SHARE 隈研吾によるフランスの「ブサンソン芸術文化センター」の写真
隈研吾のウェブサイトにフランスの「ブサンソン芸術文化センター」の写真が掲載されています
隈研吾のウェブサイトにフランスの「ブサンソン芸術文化センター」の写真が16枚掲載されています。
ブザンソンはフランス東部の都市で、かつて小澤征爾が国際指揮者コンクールでグランプリを受賞 (1959年) したことでも知られている。市の中心部を流れるドゥ川の河岸の敷地に、音楽ホール、現代美術館、コンセルバトワール (音楽学校) からなる複合的文化施設を作るという課題であった。
敷地内にある1930年代の煉瓦張り倉庫と、要塞として用いられていた17世紀の五角形の建築物を、大らかな「ゆるい」屋根でつなぐという提案をした。日本にも「箱物」という言葉があるが、そこに新たな箱を提案するよりは、美しい河岸に、大らかな屋根をひとつかけ、ばらばらに存在するかに感じられる既存の建築物を、その屋根がひとつに統合し、その屋根の下に、川風の吹きぬける「木陰」のような空間を作りたいと考えたのである。
「木陰」を作るために、屋根は様々な自然素材のモザイク状の集合体とした。スレンダーな鉄骨の柱の上に、ジョイスト状の木の構造体をのせ、そこに植栽、地元の木、石、ガラスをモザイク状に配置するのである。光がそのモザイクを通過して美しい陰を作り、川辺の人々を包み込むであろう。街は立体的であり、丘のからもこの屋根はよく見下ろせる。第五のファサードとしてのモザイク状の屋根は、人工と自然とがモザイク状に織りあげる川辺の景観に溶け込み、環境と響きあっていくだろう。