吉村真基建築計画事務所|MYAOが設計した、愛知・岡崎市の「YE BAKERS(イエベイカーズ)」です。
住宅街の家の一部を改修したパン店です。建築家は、他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向しました。そして、住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作りました。既存の建物は、Studio Velocityによる「大門の母屋と新屋」です。店舗の公式ページはこちら。
Studio Velocity作品「大門の母屋と新屋」の一部をショップと業務用厨房に改修した住宅街の小さなベーカリー。
リノベーションは、既になされた建築行為と後から加わる建築行為が層をなすところに何かが宿る。
既存建物の作品性に敬意を示して、住宅ではないスケールでつくることをテーマとした。具体的には、住宅スケールよりも大きな前面の木戸/住宅スケールよりも小さい屋台的なショップの構え、の組み合わせで計画している。
住宅街にあることを踏まえて、シャッターの代わりに軸回転の大きな木戸を用い、閉店時には店の存在を感じさせない閉じた箱になり、開店時には開いた木戸が衝立となって店構えの背景となる。これは同時に隣家に対する配慮にもなっている。
ショップのサービス空間は、もともと6畳大の離れとして計画されていた既存建物の一階にひと回り小さな屋台を嵌め込んだような構えとした。スケールも屋台に倣い、材も空間の寸法も住宅サイズの8割で押さえている。