MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola

MVRDVが設計した、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」です。
持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設です。建築家は、サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計しました。また、人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能します。

こちらはリリーステキストの翻訳です

解体されることを想定したデザイン:MVRDVが、実験的なソーシャルスペースを備えたオフィス兼研究所「マトリックス・ワン」を完成

アムステルダム・サイエンス・パークの中心に位置するMVRDV設計の研究所兼オフィスビル「マトリックス・ワン」が竣工しました。マトリックス・イノベーション・センターのメインハブとして、6階建て、13,000㎡のビルは、キャンパス内に重要なソーシャルスペースとアメニティを提供します。重要なこととして、このプロジェクトは、サステイナブルデザインの限界にも挑んでいます。解体可能な建設、「社会的階段」、スマート照明のための太陽光発電、大量の駐輪場など、あらゆる可能性からサステイナブルな考えを取り入れています。マトリックス・ワンは、アムステルダムの意欲的なエネルギー使用目標を達成し、BREAAM-Excellentの認定を受けています。このビルの利用者は、サステナビリティのソリューションにも取り組んでいます。アムステルダム大学のサステナラボは、ここで持続可能な未来のための技術に取り組んでいます。

マトリックス・ワンは、アムステルダム・サイエンス・パークの一部であるマトリックス・イノベーション・センターを構成する7つの建物の中で最大のもので、科学者や起業家が現在および将来の問題に対する持続可能な解決策に取り組んでいる場所です。マトリックス・ワン自体には、科学研究所とオフィスが混在しています。クアルコムを含むハイテク企業や、フォトノール、スカイツリー、スタートアップのFULフーズなどのサステイナビリティ企業です。

マトリックス・イノベーション・センターのメインの建物であるマトリックス・ワンは、アムステルダム・サイエンスパークやそれを越えて、他の建物のサステイナブルな模範となることを目指しています。建物は取り外し可能な設計になっています。ネジやボルトのようなシンプルな接合は、建物の各部を更新する際に取り外して再利用することを可能にします。建物の床においても、接合部のないプレハブのコンクリートスラブを使用することで、建物の寿命が尽きても再利用できるようにしています。Madasterというプラットフォームは、包括的なマテリアル・パスポート・システムを提供し、12万を超える個々の部品について、使用する素材や 製品、CO2貯蔵量を把握することができるようになっています。

屋上には1,000㎡のソーラーパネルがあり、建物のエネルギーの一部を発電しています。また、インターネットに接続された照明器具や暖房器具がエネルギー消費の削減に役立っています(重要な研究機器の電源は別回路で供給されます)。このように、発電とエネルギー消費の削減を組み合わせることで、建物自体が消費するエネルギーのかなりの割合を生産しているため、エネルギー性能に関するアムステルダムの野心的な目標を達成しているのです。

マトリックス・イノベーション・センターのメインの建物として、マトリックス・ワンはキャンパスのソーシャルハブとしての役割を担っています。MVRDVのデザインのカギとなる要素は、建物南角のメインエントランスのすぐ横にある大きな「社会的階段」で、これはキャンパス全体に見られるジグザグした小道の続きとして構想されています。この階段は、プレゼンテーション用のトリビューン型シート、インフォーマルなミーティング用のテーブル、コーヒーステーションを備えており、異業種のワーカーが交流し、アイデアを共有することを可能にします。MVRDVがup architectureと共同で開発したこのスペースのインテリアデザインには、ガラスファサードを通して見える複数の緑豊かな壁があり、他の場所では柔らかいフェルト仕上げが音の反響を劇的に減らし、ソーシャルスペースに穏やかで親密な雰囲気を与えています。

この社会的階段は、建物のアメニティによって補完されており、1階にはレストラン、階段の上部にはバーがあります。これらの社会的機能は「クラブ・マトリックス」を形成し、周囲のマトリックスビルの労働者が利用することができます。また、マトリックス・ワンが知識の創造と共有のための中心的な拠点となることを確証する、100席のオーディトリアムも備えています。

【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中

素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」の、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイト募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
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弊社では、業務拡大に伴い、一緒に楽しく建築に携わってくれる建築設計スタッフ(正社員、アルバイト・パートタイム(時間応相談))を募集します。

主に住宅・集合住宅・店舗・オフィス・保育施設・クリニック・リノベーション等、様々な用途の設計・監理業務を行っています。会社は小規模ですが、上記の用途に加え木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造と構造種別も多岐にわたりますので、色々な設計・監理を習得できると思います。

オンラインセミナーやオープンオフィス、賃貸住宅の収支計画などのコンサルティング業務も業務の一部として行っておりますので、仕事のスキルアップにも繋がると思います。

設計は打ち合せやヒアリングをじっくりと行いその内容を理解し、クライアントのコミュニケーションを図り、いかに展開するかであると考えます。造形美や機能美のみにとどまらず、楽しみを感じられる場や空間が建物の中にいくつも存在する、そんな建物を追求しております。
家づくりをはじめどの用途の建物でも、設計には様々な回答があり、答えは一つではありません。
使い勝手を含めた平面計画や「素材感」を大切に設計を行い、自己主張しすぎない「佇む」建築を一緒に創っていきたいと思っております。

