SHARE 前見文徳による有機EL照明デザインコンペ2010のNEDO賞受賞案”Night pergola”
Photo/CG©前見文徳
前見文徳による有機EL照明デザインコンペ2010のNEDO賞受賞案”Night pergola”です。
Light Bridge Association JAPAN NPO主催の有機EL照明デザインコンペ2010応募作品。2段階審査方式により応募総数777作品の中からNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)賞を受賞した作品です。
以下、作品に関するテキストです。
Night pergola
OLEDと太陽光発電パネルを用いた光のパーゴラ(夜のパーゴラ)の提案である。嗜好性の強いプロダクトよりも、より公共性の高い利用と利便性を目指したいと考えた。ガラス基板に透過型の太陽光発電とOLEDをバインドし、より薄く器具の突出や配線のないフラットな発光する庇をつくる。OLEDモジュールはできるだけ透明な発光層とし、昼間は普通のガラスの庇のようなふるまいを見せるが、夜間は細かな光の帯が浮かび上がる。今回はパネルの発光層の塗布パターン、サイズをデザインしながら、まだまだバスを待つ環境が整備されていないことに注目し、バスシェルターへの利用の可能性を提案しているが、薄く軽やかな光のパーゴラは公園の休憩所や建物のエントランスの庇などへの応用が可能である。(1次応募案より)
2次審査では、より近い発光イメージモデルと利用環境を想定した施設用途モデルを提出し、単に照明器具としての開発に留まらず、公共空間や植物工場などの生産施設への建材としての利用を想定し、広い生産・普及イメージを「光源を実装したガラス建材」として提案しました。個人消費としてもLEDの普及が先行している中、OLEDが追いつき、追い抜くというロードマップではありませんが、将来的にはそれぞれの長所を活かし、適材適所住み分けがなされていくと予想されています。3.11東日本大震災を機に新エネルギーの議論が各方面で活発化し始めています。OELD照明開発・販売の合弁会社設立や、山形県の有機イノベーションセンター設立なども今後OLEDの市場拡大に向けて緩やかに加速していく兆しが生まれています。皮肉にも本考案は3.10に受賞、翌日東日本大震災が発生しました。提案者自身も故郷が被災し、家屋も流失するという当事者となりました。大停電の暗闇の中、安否確認に向った3.12、発想電分離の思想、議論もありますが、都市が暗闇に包まれることなく安心感が確保できる都市基盤の必要性をあらためて強く感じました。もはや大震災が引き起こした事態が日常となった今、この照明が復興のひとつとして役に立たないものだろうかと考えています。
(前見文徳/前見建築計画)
NEDOホームページプレスリリースによる記事のリンク
http://www.nedo.go.jp/news/press/ZZ0518A.html