来年のヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館の展示は、塩田千春による「掌の鍵」になったそうです
来年のヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2015)の日本館の展示は、アーティストの塩田千春による「掌の鍵」になったそうです。
この展示は、コンペ形式で選ばれたもので、5組の提案はこちらで見る事ができます。また、インスタレーション「掌の鍵」は5万本の鍵を使用したインスタレーションとのことで、作家が、不要になった鍵の無償提供を募集しています。
2015年5月9日から11月22日にかけて開催される「第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」の日本館では、日本代表作家に塩田千春氏が決定し、中野仁詞氏(神奈川芸術文化財団学芸員)のキュレーションのもとで、「《掌の鍵》 – The Key in the Hand – 」展を開催します。
今回日本館に展示する《掌の鍵》は、建物2階にあたる展示室と1階の野外ピロティを使用し、2つの空間を統合したインスタレーションである。展示室に入ると、われわれは空間を埋め尽くす赤い糸を目にすることになる。天井から垂れる赤い糸の先には鍵が結ばれている。その総数は、約5万個に及ぶ。鍵は、日常生活のなかで家屋、財産、家庭内の秘密など大切なものを守り、人間の手の温もりに包まれて使用される。そして、その鍵を使用する人々の掌の温もりに日々触れることで、鍵にはわれわれのなかにある幾多の記憶が幾重にも積み重なってゆく。そしてある時、記憶を蓄えた鍵は、大切なものを託せる信頼のおける人へと托されていく。塩田は鍵を、まさに真心を伝達する媒介と捉えてこの作品に取り入れる。さらに、天井から床にかけて吊り下げられた夥しい糸と鍵のただなかに、2艘の舟が置かれる。舟は、天から注ぐ数多の鍵=記憶の雨を受け止める両手を象徴する。2艘の舟は、手を取り合い助け合いながら、記憶の大海のなかを、記憶を拾い上げながら進んで行く。そして、ピロティには、大型のボックスが設置され、その壁面には、鍵を乗せた子どもの掌の写真3点を展示するとともに、生まれる前と生まれた直後の記憶を語る幼児の映像を4つモニターで上映する。子どもが語る、誕生時の記憶。積み重なった記憶を内在する鍵。展示室とピロティで、われわれは2つの位相の記憶を体感し、展示に呼びかけられ、自らに内在する記憶を拾い上げ、記憶を紡ぎ、記憶を自分のなかにとどめ、そしてそれを他者へと繋いで行くことになるだろう。(via jpf.go.jp)