SHARE 石上純也・向山徹・山﨑健太郎が登壇する「2024年 日本建築学会賞(作品)受賞者記念講演会『作品を語る』」が開催。建築会館ホールでの対面に加えて、オンラインでも同時配信
- 日程
- 2024年7月9日(火)
蜷川結+森創太 / nmstudioとHIGURE17-15casの会場構成による「第8回横浜トリエンナーレ空間設計」です。
横浜美術館にて“野草:いま、ここで生きてる”を主題に開催されました。建築家は、93作家を紹介する空間として、建築から“円と四角”を引用して“緩やかな骨格”を与える構成を考案しました。そして、其々の作品は“野草の様な”繊細な什器で支えました。会期は2024年3月15日~6月9日です。展覧会の公式サイトはこちら。
第8回横浜トリエンナーレの会場構成。
我々は主にメイン会場となる横浜美術館を担当した。今回のトリエンナーレのテーマは「野草:いま、ここで生きてる」。中国の小説家、魯迅の詩集『野草』からとられた題が示す通り、多種の困難さをはらむ現実をたくましく生き延びる我々の姿を端的に表した言葉である。
アーティスティック・ディレクターから提示された空間構成のリクエストは大きく分けて3つ。「横浜美術館内に散らばる円と四角のモチーフ(丹下健三の設計による)の引用」、「透明と反射の対比の構造」、「新たな風景の提示」である。
展示作家数は、横浜美術館をメイン会場とする横浜トリエンナーレでは、過去最多となる93作家。準備段階ではまだ確定していない作品もある中で、膨大な作品数をどのように構成していくか、アーティスティック・ディレクターおよびキュレーターとの対話を重ねながら、手探りのなか、共に設計を進めていくこととなった。
最終的に、ギャラリー1・3・4・6・7の5つのギャラリーに対しては、円と四角からなる緩やかな骨格を与えることとなった。この骨格を下敷きとして、鏡面やポリカーボネートの仕上げを施した展示台やパネルを、パラパラと種を撒くように配置していく。それらは円と四角のモチーフに対して中立性を保つような、×(バツ)やジグザグの形状の、野草のように細く頼りない什器に力強く支えられている。
円と四角のゆるやかな骨格を土壌として、1つひとつが異なる野草のような什器がパラパラと立ち上がり、作品を支える、そんな風景を目指したのである(なお、スチールの角パイプで構成された架台は、会期後は分解して再び組み合わせて、今後の展示やワークショップの什器として再び使うことができる)。
「野草」、「円と四角」、「透明性と反射性」という言葉を拠り所にしつつ、それらの相反する関係を融和させるように、(これは、今回のトリエンナーレの社会に散らばる対比や衝突を顕在化し、融和していくという試みにも繋がる)、各ギャラリーの構成を進めていく。
八木敦之 / アトリエMEME、第一宅建設計、ケイ設計が設計した、北海道・中標津町の「岩谷学園 ひがし北海道IT専門学校」です。
酪農×ITを学ぶ専門学校の計画です。建築家は、長時間滞在する教育の特徴から着想し、“居場所としての校舎”を志向しました。そして、“家”に見立てた教室の“ずらした連結”と“ヒューマンスケールの開口”で“学生の居場所”を作り出しました。施設の公式サイトはこちら。
北海道の東部に位置する中標津町は日本有数の酪農地域。
酪農業には近年、乳牛の健康管理、歩行誘導等さまざまな場面でIT/ICTが導入されている。これらに精通する人材育成が地域の課題となり、日本初の「酪農×IT」専門学校が地元行政や有志の支援のもと構想された。
この学校では、授業だけでなく放課後のグループワークや実習で学生が長時間学校に滞在することに着目。家のように心やすらぐ場所でもあってほしいと考え、「居場所としての校舎」のあり方を追求した。
教室を「家」と見立て敷地に沿って少しずつずらしながら連結。それらをヒューマンスケールの開口で接続することで棟間に程よい距離感を生み、学生の居場所を自然と生み出した。エントランスから進んでいくと開口をまたぐたびに多様な活動に出会い、街路や散策路を歩いているときのような期待感が生み出される。
この学校は住宅街の中にある。家がつらなったような立ち姿、フェンスなども一切ないランドスケープによりおだやかな町の風景と調和をみせる。事業主と行政の協力により実習棟は町のイベントスペースとしても活用され、学生だけではなく町の人たちも自然と集まる学校となる。
アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2024/6/3-6/9)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
メールマガジンでも最新の更新情報を配信中