吉田州一郎+吉田あい / アキチ アーキテクツの設計による、岐阜・本巣郡の住宅「un白木」。
規格住宅のプロトタイプとして計画されました。建築家は、“田園風景の魅力”と“地域社会”を継承する建ち方を求め、敷地・内外・公私の“境界”を横断する設計を志向しました。そして、庭と建築を渾然一体として住宅から風景へと繋げる事が意図されました。
岐阜県を中心に、土地の分譲から住宅の施工を手がけるビルダーによる、新しいプロトタイプとしての規格住宅。
「図」としての住宅本体を取り巻く、「地」としての外部空間の可能性に着目した。庭の計画からはじめる家づくりは、内部からの閉じ方ではなく外部からの開き方への転換を促す。一戸の住宅から街区づくり、界隈の風景に繋がる商品化住宅を開発した。
田畑の区画単位で千編一律に分譲地の開発が進む地方都市において、田園風景の魅力や地域コミュニティーの継承を意識した住宅の建ち方を考えた。
まだ長閑な景色が残る周辺環境にあって、所有する土地の中だけで完結する暮らしを設計することに窮屈さを感じた為、敷地境界、内外の境界、プライバシーの境界など、各領域を横断するデザインに注力した。自然を身近に引き寄せることで得られる快適で健康な住まいが外部と連続し、庭と建築が渾然一体となり、庭先の緑の恩恵を共有しながら向こう三軒両隣の風景を意識して家をつくる。
風土に根ざした雑木林の仕組みに建築も倣い、構造的にも環境的にも植生の成り立ちを踏襲する。構造は樹木を躱しながらも立体的に重なり合い、庭と建築の隙間に快適な生活環境を導く。
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以下、建築家によるテキストです。
極相の家
岐阜県を中心に、土地の分譲から住宅の施工を手がけるビルダーによる、新しいプロトタイプとしての規格住宅。
「図」としての住宅本体を取り巻く、「地」としての外部空間の可能性に着目した。庭の計画からはじめる家づくりは、内部からの閉じ方ではなく外部からの開き方への転換を促す。一戸の住宅から街区づくり、界隈の風景に繋がる商品化住宅を開発した。
田畑の区画単位で千編一律に分譲地の開発が進む地方都市において、田園風景の魅力や地域コミュニティーの継承を意識した住宅の建ち方を考えた。
まだ長閑な景色が残る周辺環境にあって、所有する土地の中だけで完結する暮らしを設計することに窮屈さを感じた為、敷地境界、内外の境界、プライバシーの境界など、各領域を横断するデザインに注力した。自然を身近に引き寄せることで得られる快適で健康な住まいが外部と連続し、庭と建築が渾然一体となり、庭先の緑の恩恵を共有しながら向こう三軒両隣の風景を意識して家をつくる。
風土に根ざした雑木林の仕組みに建築も倣い、構造的にも環境的にも植生の成り立ちを踏襲する。構造は樹木を躱しながらも立体的に重なり合い、庭と建築の隙間に快適な生活環境を導く。
千鳥状に配置した庭の間を縫うように、壁や床をずらしながら構造ユニットを林立させる。階高は草木の背丈と連動し、移動に応じて様々な角度、高さから庭の緑を楽しむことができる。樹木と壁や床や屋根が、各々せめぎあいながら適性なバランスを確保した結果、年間を通した気候の変化を最大限にパッシブに利用する形となった。
8畳と6畳間を基本モジュールとして、庭と交互に水平展開できる本体フレームを強固な架構で支えつつ、個室は構造躯体と切り離して設置する。遮熱しつつ内部空間を繋げる置き屋根を介した拡張性と、パネル化して立て掛けられる個室インフィル壁の自由度が、規格住宅に汎用性を与え、世代を超えた家族構成や生活変化に長期的に対応できる仕組みとした。間取りについては固定しないが、仕上げやディテールを統一化する商品である。
本モデルハウスでは、水回りを上下に分離して寝室などプライバシー性が高い個室を上階にまとめ、地上階はある程度オープンに暮らせる設定とした。離れやガレージハウスは外部からも寄り付きやすく、ポップアップ空間としても利用可能で、地域と繋がるきっかけの場所となる。
家族の成長や建物の経年変化が、街での暮らしや植物の遷移と共に時間をかけて成熟し、極相の状態となった住まいは地域の風景に定着していく。
■建築概要
題名:un白木
所在地:岐阜県本巣郡北方町
主用途:規格住宅(モデルハウス)
企画・施工:株式会社チェックハウス 担当/草野謙輔、草野陽祐、山口智嗣
設計:アキチ アーキテクツ一級建築士事務所 担当/吉田州一郎、吉田あい
構造設計:株式会社エヌ・シー・エヌ 担当/清田耕平
階数:地上2階
構造:木造(SE構法)
敷地面積:190.40㎡
建築面積:84.02㎡
延床面積:148.72㎡
設計期間:2020年7月~2020年11月
工事期間:2020年12月~2022年4月
竣工:2022年4月
写真:大倉英揮