真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、東京・港区の「芝公園の集合住宅」。画一的な“集合住宅の表情”を脱却する意識で計画、各住戸に天空率も考慮した床面積不算入の出窓を上下階で向きを変え配置、外観を特徴づけると共に実際以上に室内を広く感じさせる
真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、東京・港区の「芝公園の集合住宅」。画一的な“集合住宅の表情”を脱却する意識で計画、各住戸に天空率も考慮した床面積不算入の出窓を上下階で向きを変え配置、外観を特徴づけると共に実際以上に室内を広く感じさせる photo©アド・グラフィック 飯田眞秀
真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、東京・港区の「芝公園の集合住宅」。画一的な“集合住宅の表情”を脱却する意識で計画、各住戸に天空率も考慮した床面積不算入の出窓を上下階で向きを変え配置、外観を特徴づけると共に実際以上に室内を広く感じさせる photo©アド・グラフィック 飯田眞秀
真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトによる、東京・港区の「芝公園の集合住宅」。画一的な“集合住宅の表情”を脱却する意識で計画、各住戸に天空率も考慮した床面積不算入の出窓を上下階で向きを変え配置、外観を特徴づけると共に実際以上に室内を広く感じさせる photo©アド・グラフィック 飯田眞秀

真泉洋介 / プラスマイズミアーキテクトが設計した、東京・港区の「芝公園の集合住宅」です。画一的な“集合住宅の表情”を脱却する意識で計画、各住戸に天空率も考慮した床面積不算入の出窓を上下階で向きを変え配置、外観を特徴づけると共に実際以上に室内を広く感じさせる。

東京都港区芝公園の賃貸集合住宅。

建築家によるテキストより

コンパクトなワンルームの各部屋に、他方に向いた窓辺の場所をつくった。
タモ材を家具のように部屋内で組み、出窓の凹みに嵌め込んだ。

出窓は容積率算定の床面積に含まれないため、実際の面積以上に室内空間を広く感じられる。
四角いワンルームの部屋にできた、斜めの広がり。

建築家によるテキストより

内も外も画一的になりがちな集合住宅の表情から、少しでも脱却したいという意識を持って設計した。

建築家によるテキストより
【特別寄稿】 岩元真明による論考「用の再考:自宅の設計について」

建築設計事務所「ICADA」を共同主宰し、九州大学でも教鞭をとる岩元真明による論考を掲載します。岩元は集合住宅の一住戸を改修した「桜坂の自宅」を2021年2月に完成させました。本作品は、アーキテクチャーフォトでも特集記事として紹介されており、その試みにおいてSNSを中心に様々な反響がありました。自宅の設計にあたり、岩元は様々な事柄に思いを巡らせていたと言います。そしてその思考をテキストにまとめる作業をおこなっていました。アーキテクチャーフォトにて、建築作品に続き、その論考を掲載します。既に建築作品を見た方は勿論ですが、この論考を切っ掛けに作品を見て、今改めて「住まう」ということを考えてみて欲しいと思います。


用の再考:自宅の設計について

text:岩元真明

 

【特別寄稿】 岩元真明による論考「用の再考:自宅の設計について」 photo©高野ユリカ

1. 変化する住戸:nLDKの流動化

数年前、福岡市内で築30年を超えるマンションの一室を購入した。既存の住戸平面は典型的な3LDKで、私の家族は夫婦と姉弟の4人である。このままでも住めるな、と思う反面、これで良いのだろうか、と自問した。日本全国で大量に供給されてきたnLDKの住戸では、家族構成と平面計画が一対一に対応している。しかし、家族は刻々と成長し変化してゆくものだ。nLDKは、いまなお核家族にとって理想的な一般解なのだろうか?

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【特別寄稿】 岩元真明による論考「用の再考:自宅の設計について」自宅の窓から見える風景 photo©高野ユリカ
【特別寄稿】 岩元真明による論考「用の再考:自宅の設計について」既存住戸の間取り

そこで、思考実験として自らの家族の成長を想像してみた。子どもが小さいうちは各々の部屋は必要ないが、思春期が近づくと、きっと個室を欲しがるに違いない。とはいえ、そう遠くない未来に子どもたちは就職などで親元を離れるだろう。子が去った後の空間は残された夫婦が使うのが合理的である。しかし、小部屋に分割されたコマ切れの空間は使いにくく、子が家を離れた後にも、彼らの部屋には彼らのモノが、思い出を封じ込める保管庫のように残されてしまう。

