SHARE 菅原大輔/SUGAWARADAISUKEによる”地形空間「FLOW」 金森製袋紙工本社事務所”
photo©鳥村鋼一
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photo©菅原大輔
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以下、建築家によるテキストです。
下請けからの脱却を目指す町工場の本社屋に、ブランディングに対応した事務所空間の内装設計を行った。
計画対象は、50年間続く下町の紙加工工場で、二階に事務室と倉庫の設計を依頼された。 建築的には、執務/打合せ/接客/待合いの4つのスペースが要求された。ブランド調査では、施主が持つ高い紙加工力を顧客に十分に伝えていないというコミュニケーション不足がわかった。 コミュニケーションを積極的に行うために展示スペースの新設も要求された。限られた面積の中で、これら5つのスペースを個別に配置することは困難であった。そこで、必要に応じて空間や機能を結合・分割しながら共有する事務室空間のあり方を目指した。
人と物の導線から必要とされる5つのスペースを大まかに配置し、その境界線上を流れるように物体を配置した。展示棚/間仕切り/書類棚/カウンター/ベンチ/目隠し・・・・木製グリットによる物体は、高さや幅、縦板の方向を変化させる。執務/打合せ/接客/待合いスペース、展示スペース・・・・・・その物体は各空間を分節/結合しながら新しい事務室機能を成立させている。
物体は歪められたジオメトリー上に形成されているので、その見え方や印象は室内での視点の移動によって刻々と変化していく。それは散策の時に変化していく平原や山々のようであり、内部空間を地形化したといえるかもしれない。
新しい事務室では、展示スペースと打合せスペースが連動し、社外との効率的なコミュニケーションを可能にした。また、広々しながらも細かい機能が埋め込まれた空間は、社内の作業効率と社員モチベーションの向上を実現した。 現在はこの会社の本格的なブランディングも継続して担当させていただいている。 本空間はアートディレクションの一要素あり、今後「ブランディング」が中小企業に開かれていくための大きな道標になればと考えている。
■建築概要
物件名:地形空間「FLOW」 金森製袋紙工本社事務所
所在地:東京都台東区
主要用途:事務所、倉庫
工事面積:52.78㎡
内装設計:菅原大輔/SUGAWARADAISUKE
構造協力:櫻井優貴(什器)
内装施工:宗建築株式会社
写真:鳥村鋼一、菅原大輔/SUGAWARADAISUKE(展示品入※写真2,5,7)