菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所による、東京・六本木の、ルイ・ヴィトンのギフトショップをレポート。世界巡回の展示の併設ギフトショップ。“その土地らしさ”の具現化を目指し、東京の都市構造に注目して抽象的要素で迷路性のある空間を構築。吹抜を活かして視点による見え方の変化も意図
菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所による、東京・六本木の、ルイ・ヴィトンのギフトショップをレポート。世界巡回の展示の併設ギフトショップ。“その土地らしさ”の具現化を目指し、東京の都市構造に注目して抽象的要素で迷路性のある空間を構築。吹抜を活かして視点による見え方の変化も意図 photo©architecturephoto
菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所による、東京・六本木の、ルイ・ヴィトンのギフトショップをレポート。世界巡回の展示の併設ギフトショップ。“その土地らしさ”の具現化を目指し、東京の都市構造に注目して抽象的要素で迷路性のある空間を構築。吹抜を活かして視点による見え方の変化も意図 photo©architecturephoto
菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所による、東京・六本木の、ルイ・ヴィトンのギフトショップをレポート。世界巡回の展示の併設ギフトショップ。“その土地らしさ”の具現化を目指し、東京の都市構造に注目して抽象的要素で迷路性のある空間を構築。吹抜を活かして視点による見え方の変化も意図 photo©architecturephoto

菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所が設計した、東京・六本木の、ルイ・ヴィトンのギフトショップをレポートします。
このショップは、ルイ・ヴィトンの展覧会「SEE LV展」に併設されるものです。ギフトショップの会場は、東京ミッドタウンガレリア B1 アトリウムで、入場無料です。会期は、2022年7月8日~8月21日(日)、入場無料です。アーキテクチャーフォトでは、2021年に菅原が手掛けたルイ・ヴィトンのポップアップストアもレポートしています。

以下、アーキテクチャーフォトによるレポートです

ルイ・ヴィトンの巡回展「SEE LV」が東京・六本木で始まる。この展覧会は、2020年にスタートし、2021年、2022年と世界の主要都市を経て、このたび四番目の開催地として東京に巡回する。

この展覧会の開催を記念し、会期中にオープンするギフトショップを、菅原大輔 / SUGAWARADAISUKE建築事務所が手掛けた。菅原は過去にも、2021年に原宿で開催された「LOUIS VUITTON &」に併設するポップアップストアの設計を手掛けている。本作品は、菅原がルイ・ヴィトンと協業した2番目の建築というわけだ。

内覧会時に菅原に話を聞く機会を得た。
このギフトショップの設計にあたり、ルイ・ヴィトンは、「ローカル、その土地らしさ」を求めたのだと言う。菅原は、その要望に応えるために、東京の都市構造に注目したと語る。
それは、ヨーロッパの幾何学的な規則が見える都市とは異なり、高層ビルと低層建築が混在し、異文化が縦横無尽にストリートでつながる東京の街の在り方である。

この都市構造をインスピレーション源として、「TOKYO URBAN NETWORK」をテーマに設定。それを、展覧会のテーマカラーと関連づけた抽象的なヴォリュームの組み合わせで、建築空間として表現した。

実際に店舗の中を歩き回ってみると、交錯する軸線と斜めの壁により、並べられた商品や行きかう人々が見え隠れする。それは、角を曲がると急に違う視界が開けるような、東京の街中の路地を歩く楽しく驚きのある感覚と重なる。

また、会場となっているアトリウムの3層吹き抜けの気積を活かし、多面体のヴォリュームを上空に浮かせている。
この存在があることで、鑑賞者のいる階により空間の見え方に変化が生まれる。

上階部分から会場を見下ろすと、空間全体を把握する事ができ、ピンク色の三角形を床全体に散りばめたような楽しげな風景を目にすることができる。
同時に、クライアントからのオーダーのひとつであったQRコードの使用から発展した床のパターンがひときわ目を引く。同様のパターンが浮遊する多面体の一部やブースの屋根にも施されており、それらが床と重なることで錯視的な効果を生む。

中原崇志が会場構成を手掛けた、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「2121年 Futures In-Sight」。作家達の“視座”や“洞察”を展示。言葉と物を等価に扱う事を目指して、雑誌が三次元に立ち上がった様な空間を構築。言葉を立体化し鑑賞者が直感的に捉えられる空間体験を作る
中原崇志が会場構成を手掛けた、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「2121年 Futures In-Sight」。作家達の“視座”や“洞察”を展示。言葉と物を等価に扱う事を目指して、雑誌が三次元に立ち上がった様な空間を構築。言葉を立体化し鑑賞者が直感的に捉えられる空間体験を作る photo©神宮巨樹
中原崇志が会場構成を手掛けた、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「2121年 Futures In-Sight」。作家達の“視座”や“洞察”を展示。言葉と物を等価に扱う事を目指して、雑誌が三次元に立ち上がった様な空間を構築。言葉を立体化し鑑賞者が直感的に捉えられる空間体験を作る photo©神宮巨樹
中原崇志が会場構成を手掛けた、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「2121年 Futures In-Sight」。作家達の“視座”や“洞察”を展示。言葉と物を等価に扱う事を目指して、雑誌が三次元に立ち上がった様な空間を構築。言葉を立体化し鑑賞者が直感的に捉えられる空間体験を作る photo©神宮巨樹

