牧野研造建築設計事務所が設計した、京都市の「花園の家」です。
住宅街の木造二階建住宅です。建築家は、らしさを持つ不変性と柔軟な可変性の共存を目指して、機能的平面の下階と複数のフロアが自由に振舞う上階を組み合わせる構成を考案しました。また、空間における“線”の量が用途の補助線としても機能するように意図しました。
リビングらしい空間、キッチンらしい空間、和室らしい空間といった、様式を感じさせる空間を受動し生活することも、何にでも使えそうな空間を、使い方を変化させながら能動的に楽しむことも、相反するようでどちらも魅力的なことであり、住まい手はそのどちらも求めているように思われた。
100㎡に満たない空間の中に、双方の豊かさを共存させられないかと考えた。
また、らしさを持った変わらない空間と、ライフステージに合わせて変化させる可能性に満ちた空間を、違和感なくつなぎたい。
2階床、ロフト階床は、3畳のスペース9マスを基本段位とし、それぞれを上げ下げして出来上がるスキップフロアの構成としている。
3畳のスペースはそれぞれが完結しないよう、隣り合う3畳のマスをつないで使えるように、建具の設置可能な位置と、段差を調整している。概念上、完結した6畳の個室が4室ある状態より、未完結な3畳が8マスあることが、この家の使い方を自由にすると考えた。