SHARE sinatoによる”YURAS”
[少し閉じた空気の塊]
ASP・ホスティング事業等を行うIT企業のオフィスインテリア。
既存の床・壁・天井には一切手を加えず、いくつかの新たな部屋を区画の中央に配置するだけの計画とした。
それらの部屋は、その用途から、閉じた空間が求められる。
そこで、部屋を仕切る壁の上部を内側に折り曲げることで、上に行くほど部屋がすぼまるような断面形状とし、既存の照明や空調を利用しながらも、通常の垂直壁で仕切られた空間にはない「少し閉じた空気の塊」を感じられるようなつくりとした。
またこの部屋内部の為の操作は、そのまま外部を決定づけることとなる。
前述の断面形状をもつ部屋を並べることで、切妻屋根の小屋が連結したような、あるいは全体として山脈のようなフォルムが立ち現れるのだ。
このシンボリックな山脈ボリュームは、区画に対して角度を振って置かれることで、ワークスペースとコモンスペースを二分する分厚い間仕切りにもなっている。
部屋、シンボル、間仕切り。
その主たる目的が何であれ、この場の質は、中央に構える山脈ボリュームの存在によってのみ確保されている。
□建物概要
名称:YURAS
所在地:東京都渋谷区
用途:事務所
面積:160.92m2
設計期間:2007.5〜2007.7
施工期間:2007.7〜2007.8
写真:上田宏