ヘルツォーグ&ド・ムーロンが設計している、アメリカ・フィラデルフィアの美術館「カルダー・ガーデンズ」です。
20世紀を代表する彫刻家の為の施設です。建築家は、作品を鑑賞だけでなく“内省”の場も目指し、建築と庭園が一体となった空間を構想しました。また、“古典的”展示を越えた様々な種類の空間で作品への理解も促す事も意図されました。2022年に着工して2024年の竣工を予定。施設の公式サイトはこちら。
こちらはリリーステキストの翻訳
カルダー・ガーデンズのデザインを発表
フィラデルフィアのダウンタウン中心部、ベンジャミン・フランクリン・パークウェイに誕生する国内外の新しい文化発信地
世界的に有名な設計事務所ヘルツォーグ&ド・ムーロンと著名なランドスケープデザイナー、ピエト・ウードルフが、芸術と自然が融合した、内省、思索、学習の場を構想
カルダー・ガーデンの評議員会は、フィラデルフィアのダウンタウン中心部にあるベンジャミン・フランクリン・パークウェイに建設する新施設のデザインを本日発表しました。プリツカー賞受賞の設計事務所ヘルツォーク&ド・ムーロンが設計した建物と、国際的に評価の高いオランダのランドスケープデザイナー、ピート・ウードルフによる庭園が特徴のこのプロジェクトは、フィラデルフィア出身で、20世紀で最も革新的で影響力のある芸術家の一人と考えられているアレキサンダー・カルダーの芸術とアイデアに捧げられたものです。
カルダー・ガーデンズでは、自然光に照らされたギャラリーを持ち、原生種や開花種が咲き乱れる風景に囲まれたストラクチャーの中で、モビール、刺繍、モニュメント彫刻、絵画などを含む、ニューヨークのカルダー財団の名作が交代で展示されます。カルダーは1933年にこう書いています。「これらの物体の美的価値は、推論によって到達することはできない」「親しみが必要なのだ」。屋内外に設置されたカルダーの芸術は、自然や四季折々の雰囲気と常に対話することになります。カルダー・ガーデンは、瞑想と内省のための特別な場所であると同時に、包括的な公開プログラムや特別イベントを通じて、学習とコミュニティ形成のための豊富な機会を一般の人々に提供する予定です。
カルダー財団のアレクサンダー・S・C・ローワー会長は言います。
「カルダー・ガーデンズにおける我々の意図は、公衆の為の祖父の作品に出会うための理想的な環境を作るだけでなく、個人の瞑想や内省を高めることです」「体験型アートのパイオニアとしてのカルダーの役割は、彼の遺産を語る上で欠かせない要素です。彼のモビールやスタビライズの可能性に心を開く鑑賞者には、予期せぬものが根を下ろすのです。彼の作品はリアルタイムに展開し続けるのです」
カルダーは1898年にフィラデルフィアで生まれ、彼のこの街とのつながりは、家族の豊かな芸術的系譜に根ざしています。ベンジャミン・フランクリン・パークウェイ沿いには、カルダー3世代による象徴的なインスタレーションが並んでいます。南東端の市庁舎の上には、祖父アレクサンダー・ミルン・カルダーによるウィリアム・ペンの記念像(1886-94年)、中間地点には父アレクサンダー・スターリング・カルダーによるスワン記念泉(1924年)、北西端にはカルダー自身の1964年の作品「幽霊」がフィラデルフィア美術館のメインホールに壮大な姿で飾られています。このようにカルダー・ガーデンは、1世紀以上にわたってフィラデルフィアの街を豊かにしてきた一族の遺産を21世紀にもたらします。
デザインについて
カルダーの作品を展示するために特別に作られたカルダー・ガーデンズの景観と建築は、来場者を日常的な都市の状況から、従来の美術館体験を超えたより瞑想的な領域へと導くような振り付けの進行で進行します。それは、芸術家が意図したように、個人的でリアルタイムな出会いとして、芸術と関わることができるようにします。
ヘルツォーグ&ド・ムーロンでピエール・ド・ムーロンと共に設立パートナーを務めるジャック・ヘルツォーグは語ります。
「これは、決まったプログラムに基づく完成されたコンセプトというよりも、実際にはオープンエンドなプロセスでした。形やボリュームを作るのではなく、地面を削り出すような、一種のコンセプチュアルな道筋です。──私たちは、カルダーの作品を前例のない新しい方法で提示するためのスペースを探していたのです」
「創作の中でその空間は、様々なギャラリーや、意外な空間、ニッチ、庭園への全体のシークエンスに発展しました。例えば、後陣、擬似ギャラリー、オープンプラン・ギャラリー、サンクンガーデン、ベステージ・ガーデンなどです。古典的な感覚でのギャラリーだけでなく、あらゆるコーナーや角度、階段や廊下も、アートを置く場所として提供されるべきなのです」