SHARE 伊東豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久、畠山直哉によるヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示「ここに、建築は、可能か」の概要と画像
伊東豊雄、乾久美子、藤本壮介、平田晃久、畠山直哉によるヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示「ここに、建築は、可能か」の概要と画像が公開されています(PDF)
伊東豊雄がコミッショナーを務め、出展作家として、乾久美子、藤本壮介、平田晃久、写真家の畠山直哉が選ばれている、今年のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示「ここに、建築は、可能か」の概要と画像が公開されています。リンク先はPDFです。
東日本大震災から1年が過ぎ、被災地は春の陽ざしと穏やかな海、新緑に包まれています。何事もなかったかのように桜が咲き、小鳥達のさえずりも聞こえます。しかし山積みになっていた瓦礫は除去されたものの、大地には失われた家々の基礎だけが、かつてここに存在していたまちの記憶を鮮明に止めています。一瞬にしてすべてを過去にしたこの風景を前にすると、はかり知れない自然の脅威に人は立ちすくむばかりです。しかし残された基礎の間から雑草が芽生えるように、この土地に戻って、再び何かを始めようとする強い人々がいます。動物のような帰巣本能からでしょうか。彼らは、抗し難い自然の力によって自分達のまちを破壊されても、決して屈服することなく、生きていることの証しを示そうと試みる人達です。このような土地の記憶に根ざした人々の行動は、政府や地方自治体の推し進める復興計画とは違います。上からの復興計画は「安心安全」のみをスローガンに掲げ、土地の記憶などを無視して近代主義的方法に頼るのです。歴史を経て継承されてきた、人と自然の関係、人と人との心の関係を解体して、土木技術に依存した計画を推進しようとするのです。しかし元の土地に戻って歴史を継承したいと望む強い意志を持った人々は、残された基礎を手がかりに過去と連続した未来を希求する人達です。この人達のために、建築家は果たして力になることが可能でしょうか。