九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践エントランス側からラウンジを見る。 photo©八代写真事務所
九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジ、家具の詳細 photo©八代写真事務所
九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間1から執務空間2と小会議室を見る。 photo©八代写真事務所
九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践中会議室 photo©八代写真事務所
岩元真明+小嶋雪乃+屋宜祐李佳+渡邉雪乃 / 九州大学岩元真明研究室が設計した、福岡市の「九州大学オープンイノベーションプラットフォーム(OIP)」です。
産学官連携を先導する組織の新拠点です。建築家は、大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案しました。また、学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践されました。組織の公式サイトはこちら。
九州大学の産学連携を司る九大OIP株式会社の新拠点「九州大学オープンイノベーションプラットフォーム(OIP)」の内装計画。研究の事業化支援や産官学連携の仲介などを行うオフィスであり、学外者の来訪も多い。
そこで、大学の多様な活動を垣間見せることをコンセプトとして設計を行った。
全体は約21x22mのワンルーム空間であり、大中小3つの会議室を島状に配置し、3つの部署とエントランスラウンジをゆるやかに分節した。各々の会議室とオフィスの各所では、大学演習林で育った木材や、戦前から使われてきた歴史的什器、学内研究者が開発した新建材など、学内の教育研究資産が積極的に活用している。
大学全体をいわば鉱山と捉えて材料をかき集め、教育研究活動の魅力を空間として表現する、大学ならではのサーキュラーデザインの実践である。
九大福岡演習林から樹齢約60年の杉を1本選び、内装材および家具材として使用した。
コンセプトは大径木の魅力を活かしつつ、無駄なく使い切ること。そのために材料調達プロセスを精緻にデザインし、伐採・製材・乾燥・加工の各段階において関連業者と緊密な連携を行った。
具体的には、まず樹高約30mの立ち木を選び、そこから長さ2.8mの丸太10本を取る。次に、これらの丸太を短冊状に製材し、45mm厚の板材61枚と年輪材1枚を得る。このうち41枚の板材は小会議室の自立壁に使用。室内外に木の自然な曲線が表れる「杉板挽き放し」の壁である。
続いて、残った板材からオフィス各所のテーブルやスツール、デスク脚を制作。最後に、それでも余った端材をかき集めてエントランスのカウンターを造作した。これは将来のための木材ストックを兼ねた家具である。
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践エントランスホールからエントランスを見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践エントランス、什器の詳細 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践エントランス側からラウンジを見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジ、家具の詳細 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践テーブル photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジから小会議室側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間2から小会議室側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間2から執務空間1側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間1から執務空間2と小会議室を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間2から小会議室側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間3 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践執務空間3側から小会議室側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践小会議室、建具の詳細 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践小会議室、建具の詳細 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践小会議室 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジから大会議室側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践大会議室 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践大会議室から建具越しにラウンジ側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジから中会議室側を見る。 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジから什器の壁越しに中会議室を見る photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践中会議室 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践中会議室、什器の壁の詳細 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践ラウンジから中会議室を見る、夜景 photo©八代写真事務所
