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2024.8.22Thu
2024.8.21Wed
2024.8.23Fri
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する
photo©釣井泰輔

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宮畑周平安藤祐介釣井泰輔宮地電機西安建設U Lighting OfficeBEYOND ENGINEERING建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・キッチン)建材(内装・浴室)建材(内装・設備)住宅図面ありリノベーション愛媛
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、西側より見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する俯瞰、屋根を見る。 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するリビングからキッチンとダイニングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する天井を見上げる。 photo©釣井泰輔

安藤祐介建築空間研究所が設計した、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」です。
都心から移住する家族の為に既存民家を改修する計画です。建築家は、改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案しました。そして、構成や素材もストーリーに基づき決定しました。

都心部から地方へ移住する家族のため、築32年の平屋建て木造住宅の全面改修を行った。

本計画は当初、分譲地への新築か、中古民家の改修か、土地や物件探しからスタートをした。候補となった中古民家は、正方形プランに方形屋根が大きく架かった一塊に見える特徴的な形をしており、天井裏には室内からは見ることができなかった小屋組みと広大な空間が広がっていた。

建築家によるテキストより

移住者である家族と既存家屋の特徴を重ね、住まいを「家族を乗せた宇宙船」と解釈し、「遠い場所から移動を終えこの地に降り、既存空き家に取り付き新しい生活を展開する」というストーリーを立て、空間構成やマテリアルの選定を行うこととした。このストーリー仕立ての設計により、「新築よりも面白いものができるはず」と、中古民家の改修をよりポジティブに選択してもらえるようになった。

建築家によるテキストより

既存家屋の外周軒下部分を増床し外壁を700mmほど屋外側に移動させ、収納やカウンターテーブル、家電スペースなど機能的な役割を配している。既存基礎の構造詳細が不明であったことから、増築部分の一部の新設基礎と外壁が、家全体を補強する構造計画とし、残りの部分は元の外壁からセットバックすることで無柱の水平開口を実現させた。L字に広がる水平連続窓には船のコクピットをイメージしたカウンターテーブルを設け、着陸後は田園風景を望む眺望窓となっている。

また、航行中に船外を魚眼のように広く確認するための凹レンズ窓が複数埋め込まれており、着陸後は凹レンズの特性が外光を広げる採光用トップライトとして機能している。外観にも複数の丸い天窓が宇宙船をアイコニックに表す。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する俯瞰、屋根を見る。 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、西側より見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、玄関側を見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、玄関を見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する玄関側からダイニングを見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する玄関側からダイニングを見る。(カーテンを閉めた状態) photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するダイニングからリビングを見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する天井を見上げる。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する凹レンズの天窓 photo©宮畑周平
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する左:主寝室、正面:洗面所 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するダイニング側からキッチンを見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するキッチンからダイニング側を見る。 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する子供室1、子供室2 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する主寝室 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する脱衣所の建具 photo©宮畑周平
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する浴室 photo©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する玄関側からダイニングとリビングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するリビングからキッチンとダイニングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する主寝室側からリビングを見る、夕景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するダイニングからリビングを見る、夜景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、西側より見る、夜景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する外観、南西側より見る、夜景 photo©釣井泰輔
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する平面図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する改修前平面図、改修後平面図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する断面図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する環境改修詳細図 image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するトップライトスケッチ
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するトップライトダイアグラム image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する構成ダイアグラム image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定するストーリーボード image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する着陸後トップライト image©Yusuke Ando Architects
安藤祐介建築空間研究所による、愛媛・西条市の「異郷人の家 / 凹レンズハウス」。都心から移住する家族の為に既存民家を改修。改修の選択を施主がポジティブに捉えられるよう、住まいを“家族を乗せた宇宙船”に見立てる“ナラティブな設計手法”を考案。構成や素材もストーリーに基づき決定する航行中魚眼窓 image©Yusuke Ando Architects

以下、建築家によるテキストです。


都心部から地方へ移住する家族のため、築32年の平屋建て木造住宅の全面改修を行った。

本計画は当初、分譲地への新築か、中古民家の改修か、土地や物件探しからスタートをした。候補となった中古民家は、正方形プランに方形屋根が大きく架かった一塊に見える特徴的な形をしており、天井裏には室内からは見ることができなかった小屋組みと広大な空間が広がっていた。

移住者である家族と既存家屋の特徴を重ね、住まいを「家族を乗せた宇宙船」と解釈し、「遠い場所から移動を終えこの地に降り、既存空き家に取り付き新しい生活を展開する」というストーリーを立て、空間構成やマテリアルの選定を行うこととした。このストーリー仕立ての設計により、「新築よりも面白いものができるはず」と、中古民家の改修をよりポジティブに選択してもらえるようになった。
 
