SHARE KUUによる”マイナスKハウス”
以下、建築家によるテキストです。
上海郊外に建つ、2世帯住居。オーナーの週末住宅とこの敷地の管理人家族のための家。
上海で消えつつある゛シェアする゛という機能を家の中心でキッチンカウンターに与えた。
個々の部屋、空間はそれほど大きくなくてもいいので3mx3mとし、それでも歩きまわることで広がりを感じさせるものとした。
室内の使用目的をできるだけ固定しないように、部屋の大きさを全て同じにした。
小学生の女の子がいる管理人家族のためのユニットは、彼女が家の中を楽しく歩き回れるよう、できるだけ一方通行を作らないようにした。
日本ほど靴脱ぎの習慣がはっきりしていないので、寝たり座ったりする所には木フローリングを張り、レベルに差をつけた。
低予算という現実に対して、一番普及している材料、工法を選んだ。
地元のレベルの決して高くない業者が担当するので、アクロバティックな作り方をしないようにした。
壁のブロックが構造であり仕上げでもあるので、電気配線を露出にした。それを隠す目的で合板を縦横に走らせ、よって照明、スイッチ、プラグもその合板上に設置した。
壁に用いたセカンドハンドブロックが思いのほか荒い表情であったため、床をカラーモルタルでフラットに仕上げた。
外壁の泥はねを目立たなくするために、下に行くほどブロックの色をそのまま仕上げとして使用した。
一つの建築を作るということは、大抵はものすごく多くて複雑な要素をはらんでいるもので、一言でまとめたり片付けたり出来ないものだと思っている。特にまだルールのあって無いような中国では、例え始めに何らかの建築的な明確な意図があったとしても、竣工するころには、その意図も忘れてしまうくらい、何か別の現実で埋め尽くされてしまっていたりする。そんな状況だからこそ、実際に作る時はできるだけ率直でシンプルで具体的な対応をしたいと考えている。
(佐伯/KUU)
■プロジェクト概要
project name: マイナスKハウス
completed: 2010年5月
floor area: 169平米
location: 中国上海
photography:Jeremy San of stzernstudio (www.szternstudio.com)
■過去にarchitecturephoto.netで紹介されたKUUの作品
>KUUによる”Super Sense SPA”
>KUUによる”SUPER SENSE SPA 2″
>KUUによるカフェ&バー”XCOMA BAR”