興津俊宏+内田哲広による、福岡・朝倉郡の住宅「みんか2013」
興津俊宏+内田哲広による、福岡・朝倉郡の住宅「みんか2013」 photo©イクマサトシ
興津俊宏+内田哲広による、福岡・朝倉郡の住宅「みんか2013」 photo©イクマサトシ
興津俊宏+内田哲広による、福岡・朝倉郡の住宅「みんか2013」 photo©イクマサトシ

興津俊宏+内田哲広が設計した、福岡・朝倉郡の住宅「みんか2013」です。

農家の夫、管理栄養士の妻とその娘たちのための民家である。
夫が採ってきた野菜をふんだんに使い妻が料理の腕を振るう。そのための広い土間と、広い庭に面した縁側、自家製の味噌などを保存する蔵が要望であった。それらは伝統的な民家にみられる要素であり、農耕を主体とする日本の田舎には適した空間である。民家特有の空間構成を再編成することで、田舎暮らしの核家族のためのコンパクトな現代の民家を目指した。

建築家によるテキストより

この地域は内陸のため、夏は暑く、冬の寒さも厳しい。一年を通して省エネで安定した室内環境の住まいを目指した。
まず、建物の外周全体を外断熱(屋根100mm、壁50mm)で覆い、断熱性・気密性を確保した。さらに建物中央に配した蔵をコンクリートとすることで、土間と合わせて内部に十分な熱容量を確保した。太陽光の影響を受けない中央のコンクリートの塊は、蓄熱と放射により室内環境を安定したものとする。

夏場には冷えた夜の風で冷気を蓄熱し、昼間に周囲よりも低い表面温度を保つ。冬場には、暖房により蓄熱(太陽光は土間に蓄熱)し、夜間・早朝の室内温度低下を防ぐ。また急激な温度変化を防ぐことができるため、建具を気楽に開け閉めでき、開放的で安定した室内環境を実現している。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 建築情報学会(仮)が、パートタイムでの事務サポートメンバーを募集中
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建築情報学会(仮)の、パートタイムでの事務サポートメンバー募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

現在、2020年11月末の正式な発足を目指して、建築内外の最先端領域の有志多数によって「建築情報学会」の設立準備が進められています。

「建築情報学会」は、昨今の社会の急速な情報化およびデジタル化の流れを受け、長い歴史の中で細分化し流動性を欠く側面を見せ始めた既存の建築界に、デジタル技術という共通基盤を通して再び横の流動性をもたらすこと、さらには人工知能やモビリティ、ARやVR、スマートシティなど多様な新興領域との拡張的連携に必要な共通言語の体系を構築することを主要な目的に、学術・産業・教育の三領域を柱として、新しい「建築情報学」の知見および技術の開発、拡張、実装を促進することを目指しています。現在学会の設立準備のため、発起人の呼びかけおよび企業協賛の依頼等の作業が進行中で、11月30日のオンライン開催が予定されている設立総会の実施へ向けて、鋭意準備を進めているところです。今回の設立総会での理事会の発足および正式な学会としての設立を経て、ある程度の試行期間を経ながら正式な法人化の手続きを進めていく予定です。

現在の各種準備作業はすべてボランティアで行われており、設立総会が近づく中で、各種連絡や登録、手続きなどの事務局的作業が徐々に増加してきています。そこで、健全かつ持続的な学会の設立準備および運営のサポート体制を整えるため、パートタイムでの事務サポートメンバーを雇用することになりました。

新しい時代の社会プラットフォームの構築を、中からサポートしてくださる方に、早期に準備チームに加わっていただきたいと、設立準備メンバー皆で心待ちにしています。業務の内容は当面は関係者や企業との連絡や登録作業の補助、イベントの企画や準備にかかわる補助作業などで、勤務形態は在宅によるフレックス勤務を想定しています。当初はわからないことも多いかとは思いますが、現メンバーが丁寧に共有およびサポートを行います。ぜひ年内限定の短期のヘルプでも、来年以降に及ぶ中長期的なサポートでも、一緒に新しい社会基盤の立ち上げを一緒に手伝ってくださる方、お待ちしています。

富永大毅+藤間弥恵 / TATTAによる、埼玉・越谷市の、集合住宅の一住戸の改修「垂木の住宅(西川材)」
富永大毅+藤間弥恵 / TATTAによる、埼玉・越谷市の、集合住宅の一住戸の改修「垂木の住宅(西川材)」 photo©太田拓実
富永大毅+藤間弥恵 / TATTAによる、埼玉・越谷市の、集合住宅の一住戸の改修「垂木の住宅(西川材)」 photo©太田拓実
富永大毅+藤間弥恵 / TATTAによる、埼玉・越谷市の、集合住宅の一住戸の改修「垂木の住宅(西川材)」 photo©太田拓実

富永大毅+藤間弥恵 / TATTAが設計した、埼玉・越谷市の、集合住宅の一住戸の改修「垂木の住宅(西川材)」です。

材が溢れている日本の山の現状をリノベーションにもうまく活用しようという垂木材を用いたリノベーションシリーズの第二弾。

埼玉県の現場であったので、飯能の赤身の非常に美しい西川材(スギ)を利用して積層させ、壁と建具の中間のようなものをつくった。同じ製材所の在庫にサワラ材があり、片面だけ木毛板を貼ることで、半分下地のような状態のまま仕上げとして使った。

10階まで担ぎあげるのは大変だろうということで全ての材はEVに入る長さとし、短くなったことで生まれるディテールを新たに考えている。

建て主は幼稚園児2人を抱える4人家族で、将来的に子供部屋を仕切れるよう、しばらくは回遊できるワンルームとして用意することで、限られた面積を最大限広く感じてもらえるようにしている。

