建築設計事務所 可児公一植美雪による、神奈川の、採光と通風の要望にヴォリュームの配置とフロアのレベル差で答えた住宅「HIYOSHI-K」の写真

建築設計事務所 可児公一植美雪のウェブサイトに、神奈川の、採光と通風の要望にヴォリュームの配置とフロアのレベル差で答えた住宅「HIYOSHI-K」の写真が17枚掲載されています。

敷地は周囲を住宅に囲まれた谷のような極端に細長い場所だった。そんな場所で求められたのは、明るく、風通しの良い家。セオリー通りに南にまとまった庭を取ると、庭に面さない奥の部屋は谷底のように暗くなってしまう。そこで、細長い敷地をあえて細長く分割し、東に光の落ちる庭を取った。そして、更に細長く、千切りをするように、東から、部屋、階段、スロープと建物のボリュームを縦に三分割した。そうする事で、全ての部屋はその庭に面する事ができ、庭からの光を享受できる。また、細長い敷地に対して、庭、部屋、階段、廊下をあえて細長くすることで、一般的なスケールの住宅には無い「長さ」や「距離」が感じられる、ちょっと遠い場所が生まれる。すぐ上とか、すぐ隣に見えている場所にすぐには行けない、近くて遠い、遠くて近い、そんな距離感が広さとはまた違う拡がりを与えてくれる。同時に、この住宅では表と裏を意識した。空が近く、木の床、高い天井で、温かく明るい表の空間。地面が近く、土間の床、低い天井で、静かな落ち着いた裏の空間。直方体のボリュームを床スラブと階段で斜めに立体的に分割した二つの世界を長いトンネルが繋いでいる。もう一つ、この表と裏は床の隙間の細長い窓で繋がっている。この窓には一般的なアルミサッシを使用した。現代の日本の住宅で欠かせなくなったアルミサッシは、特別な意味を持つに至ったと思う。それは内部と外部を間仕切る絶対的な境界。安価で施工も容易い絶対的な境界を、内部と外部、表と裏、水回りと床下に、ヒエラルキー無く多用する事で、無意識に刷り込まれた境界線を曖昧にする。表と裏の世界、ぼやけた境界、段々畑のようなスキップフロア、坂道のような階段、トンネルのようなスロープ、小さな箱に詰め込まれた様々な要素が谷を明るく照らしてくれる。家の中の至る所から子供の遊んでいる姿を見ることができる、文字通りの明るい家となった。

建築設計事務所 可児公一植美雪による、岡山の築約120年の古民家を、その面影を継承しつつ大胆に減築することで現代性を取り戻した住宅「YUKISHIMO-K」の写真

建築設計事務所 可児公一植美雪のウェブサイトに、岡山の築約120年の古民家を、その面影を継承しつつ大胆に減築することで現代性を取り戻した住宅「YUKISHIMO-K」の写真が18枚掲載されています。

敷地は岡山県の山間部。築120年を超える古民家の改修計画。施主は60代の夫婦、大きくて古いこの家を持て余していた。計画建物はこの地域には多く残る茅葺き屋根にトタンを被せて生き永らえてきた建物である。敷地内にはこの母屋の他に約30年前に建てられた住宅、土蔵、木小屋と呼ばれる倉庫が建っており、広い敷地にもかかわらずとても窮屈な状態だった。改修するにあたり、まずこの窮屈な敷地に余白を取り戻す事が必要だと考えた。また、同時に今の時代に先人の遺したこの家を改修する意味というものについて強く考えた。現状、この家は時代や家族の変化に伴い増改築が繰り返され、新築当時の潔さは無く、ぶよぶよと余計なものがまとわりついているように思えた。過去の新築当時の姿に似せて綺麗に取り繕っていくのではまた同じく余計なものがつき、根本的な解決にはならない。そこで私達は、長い年月をかけてまとわりついたものを取払い、新築当時の軸組まで戻す事とした。120年前からそこにあったこの家はもはや敷地の環境そのものであり、その環境の中に、今必要とされているボリュームを置いていく。また、古民家らしさとか木造らしさにとらわれ、細かく全体を統合していくのではなく、この強大なコンテクストの中においては、天井、壁、床が、それぞれの正しさを自分勝手に主張したとしても、ひとつの統一性が生まれるのではないかと考えている。古民家の廉価版ではなく、この場所そのものが今にふさわしい姿になる事を目指している。

建築設計事務所 可児公一植美雪による、神奈川の海の近くに建つ、高さ15mのヴォリュームと周囲に巻き付く頭頂部まで登れるスロープが特徴的な住宅「KUGENUMA-Y」の写真

