輻射熱を軽減し、保管庫周辺の気温上昇を極力抑える効果を狙いました。また水路沿いの芝生にはメンテナンスフリーのソーラーLED照明を50個埋め込んでおり、日が落ち始めると淡い光が点滅する美しい光景が現れます。
第2期以降の計画でも、空間をわずかに歪めるという0.1〜1くらいの方針に従い、場所毎に異なる手法を適用させてながら改修を行っていきます。それにより一見するとばらばらに見えるけど、1つの方針によってきちんと統制されたパッチワークのような全体像が見えてくるのではないかと思っております。


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