竹森紘臣 / WORKLOUNGE 03- VIETNAMが設計した、ベトナム・ハノイの「Border House」です。
内装の装飾の依頼から始まった改修計画です。建築家は、施主との対話で内外の関係性等に課題を見出し、既存建物の“エッジのリファイン”する設計を志向しました。そして、地域の生活風景を参照して“半外部空間”となる縁側とリビングを設けました。
ハノイ市郊外、ソンタイ・エリアにある農村の老夫婦が暮らす住宅のリノベーション計画。
既存建物は2000年代に建設された住宅で、中庭を囲むL字型2階建て。依頼主である老夫婦の息子の希望は内装のデコレーションだった。しかし、敷地を見て老夫婦のお話を聞くに連れて、内部と外部、老夫婦と息子家族、この家と地域の結びつきを良好にするため、既存住宅のエッジをリファインすることがこのリノベーションの主要な課題と考えるに至った。
アジアの常暑地域において、生活の快適性を担保するのは建物内部空間ではなく、むしろ外部空間またはその中間の半外空間と言えよう。ベトナム、ハノイも同様で、農村の古い民家では軒の下があり、日差しを避け、風を受けることができるこの場所で農作業をしたり、ハンモックを吊って昼寝をしたり、多くの時間を過ごしてきた。室内にエアコンが設置されている今でもカフェや茶屋では半外空間を好み、そこで友人とおしゃべりに興じる。
今回の既存建物には人が過ごせる半屋外と言える空間はなく、またこの空間が元来結びつけていた内外の関係も途切れてしまい、住人も違和感を感じていたようだ。そこで建物と庭の間に板張りの縁側を設けた。縁側に面する中庭の設えも、タイル敷きから庭づくりを楽しめるようなレイアウトに変更し、老夫婦がくつろぐ半外部の縁側を介して、内部と外部の結びつきの良好な関係を取り戻している。