SHARE 森創太+蜷川結 / nmstudioによる、東京都現代美術館エントランスホールでの「東京2020公式アートポスター展 会場構成」
森創太+蜷川結 / nmstudioが設計した、東京都現代美術館エントランスホールでの「東京2020公式アートポスター展 会場構成」です。会期は2020年2月16日まで。
東京都現代美術館で開催される、東京2020公式アートポスター展の会場構成。
東京2020のエンブレムは、オリ・パラ共に形の異なる3種類の四角形の組み合わせによって構成され、国や文化、思想などの違いを表現している。
本会場構成ではエンブレムを構成する四角形を、奥行き140mの長さを持つエントランスロビーに対して直線状に展開した。多様性・平等性を示す四角形による展示構成こそ、様々なルーツを持つアーティストによって制作されるアートポスターにとってふさわしいと考えたのである。
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以下、建築家によるテキストです。
東京都現代美術館で開催される、東京2020公式アートポスター展の会場構成。
東京2020のエンブレムは、オリ・パラ共に形の異なる3種類の四角形の組み合わせによって構成され、国や文化、思想などの違いを表現している。
本会場構成ではエンブレムを構成する四角形を、奥行き140mの長さを持つエントランスロビーに対して直線状に展開した。多様性・平等性を示す四角形による展示構成こそ、様々なルーツを持つアーティストによって制作されるアートポスターにとってふさわしいと考えたのである。
具体的にはエンブレムを構成する計45個の四角形を25mm角の立体フレームに置き換え、それぞれに異なる高さを与えた。20個をポスター展示用の什器とし、その他をベンチ、アーティストカードなどを置く展示台などの機能をもたせた。そのことによって展示空間全体にリズムを与えている。
各フレームはエンブレムの角度を保ったまま配置しているので(エンブレムは四角形の角度を変えず水平移動だけでオリからパラへと展開可能である)、鑑賞者はそれぞれのポスターと正対する際に常に異なる視点でフレーム群と向き合うことになる。
見る視点によって展示構成の印象は大きく異なるので、単調さを感じさせることなく奥へと鑑賞者を導く。エントランス正面からみると奥へ続くフレームが複雑な線の重なりを生み、斜めから見ると複数のポスターが一度に目に入りこむ。横からみるとフレームの連続を認識できる。フレームの塊が線のようにほどけていくような感覚である。
本構成は開館日には常に開放されているエントランスロビーに置かれることから、短期間の設営を求められた。バラバラなフレームを現地で組み立てる構成としたことで、短い期間でも容易な対応が可能となった。
単純なフレームの構成によって、この展示が世界一のスポーツイベントのための「祝祭の空間」となることを目指した。
■建築概要
展覧会名:東京2020公式アートポスター展
会場:東京都現代美術館 エントランスホール
会期:2020.01.07 – 2020.02.16
設計:nmstudio一級建築士事務所
写真:奥村浩司(Forward Stroke Inc.)