高橋真理奈 / シン設計室が設計した、埼玉・所沢市の、民営の公共トイレ「インフラスタンド」です。
水道工事業者の施主の為に計画されました。建築家は、“ショールーム”と“地域貢献”の要望に、“直径6.4m”の円形屋根の下にベンチ等を配置して気軽に休憩ができる場を構築しました。また、夜は建築自体が“発光”して街を明るく照らす事も意図されました。施設の場所はこちら(Google Map)。
埼玉県所沢市の民間が運営する公共トイレの計画です。
クライアントは水道工事業者で、自社のショールームとして機能し、さらに地域や業界に貢献できる場所をつくりたいとのことでした。そのため、通りがかりの人が気軽に休憩でき、町のランドマークとなるような公衆トイレを目指しました。
まず、敷地いっぱいに直径6.4mの円形の屋根をかけ、その下にトイレ、サイクルステーション、手洗い、ベンチ、ハイカウンターを設け、人が集えるきっかけをつくりました。屋根の高さが5.6mあることで、街並みに円形の屋根が浮かびあがります。
屋根の柱を細くし、空間の圧迫感をなくすことで、円形の屋根の下で公園のように人が集まって休憩できるようにと考えました。
屋根の下に設けた手洗い、ベンチ、ハイカウンターがそれぞれ基礎になっており、基礎の立ち上がりによって、柱の座屈長さを抑え、直径60.5mmの柱を実現しています。
人気がなくなる夜間時も安心して利用できるように、トイレの中に巨大なペンダントライトを設置し、トイレ内部を明るく照らすようにしました。さらにトイレ塔の上部の乳白色の採光板によって、塔自体が行灯照明のようになり、照明の光が円形の天井に反射し、屋根の下の広場や町を明るく照らします。昼と夜、両方で町に寄与する場所になればと考えました。
インフラスタンドでは、年に数回マルシェが開催されており、地域住人が円形の屋根の下に集まって思い思いに過ごす光景を見ることができます。機能としても存在としても、街のインフラとなるような場所になって欲しいと思います。