SHARE スタジオ・ムンバイによる「夏の家」についての書籍『「夏の家」についての覚書』のプレビュー
東京国立近代美術館に期間限定で作られた、スタジオ・ムンバイによる「夏の家」についての書籍『「夏の家」についての覚書』のプレビューです。
東京国立近代美術館は、2012年、開館60周年記念事業の一環として、美術館前庭の芝生にあずまやを設置し、憩いの場として約8カ月間開放する建築プロジェクト「夏の家」を企画・実施しました。設計・施工を依頼したのは、世界の注目を集めるインドの建築集団スタジオ・ムンバイ。本書は、2012年8月26日-2013年5月26日まで9カ月間公開された「夏の家」が生まれた背景から、つくられる過程、そして、どのように使われたのかを記録・報告するものです。(番外編として2013年7月に石巻へ移設された様子も収録。)
スタジオ・ムンバイはものづくりのプロセスを大変重んじています。いわゆる図面を引かず、スタジオが抱える大工が施工を行なうことで、「考えること」と「つくること」が同時に進められていきます。また、そのデザインの背景には、彼らが日ごろから行っている、使用者が自分の手でつくった無名の建物や生活空間の観察があります。本書は、「夏の家」という建物単体の制作プロセスを記録することに留まらず、この「観察」と「つくること」の関係に注目し、この視点が現代の建築にどのような意味を持つのかについても考えています。この問いは、本書に収録される「夏の家」関連イベントとして、活躍する建築家/建築史家を招いて行った連続レクチャー「青空教室」においても、共有されています。
東京国立近代美術館の前庭にて、2012年8月26日-2013年5月26日まで9カ月間公開されたスタジオ・ムンバイ「夏の家」。本書はこのパビリオンが生まれた背景から、つくられる過程、そして、どのように使われたのかを記録したメモの集大成です。企画者によるエッセイ、第一線で活躍する建築家/建築史家を招いて行った連続レクチャー「青空教室」の約6万字におよぶ書き起こしに加え、膨大な写真と手書きのメモで綴る、インドで見つけた「夏の家」のインスピレーション・ソースから、設計過程、真夏の日本での施工日記、イベントや日々の使われ方の様子までを、カラー64ページに渡り掲載。スタジオ・ムンバイがつくった「夏の家」という建築を徹底的に観察することで、その特異なものづくりの秘密に迫ります。
●ページ数:128ページ(カラー64ページ、モノクロ64ページ)
●版型:210mm*210mm
●価格:1500円(税込)
●レクチャーの書き起こし部分をのぞき、全て日英バイリンガル
●編集:東京国立近代美術館 デザイン:佐々木暁 写真:川村麻純
●発行:東京国立近代美術館
目次 Contents
はじめにForeword
Essay
「そこにあるものから何を学ぶのか―観察とつくること」 柴原聡子
What Can We Learn from the Things around Us? : Observation and Creation Shibahara Satoko「夏の家」によせて ビジョイ・ジェイン
Homage to MOMAT Pavilion Bijoy Jainスタジオ・ムンバイ略歴 Profile of Studio Mumbai
Notes
「夏の家」観察ノート Notes on MOMAT PavilionPhotos
A:「 夏の家」を考え始めた時、Inspirationとなったもの The source of inspiration for MOMAT Pavilion
B: Inspiration と「夏の家」 The sources of inspiration and MOMAT Pavilion
C: インドでつくる Making in India
D:日本でつくる Making in Japan
E:「 夏の家」を使ったイベントの数々 Events at MOMAT Pavilion
F:「 夏の家」の使い方 Using MOMAT Pavilion
G: 移設 Relocation
Lectures
連続レクチャーシリーズ「青空教室」―考える、つくる、動く、またつくる
Open-Air Lecture: Thinking, Making, Moving, and Making Again連続レクチャーシリーズ「青空教室」について 柴原聡子
第1回 動く「動く家、仮の家」坂口恭平+中谷礼仁+牧紀男
Vol. 1 “Mobile Houses, Temporary Houses” Sakaguchi Kyohei, Nakatani Norihito, Maki Norio第2回 考える「家の条件、人間の生きる場所の条件」塚本由晴+藤森照信+後藤治
Vol. 2 “Conditions for Houses, Conditions for Places where People Live”Tsukamoto Yoshiharu, Fujimori Terunobu, Goto Osamu第3回 つくる「建築の造り方」内田祥哉+高橋てい一+戸田穣
Vol. 3 “How to Make Buildings” Utida Yositika, Takahashi Teiichi, Toda Jo作品データ Data
*Lectures以外は、すべて日英バイリンガル
*All the texts are written in Japanese and English except the chapter “Lectures”