胡実建築設計事務所が設計した、岡山市の「サン・クリニック産後ケアセンター」です。
既存病棟を改修した育児の補助を行う施設です。建築家は、合理性が重視された建物を“命の喜びを分かち合う”場にする為、アーチと列柱を用いて“ヒューマンスケールな規律”を空間に付与しました。また、光を柔らかく拡散させ母子を包み込む事も意図されました。
産後ケアセンターは、母と生まれたばかりの子が、ゆっくり体を休め、育児に必要なサポートを受ける施設である。
子どもを生む環境づくりが重要視されるいま、着目されはじめている産後ケアセンターだが、事業主である岡山サン・クリニックは早くから産後ケアセンターの重要性に注目し、事業に着手してきた。
リノベーションの対象となる建物は、旧産婦人科病棟の建物である。
機能性重視の建物であり、窓の配置や各部屋のレイアウトは合理性によってなされていた。
対して、産後ケアセンターは、機能的である必要もあるのだが、命の喜びを分かち合い精神性を感じる空間を作り出す必要があると感じた。
機能性の空間を、精神性の空間に変えるために、規律を与える試みをした。
元々の産婦人科病棟の建物のガラス窓の大開口に、リピートするアーチと列柱を加えた。機能的で無機質さを感じさせる既存病棟に、ヒューマンスケールな規律を加えることで、重厚で静溢な空間へと生まれ変わった。アーチ状のポツ窓から差し込む光がすりガラスによって分散し、さらにヴォールト状の天蓋によって光が拡散され、スペースを柔らかく包む。ソフトな光と空気が、母と子を包み込み、ゆったりとした時間が流れる。
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以下、建築家によるテキストです。
産後ケアセンターは、母と生まれたばかりの子が、ゆっくり体を休め、育児に必要なサポートを受ける施設である。
子どもを生む環境づくりが重要視されるいま、着目されはじめている産後ケアセンターだが、事業主である岡山サン・クリニックは早くから産後ケアセンターの重要性に注目し、事業に着手してきた。
リノベーションの対象となる建物は、旧産婦人科病棟の建物である。
機能性重視の建物であり、窓の配置や各部屋のレイアウトは合理性によってなされていた。
対して、産後ケアセンターは、機能的である必要もあるのだが、命の喜びを分かち合い精神性を感じる空間を作り出す必要があると感じた。
機能性の空間を、精神性の空間に変えるために、規律を与える試みをした。
元々の産婦人科病棟の建物のガラス窓の大開口に、リピートするアーチと列柱を加えた。機能的で無機質さを感じさせる既存病棟に、ヒューマンスケールな規律を加えることで、重厚で静溢な空間へと生まれ変わった。アーチ状のポツ窓から差し込む光がすりガラスによって分散し、さらにヴォールト状の天蓋によって光が拡散され、スペースを柔らかく包む。ソフトな光と空気が、母と子を包み込み、ゆったりとした時間が流れる。
宿泊室は、宿泊のニーズに合わせ、洋室、和室の二種類を設けている。
宿泊室にも同じく天蓋を設えた。ベッドボードのニッチから天井へとつながる一枚のファブリック。漂う軽やかでミニマムな天蓋を作り、母と子をやさしく包む。
■建築概要
題名:サン・クリニック産後ケアセンター
所在地:岡山県岡山市中区
主用途:産後ケアセンター
施主:サン・クリニック
設計:胡実建築設計事務所
担当:胡実
施工:ハウジング山忠
構造:鉄骨造
階数:地上2階
敷地面積:633㎡
建築面積:450㎡
延床面積:670㎡
設計:2021年09月~2022年08月
工事:2022年06月~2023年03月
竣工:2023年04月
写真:田中克昌、白井洋平