SHARE 迫慶一郎/SAKO建築設計工社”杭州ロマンティシズム2”
迫慶一郎/SAKO建築設計工社による”杭州ロマンティシズム2”です。
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
©Nacasa & Partners
1階平面図
地階平面図
all photos provided by SAKO建築設計工社
網 身体/外皮
衣服は、体温調整という役割がその起源であることを考えると、身体から拡張された外皮=「第2のスキン」と捉えることができる。空間も同様に身体を包み込み、温度調整という役割を担っている。しかし空間は身体の移動には同調しない。身体から見た場合、そこが衣服と空間に対する距離感の違いであろう。
ここでは空間を規定する床・壁・天井ではなく、「空間」と「衣服」との間に散在するパーティションや什器といったモノたちが「第3のスキン」のように振る舞うことができないかと考えた。
中国杭州市の中心である西湖の程近くにこのブティックは位置する。「ロマンチシズム」は中国で約500店舗を展開する女性服のブランドであり、この店舗はそのフラッグシップストアである。
有機的な形態の「網」=「第3のスキン」が全体に渡って展開している。ファサードから吸い込まれるように内部空間へと連続した「網」は、その形態を滑らかに変化させながら1階の売り場を包み込んでいる。そして階段部分で一端収束した「網」は、地階で再び勢いよく広がり1階と同様にさまざまな場所をつくり出している。
「網」はパーティション、カウンター、椅子、什器、手すりなど、各所でさまざまなモノへと変化している。「第3のスキン」は「骨・肉・皮」から構成されている。「骨」は鉄筋、「肉」はスタイロフォームとガラス繊維、「皮」はエポキシ樹脂と油性塗料である。
3次曲面の白い壁もまた「第3のスキン」である。有機的な形態の「孔」は、ディスプレイ用のスペースとして用いられている。
また1階の天井には鏡面ステンレス板を使用している。これは、売り場の照度確保、低い天井高さの克服などを考慮したためである。完璧にフラットではない鏡面ステンレス板が映し出す「鏡像」は、水中に浸かった物体を見ているようでもある。つまり、日常的には「下」にあるはずの「水」が自分の「上」にある、という非日常的な光景がつくり出されている。
(迫慶一郎/SAKO建築設計工社)
□建物概要
杭州ロマンティシズム2(ROMANTICISM2 in Hangzhou)
中国浙江省杭州市
設計:2006.08-2006-11
竣工:2007.08
規模:地上2階、地下1階
延床面積:1142.6m2
□関連リンク
>迫慶一郎/SAKO建築設計工社