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践平面図 image©九州大学岩元真明研究室
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践断面図 image©九州大学岩元真明研究室
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践アクソメ図 image©九州大学岩元真明研究室
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践杉ダイアグラム image©九州大学岩元真明研究室
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九州大学岩元真明研究室による、福岡市の「九州大学OIP」。産学官連携を先導する組織の新拠点。大学の活動の伝達も意図し、演習林の1本の杉を素材に選んで内装から家具にまで“無駄なく使い切る”計画を考案。学内の什器類の再利用も積み重ねてサーキュラーデザインも実践棚ダイアグラム image©九州大学岩元真明研究室
以下、建築家によるテキストです。
大学の魅力発信とサーキュラーデザイン
九州大学の産学連携を司る九大OIP株式会社の新拠点「九州大学オープンイノベーションプラットフォーム(OIP)」の内装計画。研究の事業化支援や産官学連携の仲介などを行うオフィスであり、学外者の来訪も多い。
そこで、大学の多様な活動を垣間見せることをコンセプトとして設計を行った。
全体は約21x22mのワンルーム空間であり、大中小3つの会議室を島状に配置し、3つの部署とエントランスラウンジをゆるやかに分節した。各々の会議室とオフィスの各所では、大学演習林で育った木材や、戦前から使われてきた歴史的什器、学内研究者が開発した新建材など、学内の教育研究資産が積極的に活用している。
大学全体をいわば鉱山と捉えて材料をかき集め、教育研究活動の魅力を空間として表現する、大学ならではのサーキュラーデザインの実践である。
杉の会議室
九大福岡演習林から樹齢約60年の杉を1本選び、内装材および家具材として使用した。
コンセプトは大径木の魅力を活かしつつ、無駄なく使い切ること。そのために材料調達プロセスを精緻にデザインし、伐採・製材・乾燥・加工の各段階において関連業者と緊密な連携を行った。
具体的には、まず樹高約30mの立ち木を選び、そこから長さ2.8mの丸太10本を取る。次に、これらの丸太を短冊状に製材し、45mm厚の板材61枚と年輪材1枚を得る。このうち41枚の板材は小会議室の自立壁に使用。室内外に木の自然な曲線が表れる「杉板挽き放し」の壁である。
続いて、残った板材からオフィス各所のテーブルやスツール、デスク脚を制作。最後に、それでも余った端材をかき集めてエントランスのカウンターを造作した。これは将来のための木材ストックを兼ねた家具である。
本棚の会議室
2015年のキャンパス移転で行き場を失った歴史的什器を積極的に活用した。中会議室のガラスパーティション内外にパズルのように積み上げた木製書棚42台は、視線をやわらげるパーティションとしても機能する。他にも、天板を失ったテーブル脚や、図書目録箱などを再利用し、オフィス各所の家具を造作した。
ハニカムの会議室
学内研究者が開発した折紙式ハニカムパネルを大会議室のパーティションとして使用した。折紙式ハニカムパネルはアルミシートに周期的なスリットと折線を入れ、折り曲げ加工して作られる新建材である。
ここでは、ハニカム断面が45度傾斜した斜角形ハニカムコアを使用し、室内外の視線のコントロールを試みた。施工に際して接着剤は一切使用せず、解体時にアルミもガラスも100%再利用できるリバーシブルデザインを心がけた。
既存のオフィス家具も最大限活用する
戦前の家具は再利用するのに、最近まで使用していた家具を捨ててしまうのでは筋が通らない。そこで、既存のオフィスで使用されていたデスクやチェア、棚などのオフィス家具を積極的に新オフィスに組み込んだ。結果的には、既存オフィス家具の活用が功を奏して、坪単価30万円という厳しい予算を守ることができた。
サーキュラーデザインの文脈では表現力の高い自然素材やリサイクル素材に注目が集まりがちだが、循環型社会の実現という大きな目標に近づくためには、既にあるものを好き嫌いせずに受け入れる、地味なリユースの積み重ねも重要だと考えている。
■建築概要
名称:九州大学オープンイノベーションプラットフォーム(OIP)
所在地:福岡県福岡市
用途:オフィス
建主:九大OIP株式会社
設計:九州大学岩元真明研究室 担当/岩元真明、小嶋雪乃、屋宜祐李佳、渡邉雪乃
照明設計:B&Lighting 担当/佐藤政章
設備計画:梓設計 担当/松本純一、佐川真美、堀添克文
木質構造:XYZ structure 担当/荒木康佑
サイン計画:九州大学工藤真生研究室 担当/工藤真生、金子千聖、星野純平、山田杏奈、松原芽生
協力:九州大学演習林、九州大学歴史的什器保全再生プロジェクト、九州大学斉藤一哉研究室
施工:南里住建
延床面積:562.8㎡
竣工:2023年7月
写真:八代写真事務所