SHARE フォルム・木村浩一建築研究所による「祈りの空間」
以下、建築家によるテキストです。
この小さな礼拝室は,開発地域にあるビルの一室に計画されたものである。
聖書には、闇と光の対比がいくつも記されている。
たとえば、『光は闇の中で輝く』 『神は光を見て良しとされた。神は光と闇とを区別された。』である。
私は、この言葉にインスピレーションを得た祈りの空間をつくりたいと思った。
闇を照らす神聖なる光、光は神そのものを象徴する。
この象徴する光の表現には、光の位置・量が大きく影響することはいうまでもない。
そこで礼拝室に射し込む唯一の光を、十字架の背後から導くことにした。
導かれた光は、十字架を浮かび上がらせ白い壁に反射して光の存在を高める。
一方の闇を象徴するものは、光を受ける礼拝室を取り囲んだ黒い壁である。
黒い壁は、白い壁と対比されることで際立ちそして闇の中で光を輝かせるのである。
小さな礼拝室ではあるが、聖書の言葉を内包させた祈りの空間になっている。
■建築概要
設計;フォルム・木村浩一建築研究所
所在地;滋賀県大津市
竣工;2011