菊地宏や安東陽子などが出演するイベント「十人素色」が代官山ヒルサイドウエストで開催されます。
色は難しい、苦手だ、と多くの設計者が嘆いています。本来、素材と一体であるはずの色彩はいつのまにか”センスが無いと選べないもの”として、特 に建築・土木の分野では積極的に使いこなしたり好んで用いたりする例が減りつつあるように感じています。
また素材については、その特性を充分に熟知していないと思うように扱うことが難しく、ケミカルな材料の普及により本物に触れる機会が減少、リアル なマテリアルの特性に触れないまま社会に出て行く学生が増えつつあるという現状があります。
MATECOはそのような危機感から発足した自主研究・勉強会です。昨年の十人素色Vol.1では『素材と色彩-決定の論理』と題し、様々な分野 のスペシャリストに素材と色彩における決定の論理を語って頂きました。
その後約一年、タイル工場の見学会や勉強会を続け素材・色彩についての思考を深めて行く中、どの分野にも共通するある疑問が浮かび上がって来まし た。それは『新しいものや技術の価値』と『古いものや技術の生かし方』についてです。近年よく耳にする『イノベーション』はどの分野にも求められ る重要な視点だと感じますが、旧来の技術や身近にある素材や色彩を『見落としているのではないか』と思うこともしばしばあります。
そうした疑問を感じる中で、イノベーションの対語がリノベーションであるということを知りました。既存のものに新しい用途や機能を与えるリノベー ションは、まさしく新しい活用法を想像する行為です。両者は対峙しているのではなく一直線上にあり、立ち位置やバランスを意識しながら創造に当た るべき、と考えることも出来るでしょう。
そのようなテーマに基づき、以下の10組のプロフェッショナルをお招きすることとなりました。それぞれの専門分野における『リノベとイノベ』を 語って頂きたいと思います。