中原崇志が会場構成を手掛けた、21_21 DESIGN SIGHTでの展覧会「2121年 Futures In-Sight」です(会期は既に終了しています)
作家達の“視座”や“洞察”が展示されました。建築家は、言葉と物を等価に扱う事を目指して、雑誌が三次元に立ち上がった様な空間を構築しました。それは、言葉を立体化し鑑賞者が直感的に捉えられる空間体験を作る事を意図した為でした。展覧会の公式ページはこちら

デザインを通じてさまざまなできごとやものごとについて考え、世界に向けて発信する活動を行う21_21 DESIGN SIGHTにて開催された「2121年 Futures In-Sight」展。展覧会ディレクターは編集者の松島倫明。国内外の多彩な分野で活躍する72組が作家として参加した。

建築家によるテキストより

参加作家は、まず、展覧会オリジナルツール「Future Compass」(未来の羅針盤)から選んだ「言葉」をつなげ、未来を考える上での自身の「問い」を導き出すことから始め、自身の専門領域や生活哲学に基づきながら形にした「インサイト(視座・洞察)」を、問いとともに展示した。作家により「インサイト」は言葉やモノと様々であった。

たったひとつの未来を予測するのではなく、「『未来を考える行為』を考えること」を目的とした本展では、展示作品として言葉もモノ(立体物としての作品)も等価に扱うという理念を掲げた。そのため会場では、言葉を立体的に表現し、鑑賞者が言葉を直感的に感じ、後にじっくりと読んでみる、という空間体験を作り出すことを試みた。

建築家によるテキストより

雑誌の誌面が三次元的に立ち上がるような空間を目指し、壁面や柱形の什器には大きく言葉をデザインし、言葉の立体感・重層感を表現した。

建築家によるテキストより
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナム・ハノイの「Woven Screen Office」。ビルの一層を小規模事務所とする計画。交流活性化・生産性向上・創造的体験を目指して、地域の伝統を参照した“中空ブロック壁”が空間を分節しつつ接続する構成を考案。現代と地場の技術を組合せ製作
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナム・ハノイの「Woven Screen Office」。ビルの一層を小規模事務所とする計画。交流活性化・生産性向上・創造的体験を目指して、地域の伝統を参照した“中空ブロック壁”が空間を分節しつつ接続する構成を考案。現代と地場の技術を組合せ製作 photo©Trieu Chien
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナム・ハノイの「Woven Screen Office」。ビルの一層を小規模事務所とする計画。交流活性化・生産性向上・創造的体験を目指して、地域の伝統を参照した“中空ブロック壁”が空間を分節しつつ接続する構成を考案。現代と地場の技術を組合せ製作 photo©Trieu Chien
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナム・ハノイの「Woven Screen Office」。ビルの一層を小規模事務所とする計画。交流活性化・生産性向上・創造的体験を目指して、地域の伝統を参照した“中空ブロック壁”が空間を分節しつつ接続する構成を考案。現代と地場の技術を組合せ製作 photo©Trieu Chien

丹羽隆志アーキテクツが設計した、ベトナム・ハノイの「Woven Screen Office」です。
ビルの一層を小規模事務所とする計画です。建築家は、交流活性化・生産性向上・創造的体験を目指して、地域の伝統を参照した“中空ブロック壁”が空間を分節しつつ接続する構成を考案しました。また、このブロックは、現代と地場の技術を組合せ製作されました。

ベトナム・ハノイにおける、約25名のスタッフのためのオフィスのリノベーションプロジェクトである。
既存の建物はもともと3つの異なるビルを統合したもので、これまでは4つの異なる部署が各建物の各階に散在していた。そのため、物理的な行き来の不便と社内の結束不足、部署間の連携力の弱さなどが問題となっていた。

建築家によるテキストより

新しいオフィスでは、3つのゴールを設定した。コミュニケーションを活発化させることで、社内の連帯感を高めること。各人の生産性の向上と集団のシナジー効果を発揮すること。そして魅力的な空間によって毎日の仕事を楽しみ、クリエイティブに過ごしてもらうことである。

これらを可能にするため、建物を水平につなげ、オープンなフリーアドレスオフィスとして、「オープンと同時にクローズド、パブリックでありながらプライベート」な空間を実現した。円弧が連なる平面レイアウトをつくり、中空のコンクリートブロックスクリーンによって創造的な働く場をつくる計画である。

建築家によるテキストより

ベトナムでは高温多湿な温熱環境に対応するため、伝統的に穴あきブロックやレンガの透かし積みが建物のファサードに使われてきた。これらは物理的な環境を調整しつつ、都市の中で住居同士の適度な距離感を保つことに貢献している。

本プロジェクトでは人と人とを適度な距離感でつなぐ設計のコンセプトとした。曲線を使ったプランに加えて、中空のスクリーン壁のもつ社会性に着目した“Woven Screen”を開発した。この現代の穴あきブロックによる空間の分節と接続、表面の波打つ3次元の曲面は特別な経験を生み出し、開きながら閉じる、プライベートでありつつパブリックな空間をつくり出す。

建築家によるテキストより

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