設計活動は多くの人たちとコラボレーションしながらの仕事です。
私どもの設計活動や事務所としての方針に共感していただける方、心よりお待ちしております。
雑誌等の掲載も多々あります。
設計事務所にありがちな夜遅くまでの長時間労働はあまり望みませんので、出来るだけ効率的に時間を使いながら、一緒に仕事をしていきたいと思っております。

ご応募お待ちしております。

村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」
村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」

「今、なに考えて建築つくってる?」は、建築家の村山徹と杉山幸一郎によるリレー形式のエッセイ連載です。彼ら自身が、切実に向き合っている問題や、実践者だからこその気づきや思考を読者の皆さんと共有したいと思い企画されました。この企画のはじまりや趣旨については第0回「イントロダクション」にて紹介しています。今まさに建築人生の真っただ中にいる二人の紡ぐ言葉を通して、改めてこの時代に建築に取り組むという事を再考して頂ければ幸いです。
(アーキテクチャーフォト編集部)


第4回 構造と工法

text:杉山幸一郎

 
 
モノの関係をつくる

こんにちは、杉山幸一郎です。第3回から少し時間が経ってしまいましたが、第4回は「構造と工法」というテーマについて考えていきます。突然ですが、このテーマを聞いて皆さんは何を思うでしょうか?

なんだか大学のカリキュラムにありそうで、電車の帰りに疲れた頭で読むには全然気が進まない、、。と僕なら思ってしまいます(笑)。なので、今日はテーマを少し噛み砕いて、もっと簡単な視点からリラックスして攻めていくことにしましょう。


とその前に、前回の村山徹さんの「かたちと寸法」のエッセイから。

ヨーロッパ留学経験のあるスタッフが「ヨーロッパの大学では恣意的なかたちであることは良いことだと判断されるけれど、日本は逆で悪いことであり言葉にすることをはばかられる風潮がある」と話していました。(中略) さらに社会性や事業性が重んじられ、かたちが後回しにされる昨今の建築状況もあってか、今の日本の学生はかたちに無頓着な人が多く、そして図面を重視しない人が多い。といったことについて、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で教えている杉山さんがどう思っているのか、聞かせてもらえるとうれしいです。

今、なに考えて建築つくってる? 第3回「かたちと寸法」より

なるほど、面白い指摘です。
僕がいるスイスドイツ語圏の状況からすれば、むしろ「かたち」については制限があるように思います。平面図に表れるかたちについて言えば、例えば学校の実施設計コンペでは、クラスルームは72㎡、グループルームは36㎡など、要項を見ると面積が一桁まで細かく指定されています。それにほぼ沿うように考えてみると、スパンは8mx9mとして、その半分をグループルームにしてください、、。と暗に指示されているように聞こえなくもありません。

さらに場合によっては、学校側からガイドラインとして「4つのクラスルームと2つのグループルーム、その間にある廊下をまとめてクラスターとして考える」というように指示があったりします。結果、基準階に関しては平面計画の自由度、それにともなうかたちのヴァリエーションは限られてしまいます。資格製図試験のような条件で、かなり合理的に解いていく必要があるんです。

つまりグリッドに載ってこない壁や柱、曲線を含んだ平面の「かたち」は、コストや使い勝手という面からも、あまり好まれていないことを過去のコンペの結果を見ても感じます。そうした背景を元にできあがるリジッドなスイス建築は「スイスボックス」として、皆さんも思い浮かべやすいかもしれません。

そんな状況にあっても、スイスにはかたちの持つ力を信じている建築家が多いのも確かです。
イコノグラフィックな図面の意味と、その空間への効果を追求する考え方は学生のみならず、実務でややもすれば現実的すぎる建物の設計に慣れた建築家にはとても魅力的に映ります。

昨今は「かたち」そのものよりも、環境問題に対する建築家の姿勢として「部材の転用や建設時のCO2削減」に至るテーマが大きな比重をもっており、僕たちは学生に、建築設計の基本的な考え方は「最小の材料を使って、最大限の空間を作ること」と教えています。学部一年生には、かたちを作る根拠、なぜそうなければいけないのか。を厳しく追求するように伝え、「なんとなくいい感じ」で無自覚にできてしまったものは、それが仮に良さそうに見えても、論理的な思考の組み立て方を奨めています。

それはETHZ(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)の学部一年生への教育目的が「空間をつくり、その空間同士をどう繋げて全体をつくっていくか」ということを念頭に置いているからです。その目的にあまり関係のない要素をできるだけ削ぎ落とすことで、主題をよりわかりやすく伝えるように工夫しているとも言えます。基本を学べば、高学年、修士課程へと進んでいった時に自分なりの「かたちの出し方」を身につけられるだろうと。そしてそれは結局、自分で試行錯誤しながら学んでいくものだと僕は思います。

新しく建築を学び始めたばかりの学部一年生はCADを教わる前に、一学期からRhinoceros(3D)を教わります。そして3Dプリンターを駆使するカリキュラムが組みこまれています。学生たちの頭の中では、まず空間を内包するヴォリュームがあって、平面図や断面図はそれを切ったもの。という認識です。それは僕自身が学生時代に平面図と断面図、立面図を描き、そこから立体を想像していたのとは真逆のプロセス。だからこそ、村山さんが前回のエッセイで話していたように、二次元だからこそ読み取れる空間「図面に現れる二次元的なかたち」を組み立てる術を知れば、空間のつくり方の可能性が2D>3D>2Dと、もっと広がると思うのです。

それでは本題に入っていきましょう。

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