小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観 photo©太田拓実
小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える1階、エントランスからポーチを見る。 photo©太田拓実
小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える2階、ブリッジからリビングルームを見る。 photo©太田拓実
小川貴之建築デザインが設計した、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」です。
住宅地密集地に建つ設計者の自邸です。建築家は、外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案しました。また、“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝えます。
神奈川県川崎市の住宅街に位置する設計者自身のアトリエ兼住宅である。
中層住宅密集地で、日当り、風通し、視線の抜けなどが良好とは言えない立地のため、外部環境を活かす設計セオリーを持ち出すのは得策ではなかった。そこで発想を変え、外部に手がかりを求めるのではなく、住宅内部に外部のような空間をつくり、その環境を享受する術を模索することにした。
高度地区の影響で高さは8m程度に抑えられ、4m道路の影響で容積率も必要最小限という設計条件だった。
この敷地の可能性を最大限に引き出すために、最初に地下を含めた施工可能なコンクリートのボリュームを想定した。次に幅3.6m、長さ11.4mの東西に冗長な量塊を分かつように中央に深さ10mのボイドを穿った。そして、2つに分かれたボリュームをつなぐように水平に4つの小さな橋を架け、垂直には小さならせん階段を架けた。
堅いコンクリートで覆われた内部が一度都市から切り離されることでそこは谷間のように、10mの自然光のグラデーション、反響する声や音と深い静謐、対流する温かい空気と冷たい空気など、視線、動線、現象が自然と集まる場となった。
以下の写真はクリックで拡大します
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える1階、エントランス photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える1階、エントランスからポーチを見る。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える2階、階段からブリッジとヴォイドを見る。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える2階、ブリッジからリビングルームを見る。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える2階、階段 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える3階、ブリッジから寝室を見る。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える地下1階、階段 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える地下1階、パウダールームを見る。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える地下1階、壁面に落ちる光。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える地下1階、ヴォイドを見上げる。 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える地下1階、パウダールームとバスルーム photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える地下1階、バスルーム photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観、夜景 photo©太田拓実
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える平面図 image©小川貴之建築デザイン
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小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える断面図
以下、建築家によるテキストです。
神奈川県川崎市の住宅街に位置する設計者自身のアトリエ兼住宅である。
中層住宅密集地で、日当り、風通し、視線の抜けなどが良好とは言えない立地のため、外部環境を活かす設計セオリーを持ち出すのは得策ではなかった。そこで発想を変え、外部に手がかりを求めるのではなく、住宅内部に外部のような空間をつくり、その環境を享受する術を模索することにした。
高度地区の影響で高さは8m程度に抑えられ、4m道路の影響で容積率も必要最小限という設計条件だった。
この敷地の可能性を最大限に引き出すために、最初に地下を含めた施工可能なコンクリートのボリュームを想定した。次に幅3.6m、長さ11.4mの東西に冗長な量塊を分かつように中央に深さ10mのボイドを穿った。そして、2つに分かれたボリュームをつなぐように水平に4つの小さな橋を架け、垂直には小さならせん階段を架けた。
堅いコンクリートで覆われた内部が一度都市から切り離されることでそこは谷間のように、10mの自然光のグラデーション、反響する声や音と深い静謐、対流する温かい空気と冷たい空気など、視線、動線、現象が自然と集まる場となった。
道路から見ると東面と南面の傾斜した外壁が構えている。離れて見ると穏やかに、近づくと少し険しく表情を変える。その切り立つ様は渓谷の入り口のようにも見えるが、厳しい道路斜線を交わすために生まれた都市性を帯びたファサードである。
1階のエントランスを入ると右に住宅への玄関扉、正面にアトリエとつながるガラスで囲われた小さな橋がある。他の層のブリッジは居住域同士をつないでいるが、この橋からしか辿り着けない、居住域から分化したアトリエの存在はいい意味でこの住処に不均衡さを孕むピースと言えるだろう。
住宅街に並ぶ家々やマンション群も見方を変えれば、地面に立つというより屋根という都市の地形に沈んでいるようにも見える。実は良質な外部環境を取り込みづらい都市に住まうことは、「地」というものと向かい合うことなのかもしれない。そんなことを思いながら、この建物にベイル=小さな谷と名づけた。
■建築概要
所在地:神奈川県川崎市
主用途:事務所兼用住宅
設計監理:小川貴之建築デザイン
担当:小川貴之
構造設計:Kei設計
担当:黒木勇人
構造:鉄筋コンクリート造
階数:地下1階、地上3階
敷地面積:61.14㎡
延床面積:126.07㎡
竣工:2022年4月
写真:太田拓実