鈴木知悠 / 地域価値共創センターが設計した「SHOPKIT」です。
街の様々な場の活性化を意図した装置です。建築家は、ビル建替時の遊休地の活用方法への疑問を出発点とし、明るく親しみ易い空間が“即席で立ち上がる”仕組みを考案しました。また、都市の中の自然空間の肯定と個人の振舞の促進も意図されました。
組み立て解体が可能な移動店舗「SHOPKIT」を制作した。
この建築は誰もが店舗を持つことを可能にし、まちのあらゆる場を活性化する装置である。
このプロジェクトは、広島市街地のビル建て替え時の遊休地を、広場として活用する計画から始まった。当初この広場の計画は暫定利用が目的であり、建て替えと同時になくなる想定であった。しかし、多くの資源が火起こし的に用いられることに違和感を覚え、一過的な公共空間から、継続的な仮設空間へと設計方針をシフトし、この移動店舗が設計された。
広島市街地には複数の河川が都心部へ流れ、平和記念公園周辺をはじめ、その沿岸には多くの公園が群集している。人口密集地に豊かな自然空間が存在することは、この都市の大きな魅力である。私たちは、そういった周囲に存在する空間を肯定的に捉え、個人の振る舞いを促進するための装置を設計した。今後は都市空間やまちの営みへと展開し、連鎖的にまちの風景へ参入することを目指している。
直方体の側面部を扉のように開くことで即席で空間が立ち上がる。底面部にキャスターが備えられ、まちのあらゆるシーンで舞台装置のように振る舞いの場を組み上げることができる。木、スチール、ポリカーボネートによるミニマルな素材と寸法は、明るく親しみやすく、まちの風景を阻害することなく溶け込めるよう意図した。
両開き式
以下の写真はクリックで拡大します
片開き式
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
まちで振る舞う小さな建築
組み立て解体が可能な移動店舗「SHOPKIT」を制作した。
この建築は誰もが店舗を持つことを可能にし、まちのあらゆる場を活性化する装置である。
このプロジェクトは、広島市街地のビル建て替え時の遊休地を、広場として活用する計画から始まった。当初この広場の計画は暫定利用が目的であり、建て替えと同時になくなる想定であった。しかし、多くの資源が火起こし的に用いられることに違和感を覚え、一過的な公共空間から、継続的な仮設空間へと設計方針をシフトし、この移動店舗が設計された。
広島市街地には複数の河川が都心部へ流れ、平和記念公園周辺をはじめ、その沿岸には多くの公園が群集している。人口密集地に豊かな自然空間が存在することは、この都市の大きな魅力である。私たちは、そういった周囲に存在する空間を肯定的に捉え、個人の振る舞いを促進するための装置を設計した。今後は都市空間やまちの営みへと展開し、連鎖的にまちの風景へ参入することを目指している。
設計について
直方体の側面部を扉のように開くことで即席で空間が立ち上がる。底面部にキャスターが備えられ、まちのあらゆるシーンで舞台装置のように振る舞いの場を組み上げることができる。木、スチール、ポリカーボネートによるミニマルな素材と寸法は、明るく親しみやすく、まちの風景を阻害することなく溶け込めるよう意図した。
店舗は片開きと両開きの2つの形式がある。片開き式は、ハコにあたる部分にシンク、器具庫、カウンター等がコンパクトに格納され、展開された壁に備えられた支持材に、天井と側壁を兼ねたテント幕が軽やかに掛けられる。
両開き式は、2つのボックスを短辺同士で連結し、4枚の壁を展開する。広々とした内部には、四方に作業カウンターが設置され、より本格的な調理が可能な設えである。正面部には、壁の支持材を兼ねた暖簾がかかり、懐かしさと新しさが共存するファサードとしている。
■建築概要
題名:SHOPKIT
所在地:広島県
主用途:仮設店舗
企画:株式会社荒谷建設コンサルタント
設計:地域価値共創センター 担当/鈴木知悠
施工:大昌工芸株式会社
協力:株式会社アスナカノ
開扉寸法(両開き式):W:2,465mm D2,860mm H:2,000mm
閉扉寸法(両開き式):W:520mm D:1,200mm H:2,000mm
開扉寸法(片開き式):W:1,655mm D:1,235mm H:2,000mm
閉扉寸法(片開き式):W:485mm D:1,200mm H:2,000mm
設計:2022年5月~2022年7月
施工:2022年8月~2022年9月
竣工:2022年9月
写真:足袋井竜也