久米設計が設計した、熊本の「八代市新庁舎」です。
震災復興の一環として計画されました。建築家は、“災害への強さ”と“文脈と呼応”する建築を目指し、床と天井を地域産木材の“CLTトラスユニット”工法で造る建築を考案しました。また、城の石垣の再利用なども行い“土地の記憶を継承”も意図しました。
熊本地震による震災復興プロジェクトである。
あらゆる災害を想定した災害に強い庁舎としての性能と共に、八代城跡という立地に着目し、その歴史的な文脈や景観に呼応した「まちに映える庁舎」の実現が望まれた。
庁舎は地上7階、地下1階、地下柱頭免震構造で、地上部は鉄骨造とし、執務室の床及び天井は、すべて八代市産木材を使用した「CLTトラスユニット」による木造とした。
この日本初の工法である「CLTトラスユニット」により、天井落下の危険性がなく、八代市らしい木の温もりを感じる執務空間を実現し、同時に約1,430m3(原木で約5,300m3程度)の八代市産木材の活用を実現した。
耐火や不燃、歩行振動や床衝撃音など執務環境に求められる性能を確保しつつ、市産材の温もりが感じられる執務環境を実現したことで、カーボンオフセットやウェルビーイングという社会課題や林業振興という八代市の命題に応えた庁舎となった。
建物のスカイラインを形成する屋根面では、八代市の日射量の多さを活かした「太陽熱利用の換気システム」を構築。
奥行きと陰影のある外観を形成する大庇(ライトシェルフ)は、年間を通して日射量が多い八代市の地域特性へ対策しつつ、建物の奥まで自然光と風を取り込む機能性を確保したことで「省エネ技術とデザインが一体的となった外装デザイン」を実現した。
その結果、CASBEE熊本Sランクの高い環境性能を達成し、八代市産木材の活用とともに、環境への取り組み姿勢の模範となる「まちをリードする庁舎」となった。
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以下、建築家によるテキストです。
熊本地震による震災復興プロジェクトである。
あらゆる災害を想定した災害に強い庁舎としての性能と共に、八代城跡という立地に着目し、その歴史的な文脈や景観に呼応した「まちに映える庁舎」の実現が望まれた。
庁舎は地上7階、地下1階、地下柱頭免震構造で、地上部は鉄骨造とし、執務室の床及び天井は、すべて八代市産木材を使用した「CLTトラスユニット」による木造とした。
この日本初の工法である「CLTトラスユニット」により、天井落下の危険性がなく、八代市らしい木の温もりを感じる執務空間を実現し、同時に約1,430m3(原木で約5,300m3程度)の八代市産木材の活用を実現した。
耐火や不燃、歩行振動や床衝撃音など執務環境に求められる性能を確保しつつ、市産材の温もりが感じられる執務環境を実現したことで、カーボンオフセットやウェルビーイングという社会課題や林業振興という八代市の命題に応えた庁舎となった。
建物のスカイラインを形成する屋根面では、八代市の日射量の多さを活かした「太陽熱利用の換気システム」を構築。
奥行きと陰影のある外観を形成する大庇(ライトシェルフ)は、年間を通して日射量が多い八代市の地域特性へ対策しつつ、建物の奥まで自然光と風を取り込む機能性を確保したことで「省エネ技術とデザインが一体的となった外装デザイン」を実現した。
その結果、CASBEE熊本Sランクの高い環境性能を達成し、八代市産木材の活用とともに、環境への取り組み姿勢の模範となる「まちをリードする庁舎」となった。
石垣や武家屋敷といった八代城下町に調和する外観デザインや八代城址の石垣の再利用や既存樹木の保存したランドスケープによって、土地の記憶を継承し、永く市民に親しまれる庁舎を目指した。
そして、南北のまちをつなぎ八代城跡との一帯的な景観を形成する「八代のにわ」と、まちのシンボルロード「こいこいロード」とつながる「みどりの広場」によって、新たな市民交流の場となる、開かれたまちの風景をつくり出すことで、まさに「まちに映える庁舎」をつくり出した。
■建築概要
名称:八代市新庁舎
所在地:八代市松江城町1番25号
主用途:庁舎(市役所)
設計:久米設計 / 伊藤彰、猪股和広、水野貴之
施工:前田建設工業・和久田建設・松島建設 建設工事共同企業体
構造:地下部RC造、地上部鉄骨造(床の一部CLT造)、地下柱頭免震構造
環境性能:CASBEE熊本Sランク
使用木材量:約1430m3(すべて八代市産材)
炭素貯蔵量:約993t-CO2
階数:地上7階、地下1階
最高高さ:34.17m
敷地面積:16,148.80 ㎡
建築面積:5,791.76㎡
延床面積:27,422.74 ㎡
設計期間:2017年2月~2019年9月
工事期間:2019年10月~2022年8月
竣工:2022年8月
写真:YASHIRO PHOTO OFFICE