SHARE 後藤周平建築設計事務所による、静岡市の「静岡のリノベーション」
all photos©長谷川健太(改修前を除く)
後藤周平建築設計事務所による、静岡市の「静岡のリノベーション」です。
既存鉄骨が露出した2層吹き抜けのリビングの上部に、大きな南北に連続した開口部を設け、空が見え、明るい広場のような空間をつくり、その吹き抜けに対して各個室の開口部が設けられている。この二重の開口部は、どこまでが室内でどこからが外部なのか、その境界が曖昧に感じられるような働きをしている。
吹き抜け上部の開口部は、隣家に対してもオープンになっており、リビングの様子は見えないが、その向こうの町並みには視線が開けていて、視覚的な都市のオープンスペースとして機能している。住宅の空間の一部が都市に共有されることで、密集地において周囲の人にとっても開放感を感じられるのではないかと考えた。“家の中の広場の中の家”といえるような、復層的な構成が、都市に対して奥行きを保ちつつ開くという独特な距離感を住宅の内外につくり出している。
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以下、建築家によるテキストです。
静岡のリノベーション
都市との距離感の調整をテーマにしたプロジェクトとして、”袋井の三壁”とは別のアプローチを試みた住宅である。
都市に対してどのように開くか、という問題は常に住宅の主要なテーマのひとつである。暮らしにおいて開放的になりたい状況と、閉鎖的になりたい状況は、一日の中でも、季節ごとでも絶えず変化しており、その変化に対してどちらかに偏るのではなく、適度に調整できるような住宅をつくりたいと考えていた。
ここでは、住宅の半分を占める大きな2層吹き抜けを、暮らしと都市との関係を調整する装置として、都市へ快適に開くことを試みた。
築30年超の事務所兼アパートを、住宅にコンバージョンしたプロジェクトである。敷地は静岡市の繁華街にほど近い、戦後すぐに開発された住宅街にあり、老朽化に伴う建て替えが近隣で多く行われ、将来的な環境が想定し難い状況にある。
既存鉄骨が露出した2層吹き抜けのリビングの上部に、大きな南北に連続した開口部を設け、空が見え、明るい広場のような空間をつくり、その吹き抜けに対して各個室の開口部が設けられている。この二重の開口部は、どこまでが室内でどこからが外部なのか、その境界が曖昧に感じられるような働きをしている。
吹き抜け上部の開口部は、隣家に対してもオープンになっており、リビングの様子は見えないが、その向こうの町並みには視線が開けていて、視覚的な都市のオープンスペースとして機能している。住宅の空間の一部が都市に共有されることで、密集地において周囲の人にとっても開放感を感じられるのではないかと考えた。
“家の中の広場の中の家”といえるような、復層的な構成が、都市に対して奥行きを保ちつつ開くという独特な距離感を住宅の内外につくり出している。
■建築概要
設計:後藤周平建築設計事務所
所在地:静岡県静岡市
構造:鉄骨造
設計期間:2015.8-2016.3
工事期間:2016.3-2016.8
敷地面積:102.34㎡
建築面積:57.16㎡
床面積:85.74㎡ (1階57.16 ㎡、2階28.58 ㎡)
設計協力:高橋俊也構造建築研究所
写真撮影:長谷川健太
後藤周平/後藤周平建築設計事務所
1982年静岡県磐田市生まれ。京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科、同大学院博士前期課程修了。中山英之建築設計事務所を経て2012年後藤周平建築設計事務所設立。
静岡県磐田市国府台2-3 2A
http://shuheigoto.com