既存家屋の外周軒下部分を増床し外壁を700mmほど屋外側に移動させ、収納やカウンターテーブル、家電スペースなど機能的な役割を配している。既存基礎の構造詳細が不明であったことから、増築部分の一部の新設基礎と外壁が、家全体を補強する構造計画とし、残りの部分は元の外壁からセットバックすることで無柱の水平開口を実現させた。L字に広がる水平連続窓には船のコクピットをイメージしたカウンターテーブルを設け、着陸後は田園風景を望む眺望窓となっている。

また、航行中に船外を魚眼のように広く確認するための凹レンズ窓が複数埋め込まれており、着陸後は凹レンズの特性が外光を広げる採光用トップライトとして機能している。外観にも複数の丸い天窓が宇宙船をアイコニックに表す。

既存家屋に残されていた家具には、新設の造作家具に組み込まれるように場所と役割を与え、表しとなった柱梁と共に、新旧の要素が緊張感のあるバランスで共存する空間となることを目指した。他にも着陸ハッチである玄関アプローチと扉や、軒の出を無くし屋根から壁までを鋼板横一文字葺きしたマッシブな外観も、宇宙船のストーリーを元にしている。

今回のナラティブな設計手法は、既存建築と移住者との新たな関係を生み出し、また設計を突拍子のない方向へ飛躍的に発展させる一つの思考法となった。

■建築概要

題名:異郷人の家 / 凹レンズハウス

所在地:愛媛県西条市

主用途:専用住宅

設計:安藤祐介建築空間研究所 担当/安藤祐介、森梢

構造設計:Beyond Engineering 担当/木村洋介
照明計画:U-Lighting Office 担当/松隈祐紀、宮地電機株式会社
施工:西安建設株式会社


構造:木造

階数:地上1階

建築面積:163.26㎡(改修部分112.46㎡)
延床面積:163.26㎡(改修部分112.46㎡)
設計:2022年4月~2022年10月

工事:2022年10月~2023年4月

竣工:2023年4月
写真:釣井泰輔、宮畑周平、Yusuke Ando Architects


建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

ガルバリウム横一文字葺き(マツハイヤ)

外装・壁外壁

ガルバリウム横一文字葺き(マツハイヤ)

内装・床床

複合フローリングt=15 サンマキアージュ(IOC)
大理石タイル ジュラベージュ(松下産業)

内装・壁壁

木毛セメント板t=15 EP塗装(栄進工業)

内装・天井天井

木毛セメント板t=15 EP塗装(栄進工業)

内装・キッチンキッチン

キッチン水栓:SUTTOシングルワンホールスプレー混合栓(SANEI)
キッチントップ:キッチントップステンレスバイブレーション仕上げ(シゲル工業)

内装・浴室浴室

ハーフユニットバス1317(日比野化学工業)

内装・設備コンセントスイッチ

アドバンスシリーズ(Panasonic)

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません


We undertook a complete renovation of a 32-year-old single story wooden house for a family moving from a city to a countryside.

In planning the renovation, the family relocation and the characteristics of the existing house were superimposed, and the house was interpreted as a “spaceship carrying the family”. The spatial composition and materials were selected based on the storyline of “a family that moves from far away, lands here, and takes over itself to an existing vacant house to develop a new life”.

The original house was a simple square building with a pyramid shaped roof, and behind the ceiling was a roof truss structure and a vast space that could not be seen from the interior. We removed the existing ceiling and all partitions between each room, and connected the upper and lower beams to create an almost one-room open space.

In addition, the exterior walls were set back about 700mm, and the area under the eaves, which used to be outdoors in the existing house, was incorporated as an indoor space. This additional floor space was made to function as a space for storage, a counter, and a place for home appliances. The new foundation and exterior walls around the perimeter of the house has also increased the structural strength of the house.

Several concave lens windows are embedded in the spacecraft to provide a fisheye-like view of the outer side while it is underway, and they function as top lights for lighting after landing. Taking advantage of the characteristics of the concave lenses to spread out light, the windows are made as small as possible to maintain the roof’s thermal insulation performance, while allowing natural light to softly enter as wide an area as possible. Multiple round skylights are also iconically displayed on the exterior, emphasising the spaceship feel.

The L-shaped horizontal series of windows and counters resembles a cockpit, and the entrance and approach resemble a landing hatch, where these designs evolve based on the story.