階下や隣住戸への騒音へ配慮し、元々直床だった床は上げて防音対策し、コルク床や木毛板などあらゆる素材は吸音を前提にして選んでいる。
(富永大毅)

建築家によるテキストより
吉岡徳仁による、東京メトロ銀座駅に設置された、636個のクリスタルガラスを使用した作品「光の結晶」
吉岡徳仁による、東京メトロ銀座駅に設置された、636個のクリスタルガラスを使用した作品「光の結晶」
吉岡徳仁による、東京メトロ銀座駅に設置された、636個のクリスタルガラスを使用した作品「光の結晶」

吉岡徳仁による、東京メトロ銀座駅に設置された、636個のクリスタルガラスを使用した作品「光の結晶」です。
作品の輝きを設計する際に世界地図を用いており、光で世界を表現する構成となっているとのこと。そして、その光には「地球に生きるものとして世界がひとつになる」という平和への願いが込められているそうです。
設置場所は、東京メトロ銀座駅 B6出口付近。

クリスタルガラスにより放たれた無数の光彩は、一つの結晶となる。
その光の結晶には、世界の平和と未来への希望が込められている。

デザイナーによるテキストより
日本ペイント×architecturephotoコラボレーション企画 “色彩にまつわる設計手法” / 第4回 加藤幸枝・前編 「色彩を設計するということ」
日本ペイント×architecturephotoコラボレーション企画 “色彩にまつわる設計手法” / 第4回 加藤幸枝・前編 「色彩を設計するということ」

本記事は学生国際コンペ「AYDA2020」を主催する「日本ペイント」と建築ウェブメディア「architecturephoto」のコラボレーションによる特別連載企画です。4人の建築家・デザイナー・色彩計画家による、「色」についてのエッセイを読者の皆様にお届けします。第4回目は色彩計画家の加藤幸枝氏に色彩設計の意義や役割について綴っていただきました。

 
色彩を設計するということ

text:加藤幸枝

 

以下の写真はクリックで拡大します

日本ペイント×architecturephotoコラボレーション企画 “色彩にまつわる設計手法” / 第4回 加藤幸枝・前編 「色彩を設計するということ」勝沼ぶどう郷駅からの風景/甲州市では「その環境で尊重すべき存在は何か」をテーマに、人工物(防護柵)の色を周囲に馴染ませる取り組みを実施してきた。 photo courtesy of YUKIE KATO

これまで6回にわたる連載では、中山英之・藤原徹平・原田祐馬3氏による色彩の経験・体験やご自身の作品における色彩の位置づけ等が語られてきました。
それぞれ、特に前編の「深く印象に残った/蘇った色彩」については、瞬間の印象や感動もさることながら、のちにご自身の活動が続けられていく中で色の知覚や配色がもたらす効果などの現象性が「再認識」されていく様子が大変興味深く、そうした「記憶に残る色彩の体験」がいかに創作に欠かせないものであるかを示している、と感じています。

私は長く「色彩設計」という実務に携わっています。日々の仕事の中では、どちらかというと「色に対するさまざまな困りごと」に対し「色彩(を含めた/を切り口とする)のあり方をその状況に応じた手法と精度で紐解き、(関係者間で)共有可能な最適解を提示する」ことが中心となっています。自身の仕事は冒頭に示したような「記憶に残る色彩の体験」とは程遠いものですが、私自身は色彩による切れ味の鋭い・見たこともないような表現や演出よりも、そうした体験が生み出されるための環境の構築や再生に興味を惹かれてきました。
「なぜ、そこにその色を使うのか/必要があるのか」を明らかにすること、が色彩を設計することの意義や役割なのではないか、と考えています。

私たちの身の回りには、改めていうまでもなく実に様々な色があります。特に都市部や公共空間では文字情報をはじめ聴覚・臭覚などへの刺激とも相まって、膨大な情報を瞬時に/ゆるやかに認識し、判断することを強いられます。
色は周囲や背景にあるものとの関係性(対比)により見え方が決まりますので、面積の大小も含め、どんなに強い色でも「その色だけ」を見ていることはまずありません(例えば吹雪によるホワイトアウト等は、単一色に視界を覆われた状態の一例です)。
言い換えれば、対象自体の色が変わらずとも、周囲の色が変化することにより対象の色までもが変化して見えるということであり、私たちの日常の中で「変化する色彩の見え方」にも(意識的かどうかにかかわらず)、かなり柔軟に対応している、と感じることが多々あります。

 
色で環境を/景色を整える

私は色にこの「相互作用」という機能があることに、やや大げさですが絶大な信頼を置いています。対象物そのもの存在は必要不可欠であり、多くの役割を担っているけれど「その環境においてその色でなければならない」理由が見当たらないもの、は実に多く存在していて、形状や位置等は現状のままでも「色が変わる」だけで周囲の環境の見え方までも大きく変化して見えることがある、という体験を重ねてきました。
例えば、山梨県内で長く続けられている「風景ペイント」。豊かな自然環境の中で突出して目立っていた防護柵等を低明度のブラウンに塗装することで、存在感を残しつつも周囲の景観に融和し、同時に引き立て役にも成り得る、という効果が発揮されることがわかりました。これはもともと地域のまちづくり団体の方々が取り組んでこられた活動でしたが、私は他の市町からやってみたい・何色がよいか、と相談を受ける機会が増え、市役所の方や地域の住民の方々と「その地域や対象にふさわしい色」をともに考えながら、主に住民参加型の「景色のお色直し」に携わってきました。

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