こうしてみると、nLDKという形式は長い人生のごく一部、10年余りしか機能しないように思われた。かといって、直ちに子ども部屋を排するのはあまりに過激である。個の自立を促すという点で、個室は一定の役割を担うからだ。

そこで、nLDKの形式を大きく崩すことなく、流動化させることを考えた。間仕切りを可動にすることによって1LDKから3LDKへ、あるいは個室のない一室空間へと、ゆっくり変化する住戸。寝室は3台の可動書架によって仕切られ、書架を散らせば4部屋になり、書架を1ヶ所に集めれば大きな部屋ができる。子が巣立った後には、広々とした部屋で夫婦で過ごすのが良さそうだ。寝室がどのように変化しても居間と接続できるように、両者の境界には8連の引戸を設置する。

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【特別寄稿】 岩元真明による論考「用の再考:自宅の設計について」変化する寝室 photo©八代写真事務所
【特別寄稿】 岩元真明による論考「用の再考:自宅の設計について」改修後の平面図 image©ICADA

このように全体構成を決めた後に、家族のあり方について思いをめぐらせた。子供たちがソファに腰掛けてテレビを眺め、夫がダイニングで新聞を読み、妻がキッチンの傍らで彼らを眺める…というような、かつての近代家族の風景は、現代には(少なくとも私の家族には)無縁に思われた。スマートフォンやタブレット、ゲーム機などの情報端末を介して、大人も子どもも家にいながらにして外とつながる。住宅でのアクティビティは前世紀とは全く異なっているのだ。ならば、近代家族の団らんを演じるのではなく、個々人が思い思いの場所で活動を展開し、それが交差する住まいをつくりたいと考えた。

KAMITOPENと浅井謙建築研究所による、千葉・印西市の「グッドマンビジネスパーク アメニティスペース」。物流倉庫需要の高まりに伴い従業員増加の現状を受け、倉庫内で一日を過ごす就業者用のリフレッシュスペースを計画、目的を叶える為に自然を想起させる“ゆらぎ”のある空間を設計
KAMITOPENと浅井謙建築研究所による、千葉・印西市の「グッドマンビジネスパーク アメニティスペース」。物流倉庫需要の高まりに伴い従業員増加の現状を受け、倉庫内で一日を過ごす就業者用のリフレッシュスペースを計画、目的を叶える為に自然を想起させる“ゆらぎ”のある空間を設計 photo©宮本啓介
KAMITOPENと浅井謙建築研究所による、千葉・印西市の「グッドマンビジネスパーク アメニティスペース」。物流倉庫需要の高まりに伴い従業員増加の現状を受け、倉庫内で一日を過ごす就業者用のリフレッシュスペースを計画、目的を叶える為に自然を想起させる“ゆらぎ”のある空間を設計 photo©宮本啓介
KAMITOPENと浅井謙建築研究所による、千葉・印西市の「グッドマンビジネスパーク アメニティスペース」。物流倉庫需要の高まりに伴い従業員増加の現状を受け、倉庫内で一日を過ごす就業者用のリフレッシュスペースを計画、目的を叶える為に自然を想起させる“ゆらぎ”のある空間を設計 photo©宮本啓介

吉田昌弘 / KAMITOPEN浅井謙建築研究所が設計した、千葉・印西市の「グッドマンビジネスパーク ステージ5アメニティスペース」です。物流倉庫需要の高まりに伴い従業員増加の現状を受け、倉庫内で一日を過ごす就業者用のリフレッシュスペースを計画、目的を叶える為に自然を想起させる“ゆらぎ”のある空間を設計しました。クライアント企業の公式サイトはこちら

近年、物流倉庫の需要は高まっており、そこで働く人の数も飛躍的に伸びている。
また、就業者は一日中物流倉庫内で過ごす場合が多く、働く人のリフレッシュスペースへの需要が高まっている。

建築家によるテキストより

そこで、今回は千葉ニュータウンに位置する大規模ビジネスパークのステージ5として154,000㎡の物流倉庫の中に470㎡のアメニティースペースが計画された。アメニティスペースへは気分転換と癒やしの両面が求められたため、グッドマングループ本社のあるオーストラリアの「海と自然」を感じることが出来る空間を設計した。

建築家によるテキストより

実際には天井面に鏡面からバイブレーションまでグラデーション加工したステンレスで波を作ることによって空間を海面の中に見立て、壁面にも反射する材料を使用することによって、人々の動きと、雲と太陽の動きによって空間全体にゆらぎを感じること出来る空間を設計し、植物を海藻に見立てることにより海中を表現した。

建築家によるテキストより

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