桶川容子 / marutau arquiが設計した、愛媛・松山市の「OCTA HOUSE」です。
高い建物に挟まれた商業地域の敷地での計画です。建築家は、要望に応えつつも“余白”のある住宅を目指し、最大限の量塊を確保した上で各角をカットして“隅切り”を作る構成を考案しました。そして、内部空間は“求心性”と“安心感”を備えた空間となっています。
敷地は地方都市の中心部の商業地域に位置しており、両脇の高層建物は敷地境界線ギリギリまで迫っている。
屋根付きガレージや子供たちの個室を設けたいという施主の要望を叶えると、建物のボリュームが敷地いっぱいになることは避けられなかった。そこで最大限の長方形をプランの基本とし、そこから必要に応じて四隅を斜めにカットして敷地に余白を作る隅切りを採用した
一般的に隅切りは角地の敷地形状によって導き出されたある種オートマチックな形状であることも多いが、ここでは必要な全体のアウトライン=建築面積を保ちつつ、場所場所に応じて外部余白を生み出す積極的な手法として用いている。
これにより1階では敷地の奥側に設備や植栽のためのスペースを確保できた。
また、2階の主要な開口部は四隅をカットした壁面に配置することで、隣家の窓との距離をできるだけ確保しつつ小さな三角形の植栽テラスが生まれ、窓先空間が十分な広がりを持った快適なものとなった。
3階もアウトラインを保ちつつ広めのデッキテラスを抱き込むことで、建物全体として多様な外部空間を内包した住まいとなっている。
内部空間は角を手放すことで求心性が高まり、壁にすっぽりと包まれたような安心感も得られる一方、連続する開口部からの広角的な視界によって開放感も獲得している。
周囲の街並みへの配慮として、1階を基壇部のように別のボリュームとして見せ、2, 3階は斜めの壁面を連続させた凹凸のある外壁であることによって、ひとつの大きな塊ではなく、複数の小さな建物で構成されているかのような印象となり、向かいの民家や歩行者への圧迫感を軽減している。
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以下、建築家によるテキストです。
敷地は地方都市の中心部の商業地域に位置しており、両脇の高層建物は敷地境界線ギリギリまで迫っている。
屋根付きガレージや子供たちの個室を設けたいという施主の要望を叶えると、建物のボリュームが敷地いっぱいになることは避けられなかった。そこで最大限の長方形をプランの基本とし、そこから必要に応じて四隅を斜めにカットして敷地に余白を作る隅切りを採用した。
一般的に隅切りは角地の敷地形状によって導き出されたある種オートマチックな形状であることも多いが、ここでは必要な全体のアウトライン=建築面積を保ちつつ、場所場所に応じて外部余白を生み出す積極的な手法として用いている。
これにより1階では敷地の奥側に設備や植栽のためのスペースを確保できた。
また、2階の主要な開口部は四隅をカットした壁面に配置することで、隣家の窓との距離をできるだけ確保しつつ小さな三角形の植栽テラスが生まれ、窓先空間が十分な広がりを持った快適なものとなった。
3階もアウトラインを保ちつつ広めのデッキテラスを抱き込むことで、建物全体として多様な外部空間を内包した住まいとなっている。
内部空間は角を手放すことで求心性が高まり、壁にすっぽりと包まれたような安心感も得られる一方、連続する開口部からの広角的な視界によって開放感も獲得している。
周囲の街並みへの配慮として、1階を基壇部のように別のボリュームとして見せ、2, 3階は斜めの壁面を連続させた凹凸のある外壁であることによって、ひとつの大きな塊ではなく、複数の小さな建物で構成されているかのような印象となり、向かいの民家や歩行者への圧迫感を軽減している。
平面構成は、2つの変形八角形がわずかに重なり合って出来ており、重なり部分である家の中心に階段を配置しオープンな仕掛けで周りの空間と繋げることで、階段がアクティブな居場所となり、コミュニケーションの交差点となるようにした。
また、床や壁の仕上げを様々に変え、複雑な平面形状にあえて急勾配の屋根を架けることで、空間の形態や表情が子どもたちの好奇心や五感を刺激することを意図している。
■建築概要
題名:OCTA HOUSE
所在地:愛媛県松山市
主用途:住宅
設計:marutau arqui 一級建築士事務所 担当/桶川容子
施工:もみじ建築
協力:増田圭吾 / RAKENNE(構造設計)
構造:木造在来工法
階数:地上3階
敷地面積:167.28㎡
建築面積:62.13㎡
延床面積:167.28㎡
設計:2020年8月~2021年3月
工事:2021年5月~2021年10月
竣工:2021年11月
写真:矢野紀行(Yano Toshiyuki)