建築設計事務所 可児公一植美雪のウェブサイトに、神奈川の海の近くに建つ、高さ15mのヴォリュームと周囲に巻き付く頭頂部まで登れるスロープが特徴的な住宅「KUGENUMA-Y」の写真が15枚掲載されています。

敷地は湘南の海の近く、5層高さ15mのRCラーメンフレームが6層長さ150mの鉄骨スロープを纏った、単純な構成の住宅。最初に施主から求められたのは高さが15mである事、そして何があってもその高さまで登れる事という2点だけだった。これには施主の大らかな生き方と、海の近くで生きてきた覚悟のようなものを感じた。この施主にとっての生きる事を具現化したような力強く、かつ軽やかで大らかな建築がふさわしいと考えた。同時に海に近いこの場所で、建築自身にも生き残っていける強かさが必要だとも感じた。15mのラーメンフレームには溶融亜鉛メッキの施された鉄骨のスロープが巻きつく。エレベーターでもなく、階段でもない単純な坂道であるこのスロープは、どんな時でも必ず各層を経て15mの高さまで届けてくれる。また、この単純な坂道は様々な別の意味でも捉えられる。外部に生み出す拡張空間は上層階でありながら、全ての開口部で掃き出し窓を可能とし、上層での複雑な内外の繋がりを生み出す。それは拡張する床であり、日射を遮る庇であり、安全のための手すりであり、地上からの視線を遮る目隠しとなる。また、天井高の高い1,2層、壁のない3層、トンネルのような4層、東屋のような5層、均質な5層のフレームの中の質の異なる空間に対して、均質な6層のスロープが少しずつずれながら絡みついてくる事で均質なルールの中に小さな歪みを生み出す。同時に、このスロープは住人が建物の隅々までを自分の目で見る事を可能としている。通常、高さ15mの建物の外壁は近くで見る事が出来ず、知らず知らず劣化し建物の寿命を縮めていくが、ここでは常に目線の高さにあり、日常的な確認ができる。メンテナンス工事の際には、高さのある建物は足場も高くなり大きなコストとなるが、ここではスロープが足場となる。住人の生きる事が同時に建築を生かす、そんな単純で複雑な建築を目指している。

2020年1月期のテレビドラマで、主人公が建築確認検査員役の「10の秘密」が放送 隈研吾に、自身の手によるアシックスのスニーカー・METARIDE AMUについて聞いているインタビュー「建築家・隈研吾の“最小の建築”ができるまで。隈氏とアシックスが開発を通じて都市の未来を見つめた。」が公開。試作品の写真やメーカー側のコメントも掲載。

隈研吾に、自身の手によるアシックスのスニーカー・METARIDE AMUについて聞いているインタビュー「建築家・隈研吾の“最小の建築”ができるまで。隈氏とアシックスが開発を通じて都市の未来を見つめた。」が公開されています。試作品の写真やメーカー側のコメントも掲載されています。シューズの詳細写真はこちらに
以下は同シューズを紹介する動画。

隈研吾へのthe fashion postによるインタビュー 具体美術協会の中心メンバーとして知られる「白髪一雄」の展覧会が、東京オペラシティアートギャラリーで開催

具体美術協会の中心メンバーとして知られる「白髪一雄」の展覧会が、東京オペラシティアートギャラリーで開催されます。会期は2020年1月11日~2020年3月22日。2013年にはニューヨークのグッゲンハイム美術館で具体美術協会の企画展が行われたりもしています。

具体美術協会(1954-1972)の中心メンバーとして知られる画家・白髪一雄(1924-2008)。1955年頃より、天井から吊したロープにぶら下がり、床に広げたキャンバスに足で滑走して描く作品の制作により、未知の領域を切り拓きました。白髪の手法は、身体運動(アクション/パフォーマンス)と絵画をダイレクトに結びつけるラディカルさで当時から大きな注目を集めました。協会解散後も先鋭な制作原理を貫いた白髪の作品は、絵具の滴り、滲み、粘性や流動性、堅牢さといった、物質に根ざした油彩画の魅力を存分に湛えており、今日、改めて内外の高い評価を得ています。白髪の探求は、人間の資質をいかに伸ばすかという問題や、宗教的な精神性の問題など、独自の人間学的なアプローチを含んでおり、改めて様々な視点からの検証を待っています。本展は、東京で初の美術館での個展として、白髪一雄の活動を検証するものです。

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