SHARE 建築設計事務所 可児公一植美雪による、岡山の築約120年の古民家を、その面影を継承しつつ大胆に減築することで現代性を取り戻した住宅「YUKISHIMO-K」の写真
建築設計事務所 可児公一植美雪のウェブサイトに、岡山の築約120年の古民家を、その面影を継承しつつ大胆に減築することで現代性を取り戻した住宅「YUKISHIMO-K」の写真が18枚掲載されています。
敷地は岡山県の山間部。築120年を超える古民家の改修計画。施主は60代の夫婦、大きくて古いこの家を持て余していた。計画建物はこの地域には多く残る茅葺き屋根にトタンを被せて生き永らえてきた建物である。敷地内にはこの母屋の他に約30年前に建てられた住宅、土蔵、木小屋と呼ばれる倉庫が建っており、広い敷地にもかかわらずとても窮屈な状態だった。改修するにあたり、まずこの窮屈な敷地に余白を取り戻す事が必要だと考えた。また、同時に今の時代に先人の遺したこの家を改修する意味というものについて強く考えた。現状、この家は時代や家族の変化に伴い増改築が繰り返され、新築当時の潔さは無く、ぶよぶよと余計なものがまとわりついているように思えた。過去の新築当時の姿に似せて綺麗に取り繕っていくのではまた同じく余計なものがつき、根本的な解決にはならない。そこで私達は、長い年月をかけてまとわりついたものを取払い、新築当時の軸組まで戻す事とした。120年前からそこにあったこの家はもはや敷地の環境そのものであり、その環境の中に、今必要とされているボリュームを置いていく。また、古民家らしさとか木造らしさにとらわれ、細かく全体を統合していくのではなく、この強大なコンテクストの中においては、天井、壁、床が、それぞれの正しさを自分勝手に主張したとしても、ひとつの統一性が生まれるのではないかと考えている。古民家の廉価版ではなく、この場所そのものが今にふさわしい姿になる事を目指している。