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特集”フォルム・木村浩一建築研究所”
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architecture|feature
木村浩一

01_KKMH_101_S.jpg
photo©Takumi Ota

滋賀をベースに建築を作り続けているフォルム・木村浩一建築研究所の特集記事です。木村の建築に関する論考と過去に紹介した作品へのリンクによってご紹介します。


特集”フォルム・木村浩一建築研究所”によせて

木村浩一によって設計された建築について考えている時、ふと建築評論家のエルウィン・ビライ氏と、毎日のように対話していた時の事が思い出された。

議論は多岐にわたるものであった。その一部を具体的に書き出してみよう。
実際の生活と建築の関係はどうあるべきか。建築家が作らなければいけないのは、その空間の雰囲気ではないないだろうか。その雰囲気とは、プロポーション・素材・光によって作り出されるのではないだろうか。。。。この議論は、シグアード・レヴェレンツ、ペーター・メルクリ、ヘルツォーク&ド・ムーロン、時に京都の寺院など、様々な建築を参照しながら行われた。

答えのない、また終わりのない、さまざまな議論の中で、今でも記憶している印象的な見解がある。それは、「豊かな生活と建築的な新しさ・興味深さは両立することができる。」というものであった。

木村の建築は、この言葉に一致する。

生活に焦点を当ててみてみると、”見つめる家”の中庭では、施主が希望するプライバシーと開放性を併せ持った多目的に使用できる空間を見事に実現しており、居住者の豊かな暮らしが感じられる。また、”小さな家”では、庭に向けて開かれた開口部が、リビングへ自然の光を取り込み、実際の面積は狭いが、それを感じさせない空間とし、豊かさを感じられるものとなっている。それぞれの住宅で多くの豊かな生活が伺える場面に出会うことができる。
建築学的な視点で木村の建築を見てみよう。
建築家が設計した住宅ではあるが、街並から浮かび上がるような過度の奇抜さはない。かといって、街並に溶け込んでしまい埋没してしまうような無個性な住宅でもない。絶妙のバランスで設計されている。
この姿勢は、ヨーロッパの現代建築家の多くがもつ、都市への、成熟した態度を思い出させる。
特筆すべきは、その内部空間にある。
床・壁・天井という建築の基本的なエレメントの寸法を丁寧にコントロールし、そのヴォリュームを組み合わせることで、シンプルであるが、複雑で実に豊かな空間を作り出している。また、細部を見てみると、奇をてらわないディテール、既成品が選ばれたサッシ、落ち着いた色彩・素材感によって構成されている。それらは、空間に、特別なものではあるが、決して排他的ではない、穏やかな感覚をもたらすことに寄与している。
建築の空間に、プロポーション・素材の扱いによって感情を与えること。これは、ピーター・ズントーやペーター・メルクリが建築において探求している事柄にも一致する。木村は、日本の環境において、彼らと同じような問題意識を持って活動しているのではないだろうか。
木村は滋賀をベースとして活動している建築家だ。東京でも大阪でもない地方都市で建築を作り続けている。
この決して豊かとは言えない情報環境の中、木村は建築の書籍をコレクションしていく事で、多くのものを学んできたようだ。(国内・海外問わず収集され、膨大な数になるという。)
書籍を通して、世界中の建築をフラットに眺め・学ぶことで、世界に通じる木村独自の表現の建築が生み出されているのだろう。
木村浩一は、現代日本建築において特異な存在であると思う。
(後藤連平)


01_FKHS_001_S.jpg
photo©Takumi Ota
内包する家 / 2009
01_MTHS_104_S.jpg
photo©Takumi Ota
見つめる家 / 2008
01_KKMH_101_S.jpg
photo©Takumi Ota
拡散する家 / 2008
05_KSOK_016_S.jpg
photo©Takumi Ota
交錯する家 / 2007
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photo©Takumi Ota
奥行きのある家 / 2007
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photo©Takumi Ota
小さな家 / 2007


ここに掲載されていない作品は、”フォルム・木村浩一建築研究所“のサイトのWORKコーナーで見ることができます。

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