今冨佑樹+本杉一磨 / プラスチックアーキテクツが設計した、東京・目黒区の「中町フラット」です。
三階建ての二世帯住宅の計画です。建築家は、新築で“改修”の持つ魅力の獲得を目指し、内と外の要求の“ズレ”を積極的に許容する設計を志向しました。そして、等間隔の“正方形窓”は“用途”との完全な一致を避けて“街との新築らしからぬ関係”を作る事も意図されました。
この建物は3方を道路に囲まれた角地に建つ二世帯住宅の計画である。
用途転用された建物には独特な魅力が存在する。
その中には時間の積み重ねによってのみ得られる深みや味といった魅力も一つの要因としてあるだろうが、元々の機能に対して後付け的に生まれたズレが醸し出す魅力も存在していると思う。内部の要求とそれがあらわれる外観の調整を繰り返すことが設計行為ではあるのだが、そのズレを積極的に許容することで、新築であってもリノベーションされた建物にしか持ち得ない魅力、ある種の不自然さを獲得できないかと考えた。
南向きの住宅が立ち並ぶ住宅街において、全方位に窓を並べ、街に対しての接点を設けた。
等間隔に並んだ正方形の窓は異なるレギュレーションでつくられているため、内部の機能的な要求とは完全に一致はしていないが、そのことが躯体とまち、躯体とインテリアに新築らしからぬ関係性をつくりだしている。