The house is roofed with galvanized steel panels in a straight line from the roof to the wall, creating a massive appearance that makes the house look like a huge solid piece. The original roof tiles were removed and replaced with steel panels to significantly reduce the weight of the roof and improve earthquake resistance.

Furniture left in the existing house was given a place and role so that it could be incorporated with the new custom-made furniture, and together with the exposed pillars and beams, we aimed to create a space in which the old and new elements coexist in a tight balance.

The narrative design approach that we have taken in this design, is a way of thinking that reimagines the relationship between architecture and people, and dramatically expands the design in a direction that we had not expected.

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2024.08.22 Thu 06:58
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    川口裕人 / 1110建築設計事務所による、神奈川・川崎市の「蔵と倉」。土蔵の飲食店への改修と倉庫棟の新築に加えて庭も整備。土蔵では、上階床を撤去し気積を大きくして光が降り注ぐ空間を創出。倉庫棟では、既存や周辺の建物の肯定と未来への希望を意図して建ち方や素材を選定する
  • 2024.10.14Mon
    吉田裕一建築設計事務所による、埼玉・川口市の住宅「東浦和の安居」。施主夫婦が自身の老後を見据えて依頼した住まい。車椅子での移動や介護がしやすい建築との要望に、其々の居室同士を接続して直に行き来できる平面構成を考案。趣味の園芸の為に土間や屋外の空間の使い方も考慮
  • 2024.10.04Fri
    渡邉明弘事務所・オクムラデザイン・キーマンによる、東京・千代田区の「REDO JIMBOCHO」。雑居ビルを改修と耐震化した“シェア型複合施設”。既存の状態に対し、“修繕”でも“建替”でもない“再生”する設計を志向。柱の増し打ち補強を含む“総合的な計画”で他の選択肢では“得難い空間”を生み出す
  • 2024.6.20Thu
    齋藤和哉建築設計事務所による、東京・世田谷区の「駒繋のハウス」。四周を家々に囲まれた敷地での計画。快適な住環境の獲得を主題とし、全体を包む“囲い”で視線を遮りつつ“光と風”を導入する構成を考案。生活の様々な状況に応じる為に建具の開閉で空間の性質が変わるように作る
  • 2024.5.27Mon
    吉村靖孝建築設計事務所と塚越宮下設計による、山形・鶴岡市の「龍宮殿サウナ」。老舗旅館の一部を浴場とサウナに改修。最適な機能配置と耐震性強化を求め、既存柱を“木造トラス”に置き換え“反復”させる構造形式を考案。新設の躯体は既存建物の木造トラスと呼応して施設の“象徴性”も高める
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    2024.8.21Wed
    • 浅井正憲+浅井百合 / 浅井アーキテクツによる、東京の「丸井スズキ足立事業本部新社屋」。菓子専門商社の施設の建替。“部署間の連携強化”を目指し、分棟だった事務所と物流倉庫の一体化に加えてオフィスをワンフロアに収める構成を考案。複雑な関係を視覚化して働く人が“協働”を意識できる建築を造る
    • 小嶋伸也+小嶋綾香 / 小大建築設計事務所による、中国・安康市の宿泊施設「鹿柴山集 Luzhai cottage」。自然環境に恵まれたエリアの階段状の敷地での計画。風景との調和と建設負荷の軽減を目指し、地元産建材と地域の建設工法でつくる建築を考案。客室の間に“隙間空間”を設けて周辺民家のスケール感とも呼応させる
    2024.8.23Fri
    • 東京都庭園美術館での展覧会「建物公開2024 あかり、ともるとき」の入場チケットをプレゼント。“照明”に焦点を当て“旧朝香宮邸”を公開。各室の照明に関する解説と資料を通して魅力を紹介。会期中は通常非公開のエリアも見学でき写真撮影も可能
    • 岡田良太+藤井田仁 / 岡藤石による、東京・新宿区の「地中のトウキョーオフィス」。地下フロアでの計画。“face to faceの交流促進”も可能にする空間との要望に、“生々しい生命感のある地中の働く場”を志向。“動植物の行動”を取入れ構想して様々な樹種や年代の素材を用いて作る
    • 【ap job更新】 “創造的な対応”と“誠実なモノづくり”を掲げ、設計・施工・家具制作を手掛ける「ヨシダインテリア」が、施工管理職と家具制作職を募集中
    • 橋村雄一 / Studio Hashimuraによる、佐賀市の「名尾手すき和紙工房」。土砂災害を受けての移転計画。製造工程で用いられる大量の水への対応を意図し、RC基礎を1.2mまで立ち上げる建築を考案。柱を基礎の側面に固定する構造として“周囲の美しい田園を望む連窓”も作り出す

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